2025/01/05(日) 10:00
栃木県宇都宮市の滞在体験型のファームパーク「道の駅うつのみや ろまんちっく村」を舞台に12月15日、、全日本自転車競技選手権大会シクロクロスが開催された。
この施設で全日本選手権が開催されるのは3回目。他にも「宇都宮シクロクロス」として国際レースを開催してきた経験があり、観客のもてなしや盛り上げにも慣れており、この日も会場には多くの観客が集まっていた。
テクニカルな泥のキャンバー(斜面)、砂、砂利、芝、泥、シケインなど、シクロクロスの要素がまんべんなく組み込まれ、林間セクションの入り口に設定された大型の登坂「3段坂」など、パワーも求められるセクションもあり、総合力を問うバランスの良いコース。各カテゴリーで、それぞれ熱いレースが展開された。
朝から、各カテゴリーのレースが開催され、最後のレースは、注目の男子エリートだ。最有力候補はディフェンディングチャンピオンであり、今季も負けなしの織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)。前回大会でも、同じコースで圧倒的な強さを見せ優勝しており、今大会に勝てば、全日本3連覇となる。沢田時(宇都宮ブリッツェン)は、前回大会はメカトラブルから順位を落とし、優勝争いから大きく後退した苦い思い出がある。今回、地元での雪辱を果たすべく、特別な思いで全日本に臨む。今季好調の副島達海(大阪産業大学)は、本来U23での出場となる若い選手だが、実績からエリートでの出走が認められ、エリート枠の中で日本一をかけて戦うこととなった。
68名の選手がスタートラインに並び、号砲とともに飛び出した。好スタートを切った副島が第1コーナーに先頭で飛び込む。
サンドセクションを抜けるころには沢田が先頭に立ち、副島、織田、かつてロード競技でシマノレーシングに所属した選手であり、全日本のタイトルも持つ横山航太(ペダル)らが続く。選手たちはパワフルに3段坂を駆け上がっていく。
ほどなく、副島、織田、沢田、横山の4名の集団が形成された。4名はハイペースでコースを走る。
このペースに堪えきれず、横山が脱落。集団は3名に絞り込まれた。
次に動きが出たのは3周目。織田がペースアップし、早くも2名を振り切る動きに出たのだ。バニーホップでシケイン(障害物)を跳び、軽々と加速していく織田に2名は喰らいつけず、織田は先頭での独走態勢に入った。
2名は先頭の織田を追うが、差を詰めることはできず、周回を経るごとにその差は開き、6周目には、20秒以上に開いていた。
沢田と副島の間で2位争いが展開されることになったが、今回も沢田にはバイクのトラブルが続き、バイク交換を強いられ、副島から大きく遅れを取ってしまう。副島は単独2位で、織田を追う。
織田は安定したペースを維持し、先頭を走り続けた。
レースはこのまま推移し、織田はミスなく落ち着いてハイペースをキープし、先頭でレースを走り抜いた。
王者の貫禄を漂わせながらホームストレートに現れると、三連覇をアピールする三本の指を立てながらフィニッシュラインを越え、見事にプレッシャーがかかるレースを制し、三連覇を達成したのだった。
2位には副島が、3位には沢田が入った。
織田は表彰台で三連覇の喜びと、応援への感謝を述べた。この日、必ずしも調子は万全でなく、余裕のレースではなかったようだ。終盤も脚の攣りなどもあり、丁寧に、気を遣いながら走り切ったレースだったと語った。
完走者人数も少なく、どの選手にとっても、厳しいレースだったようだが、走り終え表彰台に現れた選手たちの表情はとても明るかった。
来年度の全日本の開催地が、大阪府貝塚市の二色の浜公園とアナウンスされ、選手たちの思いは、次の大会に向けられることになった。
この後は、1月31日からフランスで開催される世界選手権への派遣もあり、国内のシクロクロスシーズンはまだ続き、JCXシリーズも2月9日にお台場海浜公園で開催されるシクロクロス東京が最終戦となる。
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【結果】
全日本自転車競技選手権大会シクロクロス 男子エリート
1位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 57:12.700
2位/副島達海(大阪産業大学) +26s
3位/沢田時(宇都宮ブリッツェン) +57s
4位/横山航太(ペダル) +1m50s
5位/竹之内悠(/slash Cinelli-Vision) +2m15s
画像:Satoshi ODA
◆シクロクロス全日本選手権2024-25・女子のレポートはこちら
(P-NAVI編集部)