2024/11/11(月) 10:00
大分市で開催された「OITAサイクルフェス!!!」2日目には、市内の特設コースを用いたロードレース「おおいたアーバンクラシック」が開催された。UCI(世界自転車競技連合)認定の国際レースで、秋に向かう大分市の美しい市街地を抜け、景観も魅力的で、毎年多くの観客が観戦に訪れる。
※おおいたアーバンクラシック クリテリウムのレポートはこちら
スタートゴールは大分スポーツ公園前。コースに山岳と言える激しい上りは含まれていないものの、コース全体が丘陵地帯に作られており、こまかいアップダウンが連続して現れる。コーナーの数も多く、スピードの上げ下げが繰り返されるため、周回を重ねていくだけで消耗されていく見た目よりも厳しいレースだ。今年は1周11.6kmのコースを13周する150.8kmが設定された。
レースがスタートする頃には、青空が広がり、9月末とはいえ、最高気温はほぼ30度となる暑い中でのレースとなった。
この大会のために作った真っ白なスペシャルジャージを着た地元のスパークルおおいたレーシングチームのメンバーを先頭に選手たちがラインナップ。集まった観客の拍手と声援に包まれ、選手が送り出されていった。
レースはスタート直後から動きを見せた。
ジョン・ウホ(ソウル・サイクリングチーム)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、レオネル・キンテロ(ヴィクトワール広島)、阿部嵩之(ヴェロリアン松山)ら4名が抜け出し、2周目には先頭集団を形成した。後続とのタイムギャップは1分を超え、その後もじわじわと開き、2分30秒にも達した。
レース中盤では、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリングのメンバーが集団前方に集まってメイン集団の引き上げを始める。ここに、先頭にメンバーを送り込めなかったシマノレーシングも加わり、先頭4名との差を詰めていく。
ラスト3周、先頭とのタイム差は1分を切り、このまま一気に吸収に向かうかと思われたが、メイン集団から、さかんに追走を狙った飛び出しが生まれ、牽引の足並みも揃わなくなり、タイム差は停滞した。
先頭集団ではペースアップを試み、全力で逃げ切りを図るが、遅れかけるメンバーも出て、団結して加速するには至らなかった。
メイン集団は宇都宮ブリッツェンなどが牽引に加わり、各チームが協力し、強力にペースアップ。先頭4名を捉えにかかる。ラスト2周で差は20秒まで縮まった。視界の中にメイン集団が見えてきたところで、孫崎が吸収から逃れようと先頭集団から飛び出し、単独で先行態勢に入った。だが、加速したメイン集団は次々と先行していた選手たちを捕らえ、全ての選手を吸収し、最終周回へ入る。
この追い上げで集団は淘汰され、メンバーは20名ほどまで絞られていた。ここから全日本チャンピオンジャージを着る小林海(マトリックスパワータグ)や、昨年の全日本チャンピオン山本大喜(JCLチーム右京)、新城雄大、宮崎泰史(以上、キナンレーシングチーム)、ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)の5名が先行。ここにニコラス・マリオット・セスラーとイェロン・メイヤース(以上、ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)が合流、7名の集団が形成された。後続との差は10秒ほどだったが、この差が広がり、残り1kmを通過。事実上、勝負は先行した7名に絞られた。キナンとヴィクトリアが2名ずつを送り込み有利な展開に。7名は、残り500mからの最後の登りへ差し掛かる。
先頭から最初に仕掛けたのは小林。そこに合わせて、メイヤースが加速。軽々と他の選手を振り切って、単独先頭でフィニッシュラインに向かった。山本とアコスタが追ったが、メイヤースは誰も寄せつけないままフィニッシュ。今年のアーバンクラシックを制した。
2位争いは山本が先着し、3位にアコスタが入った。
メイヤースは「自分だけではなく、チームメイトもうまく動いてくれて、昨日は2位、今日は優勝と、チームにとってとても良い結果になった」と語った。日本でのレースは初めてとのことだが、コースについては「とても難しい『日本の』コースだった!コーナーは多いし、アップダウンも多い。自分は好きなコースではあるけれど、とても厳しかったから、皆苦しんで、集団すら、ペースダウンすることもあり、だからこそ、面白かった」と語っていた。
優勝したメイヤーズのヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリングは、その後、九州で4ステージを回るUCIステージレース、ツール・ド・九州を走り、後半戦のハイライトとも言えるアジア最高峰のワンディレース、ジャパンカップサイクルロードレースへ。トップレースに向けて調整してきた選手のレベルの高い戦いが期待された。
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【結果】
おおいたアーバンクラシック(150.8km)
1位/イェロン・メイヤース(ヴィクトリア・スポーツ・プロサイクリング)3時間24分23秒
2位/山本大喜(JCLチーム右京)+0秒
3位/ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)
4位/小林海(マトリックスパワータグ)+6秒
5位/宮崎泰史(日本、キナンレーシングチーム)+8秒
【アジア最優秀選手賞】
山本大喜(JCLチーム右京)
【U23最優秀選手賞】
津田悠義(NIPPO・EF・マルティーグ)
画像:OITAサイクルフェス!!!