ホノルルセンチュリーライド【プレイバック後編】

2024/08/07(水) 17:06

ホノルルセンチュリーライド【プレイバック後編】

美しいハワイ オアフ島の東岸でサイクリングを楽しむ人気イベント「ホノルルセンチュリーライド」。第1エイドと絶景のマカプウを越え、美しい海沿いの道へと入った。

※センチュリーライド【プレイバック前編】はこちら

ここからは、4つのビーチパークの横を抜け、広がる海景色を楽しみながら走る。穏やかな波が打ち寄せ、白い砂が広がり、どこを取っても絶景。どこに行っても美しく、少々絶景ボケしてきた感もある。
ワイマナロビーチパークを越えた後は、海から離れ、木々の間に入っていく。鳥や動物の鳴き声も聞こえてきて、これまでのビーチムードが一転し、広がるのはジャングルエリア。もくもくと茂る熱帯の植物の間の道を走っていくと、目の前には教科書で見たような、低くて、てっぺんが平らなハワイ式火山がそびえており、ワイキキとは完全な別世界だ。こんなホノルルがあったなんて。


ジャングルエリアでは虹に遭遇!

ジャングルを抜け、しばらく行くと、2つ目のエイド「カイルア・インターミディエイト・スクール」に到着した。たくさんのボランティアスタッフが笑顔で動いており、とてもにぎやか。スペースを見つけ、自転車を停める。
ここでは色とりどりのシェイブアイス(かき氷)がふるまわれていた。お願いすると、学生と思われるノリの良いスタッフが笑顔で好みのシロップをかけてくれた。地元の方々との交流がまた楽しい。


色とりどりのシェイブアイスが並ぶ ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE


カイルアのエイドにはメカニックブースも ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE


ボランティアスタッフの皆さんも多様 ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

バナナやオレンジ、エナジーバーや、バナナとピーナッツバターを乗せたクラッカー、プリッツェルなどが並んでいる。めずらしさや、気持ちの高揚もあり、食べ過ぎ注意と思いながらも、ついつい頬ばってしまう。皆であれがおいしい、これがおいしいと盛り上がりながら、それぞれの補給。


フルーツやプリッツェルが並ぶカイルアエイド

ここが50マイルの折り返し地点(25マイル、40km)。残りはあと120kmだ。時計を見ると、時間は9時半。なんと、もう3時間以上経ってしまっていた。実はこの先に「関門」が待っている。次の75マイルの折り返し地点「カハルー・ビーチ」の制限時刻「10時半」を回ると、100マイルには挑戦させてもらえなくなってしまうのだ。1時間で20km。走れないことはないが、トラブルがあったら、怪しい。少々ドキドキしながら、ツアーの最後尾の皆さんとともに出発。ここからは、比較的走りやすいという。リスクを避けるため、まとまって走ることになった。いざ、出発!


ハワイらしいヤシ並木を越えていく ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

道中はヤシの木の並木があったり、住宅街を抜けたりと飽きない景観ながら、非常に走りやすく、順調に思えた。だが、こういうときにトラブルというやつはやってくる。「パンクです!」と、声が上がる。こんな時に! ツアーのメカニックの栗田さんが駆けつけ、処置をしてくださっている間に、「脚力ない組」はまとまって先を目指す。時間があまりない。
パンク対応している方々を気にしながら「間に合うペース」で走るが、疲労が出始めたか、お一人が転倒し、けがをしてしまった。応急処置をして、ダメージの具合を見ながら、皆で勇気付けながら「走れるペース」で走行。脚力のある方々が前に立ち、風よけになってくれて、疲労された方々を守りながら行く。これなら、ギリギリ間に合う!

関門となる「カハルー・ビーチ」のエイドステーションが見えてきた。クローズの4分前に飛び込み、皆で歓声を上げた。これで100マイルを目指せる。制限時間ジャストに、栗田さんが渾身の牽引をしてきたパンク組が飛び込んで来て、ツアーの100マイル希望者全員が走れることになった。皆、笑みがこぼれる。このギリギリの滑り込みを武勇伝のように語り合い、エイドステーションの滞在を楽しんだ。


和気あいあいとした雰囲気で、にこやかに運営されていた「カハルー・ビーチ」エイド。ここまでの怒とうの展開とは別世界だった

ここが唯一の厳しい関門であり、ここを越えれば、時間に余裕もある。最後の折り返しまでは、ほぼ平坦で、ゆったりと走れるという。皆、なごやかムードになり、ツアーで隊列を組んでスタートすることになった。

白い砂とエメラルドグリーンの海という夢のような景色が広がる、大会の中でもっとも美しいエリアを走る。
鮮やかな黄緑の草が広がる広場に止まり、チャイナマンズハットと呼ばれる、中国の帽子のような形状の岩の前で記念撮影。折り返しまでは、あと少し。


チャイナマンズハットを背景に記念撮影

右手に広がる海が、足元まで打ち寄せるのではないかというくらい、海が近い。右手には海、左手にはハワイらしい横に広がった形の山がそそり立つクアロアを眺めながら行く、大会のハイライトだ。誰もが美しさに笑顔になる。


海が近い!

エイドステーションの看板が見えてきた。折り返しの「スワンジー・ビーチ・パーク」に到着。ここまで来れば、コースを見通したという意味で、なんとも言えない安堵感が広がる。あとは帰るのみだ。


折り返し地点となる「スワンジー・ビーチ・パーク」 ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE


おにぎりのふるまいも! ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE


ツアーの居合わせたメンバーで記念撮影

マラサダやフルーツ、エナジーバーなどのふるまいがあり、希望者はお向かいのセブンイレブンで、食べたいものを調達!筆者もドリンクを購入。「帰るだけ」とはいえ、現実的に、残りは80km残っている。実は、結構長い。
少々休んで12時ごろ出発。残された時間は、5時間だ。
ここからは、ツアーのメンバー全体で隊列を組んで出発。とはいえ、乗り慣れた速いグループと、ゆったりグループとに自然に分かれて行くことになるだろう。名残惜しく、海景色を眺めながらバイクを走らせる。一度見た道は、なんとなく速く過ぎ去るように感じる。


帰路は山側を進む ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

帰路は折り返しではあるが、行きと異なるエイドが2カ所含まれている。5箇所目のエイドは、大会内で最も陽気だった「キー・プロジェクト」。


踊りと歌で歓待してくれる「キー・プロジェクト」。シャワーもサービス!


南国のフルーツが並ぶ

エイドには大音量で音楽がかけられており、スタッフが「フー!」と歓声を上げ参加者を迎え入れ、笑顔で歌い踊りながら、シャワーをかけてくれる。参加者はそのノリを受け、一緒に踊りながらシャワーの中をくぐり抜けたり、恐縮して避けたりと多様である。なんとも楽しいエイド。日本からの参加者も、かなりハワイの空気に慣れており、皆ノリノリでエイドを楽しんだのだった。疲労が出てくる頃ではあるが、楽しい空気で、気持ちもアップ! 残りのライドを楽しもう! ただし、時間はあまりない。
同じくらいのペースで走る面々で固まってスタート。気持ちは元気になったが、体は少し重い。ここからはあまりアップダウンはないと言われるが、わずかなアップダウンも、しっかり認識できる疲労感にはなっていた。


シェイブアイスでパワーチャージとクールダウン!

体力を節約しながら走り、行きにシェイブアイスをいただいたエイドに到着。ここまで来れば、残りは40km。もう大丈夫だ! 少し補給して、もう一度シェイブアイスをいただいて、再スタート。

ここから再度ジャングル地帯へ。行きよりアップダウンが大きくなったように感じるのは錯覚か。この辺りから、疲労か脱水か、足つりを起こす方が頻繁に出始める。残り時間は短くなってきたけれど、無理は禁物だ。
ビーチパークが並ぶ海沿いのルートまで戻ってきた。実はこの先に、大会最大の難所がある。行きに絶景を見たマカプウへ逆から上る登坂が、コース内で最もキツいのだ。行きは揚々と眺めた美しい海だが、帰路はまた違う思いで眺めながら走る。マカプウの絶景に助けられながら、上りをクリア、達成感あり! ひと呼吸して、先を急ごう。

海に向かって、気持ちよく降り、ハワイカイへ。この辺りは下り基調で走りやすい。勢いに乗って第1エイドのそばまで戻り、ゴルフ場に向けて上る。ライドはもう終盤だ。
ハートブレイクヒルを下り、クアパ池を渡り、ハワイカイドライブへと入ると、最終エイド「ジェイムス」が待っていた。もうクローズが近く、あまり食べ物は残っていなかったけれど、少し甘いものをいただき、励まし合って、再スタート。ここから20kmはないだろう。
スタート後、序盤に走ったフリーウェイに入る。もう感覚的には「帰ってきた」イメージだ。ゴールまでそれほど時間はないが、十分間に合うだろう。ここで再度のトラブルは命とりになってしまう。負担をかけすぎないよう、ギリギリのペースを選びながら走った。


ボランティアスタッフの皆さんがゴールを祝福してくれるフィニッシュエリア ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

フリーウェイを降りれば、ゴールまであと少し。ダイアモンドヘッドを回って、カピオラニ公園へ向かう。ゴールゲートに向かう道の脇にはスタッフの方々が並び、ゴールを祝福してくれた。無事、完走!100マイルを走り終え、帰ってきた達成感に加え、トラブルも
多々あったけれど、ともに走った仲間たちと一緒にゴールできた喜びで、いっそう嬉しい。やっぱり、一人で走るより、皆で走る方がいい。開放感と、絶景と、ハワイらしい高揚感を満喫した100マイルを振り返る。この感動は、しばらく忘れられそうもない。毎年参
加されている方が多い理由も、分かるような気がした。


子どもたちも多く参加していた。年齢性別問わず楽しめるのがホノルルセンチュリーライドだ ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE


フィニッシュを喜び合う二人。フィニッシュエリアにも素敵な空気が漂う ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

今年のホノルルセンチュリーライドは9月29日開催。現地でレンタサイクルを手配することもできるし、自転車に乗れる方ならば、ビギナーの方でもファミリーでも、十分挑戦できるサイクリングイベントだ。最高の満足を味わうために、参加を検討してみてはいかがだろうか。

画像:編集部、東武トップツアーズ(Michinari TAKAGI)、©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE

トップ掲載の画像:最高に美しい海を見ながら走る ©︎HM-A/HONOLULU CENTURY RIDE(P-Navi編集部)

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