2023/05/22(月) 12:46
4月某日、湘南エリアで展開するe-bikeタイプのシェアサイクルを借り、鎌倉から湘南ライドに出発した。鎌倉、高徳院の大仏、稲村ヶ崎、七里ヶ浜をめぐり、小休憩を経て、再出発。次の目的地は、江ノ島だ。
※前編はこちら
e-bikeを借り、鎌倉~平塚を走る 江ノ島にて
海沿いの道を気持ちよく走る。しばらくは江ノ電の線路と併走する。
江ノ電「鎌倉高校前」駅。海沿いの道に駅のホームが現れる不思議な光景は新鮮だ
江ノ島に到着!
あっという間に江ノ島への入り口に到達。自転車で走ってみると、このあたりの距離の近さと、濃厚さに改めて驚く。コンパクトな中に、ぎっしりと見どころが詰まっている! クルマで通り過ぎてしまうのは、あまりにもったいないと再認識した。
江ノ島大橋を渡り、江ノ島に上陸。ここはまた別世界で、多くの修学旅行生や観光客が楽しそうに歩く、日本の観光地のムードが漂っていた。そのままヨットハーバーの間を抜けてバイクで奥まで行ってみる。
江ノ島には大きなヨットハーバーも
江ノ島には「日本三大弁天」のひとつ「江島神社」があり、その奥に岩屋やカフェなどがあるのだが、バイクを停めて、かなり歩かねばならないため、今回は参道の雰囲気だけを軽く味わうことにした。修学旅行生に混じり、真っ黒な「しらすブラックコロッケ」を買ってみる。まだ温かいコロッケは、ほんのり、しらすの塩気がした。
観光客で賑わう江島神社への参道
竹炭で色を付けた「しらすブラックコロッケ」。ほんのり磯の香り
「湘南港北緑地広場」では、地元の方々がのんびりと過ごしている姿が印象的だった
芝が広がる湘南港北緑地広場では、地元のひとたちが、椅子や敷物を持ち込んでゆったりと過ごしていた。晴天の下、広がる海と、芝と、最高に心地よい空間を楽しむ人たち。こんな生活もいいなと、しみじみ考えてしまった。
江ノ島を後にしたものの、灯台が気になって、江ノ島水族館手前の細道に入り、バイクを停めた。遊歩道を歩いて「白灯台」へ。
灯台に向かう遊歩道を行く
かなり小ぶりだった「白灯台」。江ノ島をバックに
遊歩道横のビーチには、たくさんの方々が思い思いの方法で浜辺を楽しんでいた
灯台は、イメージしていたより小さく、なんとなく鉛筆を想起させるかわいらしい小ぶりなものだった。江ノ島をバックに記念撮影。
134号に戻り、引地川を渡ると、川沿いの遊歩道が見えた。地元の方々が行き交っているのが見える。ここを上がってみよう。植物園の前を抜け、辻堂駅方面に抜けると、地図上に鍵穴のような形の緑地が見えた。前を通ってみると、統一感のある宅地が並び、その道沿いには、太陽光パネルが並んでいる。気になって中央に設えられた欧風のゲートの中をのぞくと、広場になっており、看板には「藤沢サステイナブルスマートタウン」と書かれていた。
藤沢サステイナブルスマートタウン
エリアの南側の宅地沿いには太陽光パネルが並ぶ
中には自転車専用通行帯も
ここは「究極の理想を追い求めた街」として、100年のビジョンを掲げ、環境やエネルギーの目標を掲げながら、エコと快適性を共存させる街づくりの挑戦を行っているエリアとのこと。多くの企業・団体が参画し、排出CO2の70%削減や生活用水30%削減、再生可能エネルギー30%以上、などの目標を掲げ、持続可能なライフスタイルを支えているのだという。藤沢にこのような街があるとは、知らなかった。このようなポジィティブな試みは、各地に広げてほしい。
辻堂駅方面に向かい、東海道本線の線路を渡り、次の目的地へ。
お目当ての「みかん専門店 柑熟屋」に到着! 西湘地域の柑橘を扱う店舗だが、右側のスペースでは柑橘類を販売し、左側のスペースでは、柑橘を活かしたメニューを販売している。
「みかん専門店 柑熟屋」。みかん色のバイクラックが嬉しい
左側のカウンターに行くと、ジュースやクレープ、パフェなどを提供しているようだった。悩んだが、たっぷりと柑橘を味わえる「みかんパフェ」をチョイス。オーダーすると、小柄な笑顔の女性店員が手際良くパフェを作りはじめる。
つやつやと輝く柑橘たちに目を奪われていると、「今日使っている柑橘類に関しては、説明がありますので、読んでみてくださいね」と掲示を指差して教えてくれた。その時期に旬な柑橘を選んで使っているらしい。
さまざまな柑橘類があしらわれた「みかんパフェ」。柑橘がこんなに濃く、おいしいとは衝撃だった
この日のパフェは、一番下に甘くてコクのある「寿太郎」が敷かれ、上には食感のある少し硬めの「レモン」のゼリーと「湘南ゴールド」のソフトクリーム。上には黄色い「ひょうかん」とオレンジ色の「不知火」、「清見」が並べられ、ドライオレンジとミントが飾られていた。
店内にもかわらしい装飾が
正直、4月にフレッシュな柑橘のイメージはなかったのだが、柑橘のみずみずしいこと! ソフトクリームに負けてしまうのではないかと懸念していたが、柑橘のおいしさが際立っており、むしろ競り勝つレベル。ひとつひとつ甘味や酸味のバランスも、食感も異なっていて、柑橘ばかりでも、飽きることはない。皮の剥き方もうまくて、プリッとした食感も衝撃だった。夢中になって食べてしまった。これで650円は、安い。
あまりのおいしさに感動して聞いてみると、「不知火や清見など、今が旬な柑橘もあるんですよ」と笑顔。知らなかった!
4月下旬あたりからは、かき氷も登場するようだ。正直、何度でも来たい。感動を噛みしめながら、住宅街を抜け、海沿いの134号へ戻る。
134号は「ナショナルサイクルルート」に指定されている「太平洋岸自転車道」の一部で、路面上には、青い矢羽が引かれている。ドライバーも自転車の存在に慣れているようで、混んでいるエリアでも、気持ちよく走れた。
スマホのマップを再確認すると、134号に並行して伸びるビーチ沿いのルートも表示されているではないか。気になって、こちらのルートに行ってみることにした。入り口を見つけると、「茅ヶ崎市東海岸『鵠沼海岸→柳島』」の文字と自転車マークが描かれた看板が立っていた。
134号と並行して走る道を発見。行ってみることにした
中に入ってみると、手前に自転車と歩行者用の道が伸びていて、サーフボードを持ったサーファーがビーチクルーザーで行き交っていた。道には砂も多かったが、この日のe-bikeのタイヤなら問題はないだろう。サスペンションも付いているので、多少の荒れた路面なら快適に走れるはずだ。
歩行者も多く、地域の流儀がわからないので、邪魔にならないよう気をつけながら、ゆっくりとバイクを走らせる。砂で覆われた道を行くのも、稀な経験で、楽しい。視界に広がるビーチの景観を楽しみながら進む。
少しうねるように配置されている部分もあり、冒険のようで楽しかった
砂に埋まっている!と思わず笑ってしまったけれど、地元の人は当然の表情で通過。筆者も何食わぬ顔で通過した
まだ道は続いているようではあったが、134号に戻り、この日最後の立ち寄りスポット「柳島スポーツ公園」を目指した。
「柳島スポーツ公園」に到着
「柳島スポーツ公園」は「太平洋岸自転車道」の神奈川県内のゲートウェイ施設に指定されており、自転車店もあり、休憩や食事を楽しむことができる施設だ。ランチを食べていなかったが、ずっと食べ続けている感もあり、2階の「柳島キッチン」で軽食をテイクアウトし、外で軽く食べることにした。
珍しいブルーに塗られたトラック。選手の気持ちが落ち着いてしまい、好タイムが出ないという噂もあるらしい
ここで選んだのは「鶏ベジサンドウィッチ」。珍しいブルーの陸上競技用トラックを眺めながら、サンドウィッチにかぶりつく。たっぷりの色鮮やかな野菜と、塩麹に漬けた柔らかい鶏胸肉が入った分厚いサンドウィッチは、食べ応え十分! ボリューミーだが、ヘルシーで、気持ちよく食べられる。
野菜がたっぷり入り、ボリューミーながらさっぱりといただけ「鶏ベジサンドウィッチ」
ここからは、ゴールを目指そう。
公園沿いに北上し、小出川を渡ってから、1号線へ。相模川を渡れば、平塚だ。平塚エリアの「KUROAD」のステーションに向かった。
バイクを平塚のKUROADステーションに返却。操作はスマートフォンのアプリ上のみで完結する
ホテルの中にあるステーションに到着。貸し出し用バイクは、出はからっていたが、ラックが空いてさえいれば、返却には問題なし。返却手続きをし、この日のライドは終了した。駅まで散策して、帰ろう。
走行距離にして25km程度だが、鎌倉から湘南、藤沢、茅ヶ崎を抜けて走るルートは、海、山、市街地と、景観も美しくて、地元の皆さんの暮らしぶりも素敵で、豊かな気持ちにしてくれる大満足のライドだった。
今度は、シェアサイクルを使って、鎌倉を旅してみようかな。この日の思い出を胸に、次の構想にも思いをめぐらせながら、家路についたのだった。
画像:編集部(P-Navi編集部)