2023/01/20(金) 10:23
今年も長野県野辺山高原の滝沢牧場を会場に、11月12~13日の2日間にわたり、ラファ+弱虫ペダル スーパークロス野辺山が開催された。
※Day1の模様はこちらからご覧ください。
2日目の朝が明けた。会場には、様々な年齢層のライダーがやってくる
大会2日目はキッズレースからスタート。ショートコースを使った小学生のレースだが、大人顔負けの気迫で臨むキッズライダーも!
やる気満々のキッズレース。2学年ごとに分けられたカテゴリーで小学生ライダーが競い合う
ドロップハンドルのシクロクロスバイクを扱うキッズライダーも!軽快にフライオーバーを駆け上がる
また、マスターズやジュニア、男女のビギナーからカテゴリー2までのレースが開催された。
すでに迫力のあるジュニアレース。ここから将来のトップ選手が育ってくるのだろう
のんびりした空気が漂う会場内で力を出し切って倒れる参加者も。この達成感が魅力だ
ちびっこライダーもシケイン(障害物)に挑む
ゴール後もらう参加賞のハクサイを誇らしげに抱くちびっこライダー
ミニコースを使った未就学児の「キンダーガーデン」レースで盛り上がった後は、いよいよ男女の最上位カテゴリーレースが開催される。男女の最高位レースは、国内のリーグJCXシリーズの第4戦であると同時に、UCI(世界自転車競技連合)に認定された国際レースでもあり、UCIポイントが獲得できる重要なレースとなる。
この日沖縄で、UCIの国際ロードレース「ツール・ド・おきなわ」が開催されており、主力選手の中でも、所属チームの判
断で沖縄に向かい、このレースは欠場となった選手もいた。
当日の天気は午後から雨予報。雨が降ると、路面状況は大きく変わるため、出場選手は降り出しのタイミングや降り方を気にしていたが、午後に入り、女子レースのスタートまでは雨は落ちて来なかった。今にも降り出しそうな曇天の下、女子エリートのレースが始まった。
14名の女子エリート選手が号砲と共に飛び出した。先頭を第1コーナーで抜け出したのは前日優勝を飾り、連勝を狙う小川咲絵(AX cyclocross team)。だが、前日4位でフィニッシュした大蔵こころ(早稲田大学)が小川をかわし、先頭へ躍り出た。小川は大蔵の後ろにつき、様子をうかがいながら走る。
大蔵こころ(早稲田大学)が先頭に出て積極的に走る
前日2位で終えた與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)は、スタートでうまく飛び出すことができず、少し遅れて先頭2名を追っていた。與那嶺の後ろには前日3位の石田唯(早稲田大学)が続く。
スタートで出遅れた與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)も全力で先頭を追う
この均衡は早々に崩れた。登坂区間で小川がするすると加速し、大蔵をかわすと、独走状態に入ったのだ。上位勢はそれぞれが単独でサーキットを走る状況に。
小川を追う大蔵
先頭でキャニオン(溝)を越える小川
ロードでは日本のトップを走り、MTBでも全日本チャンピオンの経験を持つ與那嶺が底力を見せ、着実に追い上げる。大蔵をパスし、2位まで順位を上げた。
笑顔で連勝を決めた小川
表彰台。1位、2位は前日と同様で、3位には早稲田大学から大蔵が入った
小川はそのまま危なげなくレースを走ると、両手を上げてフィニッシュ。狙い通りに、連勝を飾ると同時に、UCIレースの勝利も手中に収めることになった。2位で與那嶺がフィニッシュ。3位の座は大蔵が獲得した。
続く男子エリートは、14時半のスタート。この頃までには、天気は雨に変わっていた。特に泥区間は、降雨の勢いにより、コンディションが大きく変わってしまう。60分のレースの中で、どこまで路面が緩むのか、降り始めの滑りやすい路面をどう捉えて走るのか。選手はタイヤや空気圧のチョイスに頭を悩ませながら、出走の準備をする。
雨の中のスタートとなった男子エリート。刻々と変わる路面に対応せねばならない
注目は前日のレースを勝った織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や、現全日本チャンピオンの小坂光(宇都宮ブリッツェン)、小坂と同い年ではあるが、ジュニア時代から欧州も長く経験してきたベテランの竹之内悠など、前日健闘を見せたメンバーになるだろう。ベテランでも読み取ることが難しいコンディションの中、号砲が鳴り、選手が飛び出していった。
鈴木来人が先頭に立ち、ペースを引き上げる
前日のレースを4位で終えた鈴木来人が、よいスタートを切り、先頭に立ってペースを引き上げる。ほどなく、織田が先頭をかわし、チームメイトの中島渉(弱虫ペダルサイクリングチーム)を連れ立って2名で先頭を走った。
織田聖と中島渉(ともに弱虫ペダルサイクリングチーム)がハイペースで先頭を走る
小坂光(宇都宮ブリッツェン)も着実に順位を上げ、3位をキープする。
キャニオンを跳ぶ小坂光(宇都宮ブリッツェン)
滑りやすい路面に上位勢でも転倒が頻発し、巻き添えを喰らい、足止めされるケースも
雨脚は次第に強くなり、表面が緩んだ路面は極端に滑りやすくなり、コース内のあちこちで転倒が起きた。多くの選手のウェアが転倒の跡を見せ、泥だらけになっていた。スペアバイクやホイールの選択肢を用意して出走した選手は、待機するピットクルーに指示し、マッドタイヤを装着しておいたバイクや、空気圧を下げたタイヤのバイクに取り替えるなど、走りながら戦術を練る。
シクロクロスでは、ピットでのバイクチェンジが認められている。待機するスタッフに次周チェンジするバイクへの要望を伝える
非常にタフで難しいコンディションの中、実力のある選手がじわじわと順位を上げてきた。泥だらけになりながらも、誰も寄せ付けないまま先頭を走る織田の後ろには、全日本チャンピオンジャージの小坂、さらには、オランダなどの路面にも慣れている竹之内が盤石な走りで3位まで順位を上げていた。竹之内の後ろで、中島も粘る。雨の中、黙々と走る選手たち。先頭を独走する織田は、冒頭に見せたキレのある走りではないものの、シケイン(障害物)をバイクから降りずにバニーホップで跳び越え、後続を寄せ付けない。
バニーホップでシケインをクリアする織田
今年からサポートを受けず、個人でレースに参戦する竹之内は、スポンサーロゴのない黒いシンプルなジャージで走る。ヘビーなマッドコンディションであることを忘れさせるような軽快な走りで追い上げると、小坂をかわし、さらりと2番手に躍り出た。
現チャンピオン小坂に竹之内悠が迫る。コース脇には泥が詰まったバイクの洗浄を行うピットクルーの姿が見える
負けじと小坂はペダルを踏み込むが、無駄のない走りで泳ぐように走る竹之内は、少しずつ小坂との差を開いていった。
難しい路面をもスピーディーに走る竹之内が追い上げる
降りしきる雨の中、竹之内を振り切った織田は、右手を天に突き上げ、白い息を吐いてフィニッシュ。前日に引き続き、優勝を決めた。
独走でフィニッシュした織田。堂々の2日間連勝だった
上位3名の表彰台。難コンディションの中、実力が光った
25秒差で竹之内が2位でフィニッシュ。「まだまだ走れる」ことをアピールして見せた。3位には小坂が入った。
選択の難しいコンディションの中、経験豊富なベテランの走りも光ったが、誰も寄せ付けず、最後まで独走で踏み切った織田のフィジカルの高さも際立っていた。この日、ロードレースの最終戦が終わった。ここから、いよいよ本格的なシクロクロスシーズンが始まっていった__。
***************
【JCXシリーズ第4戦】
【結果】Rapha+弱虫ペダル スーパークロス野辺山2022Day2
UCI女子エリート
1位/小川咲絵(AX cyclocross team)47:58
2位/與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)+1:21
3位/大蔵こころ(早稲田大学)+1:32
4位/石田唯(早稲田大学)+3:28
5位/川崎路子(PAXPROJECT)+4:59
UCI男子エリート
1位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)1:07:42
2位/竹之内悠 +0:25
3位/小坂光(宇都宮ブリッツェン)+0:45
4位/鈴木来人 +1:40
5位/積田連(SNEL CYCLOCROSS TEAM)+2:32
画像提供:Rapha+弱虫ペダル Super Cross Nobeyama(撮影:Kei TSUJI)
***************
【JCXシリーズ2022-2023・レポート】
Rapha+弱虫ペダル スーパークロス野辺山2022Day1
茨城シクロクロス土浦ステージ
幕張クロス2022(P-Navi編集部)