プレイバック!ホノルルセンチュリーライド(前編)

2023/01/04(水) 15:59

プレイバック!ホノルルセンチュリーライド(前編)

ハワイのオアフ島東岸を走るロングライドイベント「ホノルルセンチュリーライド」が昨年9月25日、開催された。1981年に第1回が開催され、今回が39回目の開催となる歴史ある大会だ。コロナ禍にあり、この2年は開催が中止され、代替のオンラインイベントが開かれていた。3年ぶりに開催が実現したこのイベントを振り返ってみたい。

ホノルルセンチュリーライド
ハワイ・オアフ島で開催される「ホノルルセンチュリーライド」

ホノルルセンチュリーライド
オアフ島東岸の海沿いを往復し、最長100マイルを楽しむ

多くのサイクリストが「一度は走ってみたい」と口をそろえるスペシャルなライドだが、日本からの参加者が多く、2000人を超えた時期もあったほど。コロナ禍にあり、入国・帰国後の隔離があった時期は、現実的にハワイ渡航が難しく、今年の開催は、まさに待ちわびたハワイ渡航、待ちわびたホノルルセンチュリーライドだった。
とはいえ、エントリー開始時点では、新型コロナウイルスの感染状況も好ましくなく、渡航手続きの煩雑さ、激しい円安の影響もあって、参加に踏み切れなかった方もいるだろう。結果的には、9月に入り、帰国前のPCR検査も不要となり、3回のワクチン接種証明があれば、スムースな渡航ができるようになったのだが、今年の日本人参加者は150人のみとなった。

ホノルルセンチュリーライドのコースは、ハワイ州オアフ島の東岸に設定されている。最長は100マイル(約160km)だが、脚力に合わせ、25、50、75マイルコースも選択可能だ。ワイキキの東端にあるカピオラニ公園をスタートし、基本的には、海岸線に沿って北上し、全米で一番美しいと言われるビーチがあるカイルア、神聖な土地とされ、山々が神々しいクアロアを抜けて、スワンジービーチパークまで行き、折り返す。この折り返し手前の海が非常に美しく、折り返しまで片道を走り、復路はバスに乗るというプランも誕生している。


美しい海を堪能


ビーチだけでなく、山や牧場などさまざまな景観を楽しめる。折り返し地点に向かうワイアホレ付近にて

今回は100マイル完走を目指して走る。160kmは確かに長いが、新婚旅行で来て、レンタサイクルで走るカップルなども、ハワイの景観の美しさや、プレッシャーのない空気感も手伝い、100マイルを含む希望の距離を完走するとのこと。コースに激坂がなく、通常風も強くないことなども、走りやすさの理由に挙げられるだろう。


周囲はまだ暗いが、スタート地点のエリアには参加者の熱気が渦巻いていた

ライド当日。朝5時半ごろ、スタート会場に着いた。まだ暗いが、早朝とは思えないくらい、エキサイトした参加者がスタートエリアに集結している。今回の日本人は全参加者の1割強。ほとんどの参加者が、ハワイ州や米国本土から集まっており、漂うのは「ロコ(地元)イベント」の雰囲気。「わざわざやって来た」日本の参加者には、海外の来訪感を味わえて、むしろ嬉しい。ちなみにスタートセレモニーには日本語のMCもいるため、情報はしっかりと把握できる。記念撮影をし、周りの日本人参加者と「いよいよですね」と会話を交わす。


スタート!夜が明けたばかりで、あたりはまだほんのりと薄暗い

定刻通り、朝6時15分に、いっせいにスタート。多くのスタッフが拍手で華やかに送り出してくれた。先頭の方は、記録を狙うライダーや、速く走りたいライダーが多いため、右側をキープ(右側通行であるため)しながらマイペースで走る。


ダイアモンドヘッドルックアウト

軽い上りを越えて、夜が明けたばかりの海景色を見渡せる展望スペース「ダイアモンドヘッドルックアウト」で一休みし、呼吸を整える。ここでは、多くの参加者が記念撮影を楽しんでいた。


ダイアモンドヘッドを越え、早朝の住宅街を気持ちよく走る

この先は、カハラという高級住宅地を行く。別荘も多いそうで、庭に遊園地ばりの遊具があったり、ボートがあったりと、夢のような邸宅が並ぶ。ここでの優雅な生活を想像しながら進むのが楽しい。

カハラのショッピングセンターの横を抜け、ハイウェイへ。ハイウェイと言っても、自動車専用ではなく、指定区間は自転車も走行可能だ。このあたりまで地元の警察官が交差点に立ち、一番端の車線で自転車を誘導してくれ、安心して走れる。


朝のハイウェイをひた走る

しばらく行くと、ビーチパークが見えてきた。一口に「ハワイ」と言っても、実はエリアごとに表情は実に多様。ビーチの海の色や風情も異なっており、このイベントでは、ワイキキから、スワンジービーチパークまで、色も雰囲気も違う美しい海を堪能できる。一般的なハワイ旅行では味わえないハワイの多様さ、美しさを、自転車で走ることで間近で感じられるのがこのロングライドの最大の魅力だ。だからこそ、リピーターが多いのだろう。

ハイウェイパートが終わり、次に待っているのは「ハートブレイクヒル」。心が折れる激坂、というところか。確かに住宅街を右折すると、突如坂が出現するので、気持ちが折れるが、勾配は実際のところ、さほどきつくない。坂自体もそう長くないので、この後に体力を温存するために押し歩きしても、時間的ダメージはさほど大きくないだろう。名前に負けて、慌てないことが一番大切。皆、順調に上り終えたようだった。


ハートブレイクヒルを上る


第1エイドに到着!

ゴルフ場や住宅地を越え、海に出て、第1エイドの「サンディ・ビーチ・パーク」で休憩。25マイルコースはここで折り返す。ここでは、オーツ麦やドライフルーツ、ジャムなどを使った栄養価の高そうな焼き菓子が何種類か提供され、テンションが上がる。海外の食べものは、興味深い。フレーバーは、いちごや、ブルーベリー、いちじくなどがあり、どれも美味で、食感もよく、体に良さそうだ。今年のエイドは期待できそう! 冷たいドリンクを受け取り、先を急ぐ。


ここではオーツ麦やドライフルーツを使ったシリアルビスケットが出た。トランス脂肪酸がゼロで、オメガ3系の脂質が入っているらしい

ロングライドイベントは、エイドで休みすぎないことが大切。スポーツバイクなら問題なく出せる「時速20km」で走れば、8時間で完走でき、制限時間の17時までには余裕で戻れることになるのだが、エイドで休みすぎると、きびしくなってくる。速度が変わると疲労が増すため、脚力、体力に自信がない場合は「一定ペースで走ること」が鉄則。ロケーションのいいエイドは居心地がよいが、ゆったりしすぎるのは禁物なのだ! ここから海沿いを進み北上する。ほどなく、絶景が楽しめる高台のビューポイント「マカプウ」へ。上り坂を越え、展望スポットで海岸線を見渡すと、群青色の海が広がっている。あまりの美しさに、皆、バイクを停め、記念撮影を楽しんでいた。


マカプウに向かって上る


入り組んだ海岸線と美しい海

広がる海とビーチを眺めながら、気持ちよく下り、しばらくは海沿いの道をゆく。
ルート上にはコンビニやガソリンスタンドもあり、エイドのお手洗いが混んでいたら、使わせてもらえるし、買い物で立ち寄ることも可能。距離が長いので効率よく走りたい。海沿いのルートから外れ、木々に囲まれたエリアへと入っていく。


北上してきた海岸線から内陸へ。探検気分でバイクを進める

ワイキキビーチリゾートのイメージが強いオアフ島だが、映画「ジュラシックパーク」のロケにも使われたように、ジャングル地帯も存在している。内陸に向かうと、湿度も少し変わり、熱帯の雰囲気が漂う。ハワイ特有のてっぺんが平らの火山が見え、耳を澄ませば、動物や鳥の声も聞こえてくる。探検隊の気分だ。


「道路をシェアしよう」の看板に馬が!

ジャングル地帯を出て、ふたたび市街地へ。第2エイドは「カイルア・インターミディエイト・スクール」。50マイルの折り返し地点だ。ここは「シェイブアイス エイド」として知られており、カラフルなシェイブアイス(かき氷)が提供される。目にも嬉しいだけでなく、今年は暑く、本当にありがたい! 好みのシロップを選べるのだが、日本とは色とフレーバーの組み合わせが異なるので、注意が必要。筆者がセレクトしたブルーは、「ブルーハワイ」ではなく、バニラ味! 文化の違いを感じる。


目にも楽しいシェイブアイス


フルーツやスナックが提供された

他には、バナナやオレンジなどのフルーツ、フィリングや、ナッツたっぷりのエナジーバーなどが提供されていた。
100マイルの完走には、通過制限時間が設定された次のエイドが非常に重要で、10時半までの通過が必須となる。高速でも自由に走れる方を除き、状況が見え、第3エイド到達予想ができるこの第2エイドまでは、少し緊張感を持っていなければならない。この日は、ペースよく進むことができており、心穏やかに休憩を楽しむことができた。

第3エイドまでの20kmは、非常に走りやすく、アップダウンもほぼない。美しいヤシの並木を抜け、市街地を走り、ハワイの人々の暮らしぶりをのぞきながら、北上していく。順調に第3エイドに到着。75マイルの折り返し地点だ。


ヤシの並木をゆく


ピーナッツバターがたっぷり塗られたクラッカー!この1日で、1年分のピーナッツバターを食べる気がする

もう次が折り返し地点なのに、この制限時間は早すぎるようにも感じるが、まだ残り距離は100kmあるのだ。最後まで楽しく走りたいなら、かしこくペース配分をする必要がある。
さて、ここから、折り返しまでの間に、このコースの中で最も美しいと言われるエリアが広がっている。絶景を見に行こう! 海沿いを北上する。このあたりからは、マカプウなどと比べると水色に近い、いわゆるコバルトブルーの海が広がっている。左手には濃い緑に覆われた山々と草原が並び、右手には、広がる海。最高の景観だ。


チャイナマンズハットを前に記念撮影する参加者

リピーターたちはスポットを熟知していて「クアロアリージョナルパーク」に入り、中国人の帽子のように見えるという小さな島「チャイナマンズハット」を背景に記念撮影。美景が続き、あちこちでバイクを停め、記念撮影をしたい欲望に駆られてしまう。


海岸線を走る。チャイナマンズハットも見える

走る参加者のごく近くまで波が打ち寄せるエリアは、手を伸ばせば美しい海に触れられそうだ。ハワイは、まちがいなく楽園。この景色を見ると、いつもそう思う。
ほどなく折り返し地点「スワンジー・ビーチ・パーク」に到着。ここで80kmだ!
あとは来た道(距離)を戻るだけ。ここまで来ると、かなり安心できる。
<後編はこちら

画像:ホノルルセンチュリーライド受付事務局、編集部(P-Navi編集部)

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