いぃ那珂サイクルグルメツアー

2022/04/25(月) 10:36

いぃ那珂サイクルグルメツアー

自転車で茨城県那珂市の市内をめぐり、特産グルメを楽しむ「いぃ那珂サイクルグルメツアー」が3月19日に開催された。平坦の34kmほどをゆったりと走るサイクリングで、小学5年生から参加できる。参加費は大人2000円、中学生以下1000円とリーズナブルで、レンタサイクルの対応もあり、サポートライダー付き。参加しやすい条件が揃い、参加定員50名は早々に埋まったという。

当日は雨の予報もあったが、天気は好転して、スタート前には青空が顔をのぞかせるほどに。感染防止プロトコルに従い、参加者たちは手指の消毒などを行い、参加受付を済ませる。開会式が始まり、この日の休憩ポイントで提供されるグルメのラインナップが発表されると、参加費とは全く釣り合わない豪華な中身に、参加者のどよめきが漏れる。さらに、ゴール後には参加記念品も用意されているとか。何と豪華なんだ!


この日のルートマップが配られた。ハート型の那珂市の平坦コースを選んで走る

サイクリストでもある先﨑光市長は、那珂市のジャージで登場。参加者とともに走るという。


スタート前に挨拶をするウェア姿の先﨑光市長

この日は参加者を数名ずつのグループに分け、それぞれにサポートライダーが付き、安全を確保しながらグループごとに走る形式となっていた。サポートライダーは、市役所スタッフや、ラジオ局「茨城放送」の自転車部、近隣のサイクリストなどが務めるそうだ。筆者も市長と同じグループに入れてもらい、走らせていただく。


グループごとにブリーフィング。筆者は市長のグループで走らせてもらうことに

記念撮影をして、いざ、スタート! グループにはお子さんもいて、ゆったりペースで走るとのこと。田園風景の間を縫って走り出した。


参加者全員で記念撮影。みんなで丸のポーズ。今日は楽しむぞ!

桜が咲くにはまだ少し早く、春の気配が漂い始めたというところ。ふくらんだ桜のつぼみを見ながら、開花後の景観を想像しながら走っていく。


最初の休憩ポイントに到着!


太陽の光に輝く干し芋。ただモノではないオーラを放っていた

しばらく走り、9km地点で、清水洞の上公園に到着! 皆が楽しみにしてきた一つ目のエイドは、「芋助」さんの「干し芋」だった。平べったいものと、円柱状の個舗装された二種類の干し芋が全員に渡された。この地域は、水はけがよく、土壌がサツマイモの生育に適していることに加え、ミネラルを含んだ潮風と冬期の長い晴天が乾燥工程に向いているため、全国でも干し芋の生産量は日本一を誇るそうだ。干し芋に使われている品種は、甘みが強く、とてもやわらかい「べにはるか」。
わくわくしながら受け取った干し芋にはしっとりしたツヤがあり、重さもある。これまで見てきた、干し芋とは、風格が明らかに違う。
聞けば、太陽に当て、時間をかけてゆっくりと水分を蒸発させると、甘みが凝縮され、濃厚な干し芋になる。透き通るようなべっ甲色と、強い甘みを出すために、この「芋助」の干し芋は、今でも後半の乾燥は「天日干し」を貫いているのだとか。地元の皆さんに違いを聞くと、あくまで好みは個人の趣向によるけれど、丸タイプの方が平タイプよりお高いそうだ。どっちを食べるか悩んでいた来訪者組は、瞬時に丸タイプを食べる決断を下した。
頬張ると、ねっとりとした未知の食感。この食感と甘さは、もはやスイーツ! お値段は、400gで平干しが1280円、丸干しが1380円(時価)。十分価値がある、と話に花が咲いた。

ここから一部、来たルートを戻る。後発のグループとすれ違うことになり、言葉をかわし、手を振りながら行き交った。


所々で後から出発したグループとすれ違う

春の花に彩られた道を行き、2つ目の休憩ポイントである、那珂市立図書館に到着。テーブルには「ひまわりの丘」のシフォンケーキが並んでいた。平飼い鶏の新鮮な卵「ひまわりっこ」を使ったこだわりのケーキだという。ほおばると、ふんわり、しっとりしているけれど、キメが細かく、独特のコシがある。いったいどうやって作り上げるのかと驚いてしまうほどのクオリティー。むしろ生クリームなどを添えずに、このケーキのみを味わいたくなるシフォンケーキだった。店舗には他のフレーバーもあるらしく、強く興味をそそられた。


那珂市立図書館に到着


ふわふわのシフォンケーキが並べられていた

次の休憩ポイントは近いらしい。出発後すぐに大きな池が見えてきた。市役所前に広がる「一の関ため池親水公園」だ。冬には白鳥が飛来することで有名な地。那珂市の憩いの場所になっている。


休憩地点に到着。香ばしいいい香りが漂っている

ここには「曲がり屋」と呼ばれる茅葺家屋が建っている。「曲がり屋」とは、住居と馬小屋、物置が一体となった東北地方と茨城県の一部に見られる寒さの厳しい地方の代表的な民家形式。この家屋は、那珂市戸崎にあった茅葺家屋を解体保存し、一の関ため池親水公園内へ移設復元されたものだ。内部はきれいに保存・復元されており、昔の生活を思い浮かべることができる。


興味津々で曲がり屋へ


室内にはこの曲がり屋の精巧な模型も!

実は、この「曲がり屋」の風情には少々そぐわない香ばしいいい香りが漂っていたのだが、このスポットでは「ファミリーラーメンふるさと」さんの「常陸銀シャリ餃子」が焼かれ、振る舞われていた。


皮も中身も超美味!「常陸銀シャリ餃子」

「銀シャリ」という名が表すように、皮は地元産の米から作られているという。さっそくいただくと、焼き目部分はパリパリだが、噛み締めると、モチモチの食感! 中には地元産の野菜がたっぷり使われていて、肉と野菜の旨味がこれでもかというくらい詰まっていた。感動の味。ふるさと納税の返礼品にも選ばれている地元が誇る一品だ。


芝生でのんびり餃子を味わう

あまりのおいしさに、「100個でも食べられそう!」という声も。旨味は濃ゆいけれど、しつこくなく、軽くぺろりと食べられてしまう不思議な餃子だった。次はお店に、満足できる量(笑)頬張りに行こう!

ここからは、林の間を抜けたり、畑が広がる平原の間を走ったりと、変化のあるルートを行く。自転車の走行位置を示す矢羽根が描かれる道も多く、安心して走ることができた。


林の中を抜けていく


見晴らしのよい平原を気持ちよく走る。路面には矢羽根が描かれていた

4つ目のスポットは、「ふれあいファーム芳野」。ここでは「ジェノバ」の「かぼちゃスープ」が提供された。気づけば、提供品だけでほぼフルコースができそうだ。


「ふれあいファーム芳野」に到着


濃厚クリーミーなかぼちゃのポタージュスープ

クリーミーな黄色いポタージュスープは、一口飲むと、味もクリーミーで甘く、ふんわりとかぼちゃの風味が広がった。優しい味にほっこり。冷やしても、温めてもおいしいに違いない。大切にいただいて、皆が幸せな気持ちになった。

ライドはいよいよ終盤戦。休憩スポット=グルメも、あとひとつだ。ここからは、家々が立ち並ぶ街並みを抜け、林の間を走り、静神社の真っ白な大鳥居を眺めて、先へ。


風情のある街並みを抜けていく


静神社の真っ白な鳥居が見えてきた

緑に囲まれた「静峰ふるさと公園」に到着した。ここで振る舞われるのは、那珂市を代表するグルメ「奥久慈卵のとろ~りクリームパン」だ。このパンを焼く「パン工房ぐるぐる」のオーナーは、パンの世界大会の日本代表であるパン職人。茨城県産の奥久慈卵と茨城県産牛乳・茨城県産小麦「ゆめかおり」を使用した地産地消の商品でもあるという。


最後のスポット「静峰ふるさと公園」へ


これが「奥久慈卵のとろ~りクリームパン」だ。メディアにも数多く取り上げられてきた有名なパン


割ると、たっぷり入ったクリームが洪水のように流れ出してくる

パンを手にすると、ずしりと重い。割ってみると、なめらかなクリームがこれでもかというくらい詰め込まれており、一気に溢れ出てきてしまった。食べ続けており、半分取っておこうかと思っていたのだけれど、怒涛のクリームの波を見て、作戦変更。ありがたくいただくことにした。しっとりとした生地と、なめらかでコクのあるクリーム。まさに絶品だ。
フルコース、いただきました!
それにしても、お腹がいっぱいだ。来た道を戻る中、ここでも他のグループとすれ違った。一路、スタート会場を目指す。


歴史を感じる街並みを走り抜ける

道は走りやすく、クルマも自転車を避けて走ってくれるため、快適に走ることができた。順調すぎるくらい順調にスタート地点に帰着。スタッフの皆さんが拍手と笑顔で出迎えてくれた。筆者が参加したグループは、キッズライダーを含め、全員が完走(完食)した。先崎市長も楽しそうな参加者と、出迎えてくれたスタッフの笑顔を受けて、満面の笑顔でゴールしていた。


ゴール!ブース出店しているみなさんも拍手で迎えてくれた


一緒に走ったグループの皆さん。お疲れさまでした!

帰着報告をすると、アンケート回答と引き換えに、参加賞がもらえるという。袋を開け、中身の豪華さに、また驚く。


豪華すぎる参加賞。「七運カレーパン」はまるで料理みたい!

最初に目についたのは、大きく切られた野菜が並べられ、まるで料理の一皿のようなパン。伺うと「なんきん(かぼちゃ)」「レンコン」「にんじん」など「ん」のつく7種の具が入った「パン工房シャンテ」の「七運カレーパン」とのこと。那珂かぼちゃをベースとしたマイルドなカレーを、プルーンを使ってしっとり仕上げた玄米入りのヘルシーな生地で包み、焼いたものだという。さらには、水戸農業高校の学生が作ったという「いちごのジャム」や、いちごが練り込まれた「ストロベリー生パスタ」も。開催に協力した大塚製薬の「ポカリスエット」「ソイジョイ」も入っていた。ずしりと思い参加記念品の袋に、おもてなしの思いを感じた。
ゴール後は順次解散となる。参加者は皆、満ち足りた表情で会場を後にしていた。

那珂市はサイクリングの推奨コースを載せた、サイクリングマップも作成している。この日、提供されたフードは、もちろん各店舗で購入可能。質の高いグルメを食べて、次は店舗をめぐってみたいね!という声も上がっていた。
今回はグルメが主役だったが、緑の美しい季節に地域をめぐるのも楽しいだろう。自転車を使い、いろいろな楽しみ方がありそうだ。

画像:那珂市、編集部(P-Navi編集部)

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