UCI資生堂琵琶湖グランプリ

2021/12/14(火) 18:43

UCI資生堂琵琶湖グランプリ

シクロクロスレース「UCI資生堂琵琶湖グランプリ」が11月21日に開催された。舞台は琵琶湖に突き出す滋賀県草津市の烏丸半島。タイトルにあるように、UCI(世界自転車競技連合)公認の大会であり、上位入賞者には世界ランキングの基礎となるUCIポイントが付与される。
烏丸半島は琵琶湖の原風景といわれるヨシ原が広がる自然豊かな土地。熱気球フェスやイナズマロックフェスの開催地としても有名だ。今回は琵琶湖博物館横のハス回廊に囲まれた広場スペースに特設コースが設営された。

この日は、MTBの全日本選手権が開催されており、MTBレースに参加する選手が欠場し、ロード系の選手と、関西でシクロクロスに参戦する選手たちがしのぎを削ることになった。レースは広場に張り巡らされた2.9kmのコースで開催。斜面をうまく活用して設計され、アップダウンやコーナーも多く含まれる。これまでも、この土地でレースは開催されてきたが、今回のコースは以前のものよりも難度を上げて設計されたという。


スタートしていく女子エリートの選手たち

女子エリートは、12時55分にスタート。MTB系の選手が欠場したため、この日注目を集めたのは、11月はじめに開催された幕張クロスの勝者、石田唯(早稲田大学)や、福田咲絵(AX cyclocross team)ら。
すばらしいスタートを切った鵜飼知春(andmore)を先頭に、第1コーナーを回る。石田がここにぴったりつき、好発進した。


先行する福田咲絵(AX cyclocross team)と食らいつく石田唯(早稲田大学)

少し遅れた福田が、ここに合流、鵜飼を引き離し、石田と福田が2名で先行を始めた。福田は調子の良さを見せ、抜け出し、石田も引き離して早くも独走態勢に入った。福田が独走し、これを石田が単独で追い、その後ろに鵜飼と赤松綾(AYA BIKES)の2名が続く展開に。


先頭2名を追う赤松綾(AYA BIKES)と鵜飼知春(andmore)

シクロクロスでは、カテゴリー別に競技時間の目安が決まっており、選手のその日のペースを見て、コミッセール(審判)が周回数を通告する。女子エリートの競技目安時間は40分であり、この日のレースは6周回で開催されることが宣言された。
勝つために福田は5周回の独走を果たさねばならないが、単独で先行を続ける福田の勢いは衰えない。じわじわと石田との差を開いていった。


福田を追い、一人で走る石田

先行する2名を追う赤松と鵜飼のパックに望月美和子(ORCA CYCLING TEAM)が追いつき、追走は3名に。ここから望月が抜け出し、3位のポジションに上がると、単独で石田を追った。


赤松と鵜飼のパックに望月美和子(ORCA CYCLING TEAM)が合流。望月は一時単独3位まで順位を上げた

福田は石田との差をキープしたまま最終周回へ。堂々とした走りで、最終周回も走り切り、UCIレースを制した。


最後まで独走を続け、笑顔で両手を上げフィニッシュする福田

同じく一人旅となった石田も2位のポジションをキープしてフィニッシュ。3位には、最後に望月をかわした赤松が食い込んだ。

→男子エリートのレポートは2ページ目をご覧ください。

続いては男子エリートのスタートだ。MTBを主戦場とする沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)らは欠場となり、本命馬は織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)や日本を代表するシクロクロッサー(シクロクロス選手)の小坂光(宇都宮ブリッツェン)、さらには現在のメインはロードレースであるが、大阪に居を置くシマノレーシングからの出走という地の利のある横山航太(シマノレーシング)らが最前列に並んだ。横山はこれまでU17、ジュニア、U23とシクロクロスの全日本選手権を制してきており、日本トップの位置でシクロクロスに挑み続けてきた選手である。

スタートラインに並んだのは79名。小坂を先頭に第一コーナーを回る。シクロクロスは、コースが狭く、立て続けにコーナーが現れたり、荒れた路面が出てきたりとテクニカルなセクションも多い。参戦人数が多い場合は特に、スタートダッシュで前方の位置を確保することが非常に重要になる。


有力選手を最前列にスタートした79名の男子エリートの選手たち

スタート直後に大きな落車があり、複数の選手が巻き込まれ、足止めをくらってしまった。前方にいた小坂、織田、横山、加藤健悟(臼杵レーシング)が抜け出し、先頭のパックを作った。


小坂光(宇都宮ブリッツェン)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、横山航太(シマノレーシング)、加藤健悟(臼杵レーシング)が4名のパックを作る

織田はここから抜け出し、単独での走行に入った。小坂、横山、加藤が3人のパックを作り、織田を追う。
織田は順調に周回を重ねていく。いったん開いた差の拡大はストップしたものの、淡々と周回をこなす。だが、まだ先は長い。男子の周回数は9周と決まった。


先行する織田を追う小坂、横山。加藤は堪えきれずじりじりと遅れてしまった

加藤が脱落し、追走は2名になったが、小坂と横山は協調しながら、全力で織田との差を詰めるべく走る。


連戦の疲れも見せず、衰えないペースで先頭を走り続ける織田

力を合わせて追い上げた2名だが、横山が脱落。小坂は逆転への執念を見せ、単独で織田を追ったが、追いつくことはできなかった。
織田は前週の野辺山のリフレインのように烏丸でも独走を果たし、堂々の優勝。2戦続けてUCIレースを制する形となった。


天に拳を突き上げ、単独でフィニッシュした織田。UCIレース連勝は大きな功績だ


表彰台に乗った織田、小坂、横山

選手たちはこの後もレースが控え、転戦が続く。今回レースを欠場した沢田時は、同日開催のMTBの全日本選手権を見事に制し、MTBの日本チャンピオンとなった。モチベーション高く調整する選手たちがどのような形で12月の全日本選手権に臨むのか、さらに注目が集まった__。

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【結果】男子エリート
1位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)1時間1分50秒
2位/小坂光(宇都宮ブリッツェン)+1分23秒
3位/横山航太(シマノレーシング)+2分24秒
4位/比護任(PAXPROJECT)+2分44秒
5位/加藤健悟(臼杵レーシング)+3分4秒

【結果】女子エリート(6Laps)
1位/福田咲絵(AX cyclocross team)48分14秒
2位/石田唯(早稲田大学)+1分44秒
3位/赤松綾(AYA BIKES)+2分14秒
4位/望月美和子(ORCA CYCLING TEAM)+2分28秒
5位/鵜飼知春(andmore)+2分52秒

画像:Satoshi ODA

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【前回のレースレポート】
Rapha弱虫ペダル スーパークロス野辺山2021(P-Navi編集部)

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