2021/10/13(水) 17:13
Jプロツアー第15戦の「群馬CSCロードレース9月Day1」が9月25日、開催された。今回のレースは3日間の連続開催という形になる。実はこの日程で国際レース「ツール・ド・北海道(UCI2.2)」が予定されていたが、新型コロナウィルスの感染拡大を受けて中止。その代替として、異例の3日間という日程で開催することになったのだ。
秋の雰囲気を増してきた群馬サイクルスポーツセンターで開催された
初日のDay-1は、JBCFレースシリーズでJプロツアーに次ぐJエリートツアーの中の最上位「E1クラスタ」の選手も出場可能な交流戦として行われた。E1からオープン参加という形で選手13名が出走。さらに、Jプロツアーライセンスを今シーズン取得していないチームからも出場できる「セレクションレース制度」の対象レースとされ、8名の選手が出走した。
会場はすっかりおなじみとなった群馬サイクルスポーツセンター。この日のレースは、6kmサーキットを逆回りで30周する180kmに設定された。
ツアーの個人総合首位のホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が赤いリーダージャージを、U23首位の山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が白いリーダージャージで先頭に並ぶ。
レースは静かにスタートした。
リーダージャージを着るホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)を先頭にレースがスタート
スタート直後からハイペース。さかんにアタックが仕掛けられる
約半周のローリングの後、レースが始まった。ただちにアタックが仕掛けられ、アタックと吸収を繰り返しながらレースが進む。ペースは1周8分30秒前後と速い。次々と攻撃が仕掛けられるものの、なかなか逃げが容認されず、不安定なまま周回を越えていく。
アタックが決まらず、横にも広がり始める集団
9周目、数名が先行する動きが出たが、差を広げられずに集団に吸収されてしまう。
その後も数名が飛び出す場面が出てくるが、長く先行することはなく、集団に吸収されてしまう。なかなか決定的な動きが生まれてこない。
折り返しを越えた頃、ようやく17名からなる大きな先頭集団が作られた
メイン集団はTEAM BRIDGESTONE Cycling が先頭に立ち、コントロール
メイン集団の先頭には、先のレースで連勝したTEAM BRIDGESTONE Cyclingが立ってコントロール。主要チームの有力選手を多く含む先頭集団との差は、最大で2分30秒程度まで開く。逃げ切りの可能性も見えてきた。
各チームが牽引に加わり、メイン集団のペースアップを始めた
ほどなくしてシマノレーシングやCIEL BLEU KANOYA、LEOMO Bellmare Racing Teamなどもメイン集団のコントロールに加わった。差は2分前後に保たれる。レースはこのまま終盤へ入っていった。
24周目、先頭集団の牽引が本格化し、メイン集団との差が一気に1分30秒まで縮まった。この動向を受け、先頭集団の協調が崩れ、アタックが頻発し始める。
先頭集団からアタックする伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
先行する選手たちのすぐ後方にメイン集団が迫ってきた
ラスト4周に入ると、吸収を嫌った小林海(マトリックスパワータグ)、大前翔(愛三工業レーシングチーム)、沢田時(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、湊諒(シマノレーシング)らが先頭集団から飛び出した。だが、メイン集団もペースを上げており、ついにラスト3周目、全ての先行する選手を吸収し、ひとつの集団となった。レースは振り出しに戻り、フィニッシュに向けて、勝ちを狙う動きが生まれ、レースは一気に活性化した。
残り2周、E1クラスタから参加している細川健太(TEAM YOU CAN)がタイミングを見計らい、アタック。これに反応した今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が追走し、そのまま細川を抜き去った。今村はこの勢いを保ったまま、単独での先行態勢に入る。
勇敢に仕掛けた細川健太(TEAM YOU CAN)をかわし、先頭に躍り出る今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
パワフルに独走に入ろうとする今村に食らいついたフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)
スピードのある今村をこのまま行かせるわけにはいかないと飛び出したのはフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)だった。追走をかけ、見事に今村に合流する。
今村とマンセボは牽制することなく、先頭交代を繰り返し、残り2周を走り切る構えだ。後続との差は1分まで広げた。単独で草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)が飛び出し、2人を追ったが、追いつくことはできなかった。勝負は先頭2名の一騎討ちに持ち込まれることになった。
先頭交代をしながら、フィニッシュを目指す今村とマンセボ
スプリント力を誇る若手、今村の後ろに、ツール・ド・フランスなど、世界最高峰のレースで活躍してきた超ベテランのマンセボがぴったりと付いた。二人は残り1kmをこのまま通過。
2人はこのままフィニッシュへ。スプリント勝負となったが、マンセボは今村のスピードには及ばず、今村は先頭に立ったまま、マンセボを振り切ってフィニッシュラインを越えた。今村にとっては、今季2勝目となった。
今村は強力なスプリントを繰り出し、先行したままフィニッシュラインを越えた
3位には単独追走に出た草場が入った。リーダーのトリビオは、メイン集団の先頭でフィニッシュし、きっちりとポイントを加算した。
上位3名の表彰式。今村、草場は年間の総合ランキングでも着々とポイントを積み増している
今村は逃げにもきっちりと3名が入り、メイン集団の牽引にも力を発揮したチームメイトの強さを賞賛し「自分は(最後の局面まで)安心して休んでいられた」と感謝を語った。
リーダーは、トリビオと井上がキープ。3連戦の1日目はTEAM BRIDGESTONE Cyclingが強さを見せた。残り2戦も同会場で行われるが、周回方向や周回数の設定が異なっており、それぞれ違う展開となることが予想される。どのようなレースになるのか、楽しみだ。
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【結果結果】群馬CSCロードレース9月Day-1(180km)
1位/今村駿介(TEAM BRIDGESTONE Cycling)4時間32分05秒
2位/フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ)+0秒
3位/草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)+1分2秒
4位/ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)+1分13秒
5位/大町健斗(eNShare レーシングチーム)+1分14秒
6位/岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)+1分14秒
【中間スプリント賞】
1回目/フランシスコ・マンセボ・ペレス(マトリックスパワータグ)
2回目/岡本 隼(愛三工業レーシングチーム)
3回目/阿曽圭佑(セレクションチーム・オープン参加)
4回目/安原大貴(マトリックスパワータグ)
【敢闘賞】
該当者なし
【Jプロツアーリーダー】
ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)
【U23リーダー】
山本哲央(TEAM BRIDGESTONE Cycling)
画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)(P-Navi編集部)