おおいたサイクルロードレース・レポート

2021/04/10(土) 14:24

おおいたサイクルロードレース・レポート

大分市内に設営された特設コースで、おおいたサイクルロードレースが10月4日に開催された。例年は「おおいたアーバンクラシック」というUCI(世界自転車競技連合)公認の国際レースとして開催されているのだが、今回は新型コロナウィルス感染拡大を受け、前日のクリテリウムと同様、JBCF(日本実業団自転車競技連盟)内のリーグJプロツアーの1戦として開催されたものだ。
JBCFの最高峰リーグであるJプロツアーは、今季はこのレースと、残り1戦(ステージ戦として2レースで構成)を残すのみとなった。
このレースは「おおいたアーバンクラシック」という国際レースとして市街地を走る10kmのコースを使用していたのだが、今回はおおいたスポーツ公園内に設営された一周4kmのショートコースを使用することになった。
コースは長い上りとカーブが連続する下りで構成され、テクニックを要するポイントも多い。特に、ラスト500m地点の下りと上りから構成されるヘアピンカーブは、ここから長い上り坂に突入することもあり、選手たちを絞りこんでいく難所となるだろう。レースは、このコースを25周する100kmの設定で開催された。

国内レースとなった今回も、ラウンドガールが登場し、レースを盛り上げた。スタート地点の昭和電工ドームはラグビーW杯の会場にもなった地だ

昭和電工ドーム前のスタートラインには、Jプロツアーのリーダージャージを着るレオネル・キンテロ(マトリックス パワータグ)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)を先頭に選手たちがラインナップした。

スタート。無観客開催だが、公園に立ち寄った市民を排除まではしないという方向で開催された

スタートと同時に、有力チームから次々とアタックが仕掛けられる。すでに勝利をあげているKINAN CyclingTeamや、勝利がほしいTeamUKYO、前日に引き続き、勝利を狙いたいTEAM BRIDGESTONE Cycling、地元出身の黒枝咲哉(シマノレーシング)などが集団前方で積極的に動いて行き、ペースが上がった集団は長く引き伸ばされた状態に。テクニカルな要素を含んだ周回の中で、選手たちが絞り込まれていく。

スタートから積極的に各チームが仕掛けていくアクティブな展開に

地元出身の黒枝咲哉(シマノレーシング)も積極的に展開

盤石の体制でリーダーを守るマトリックス パワータグは、ベテランのフランシスコ・マンセボ(マトリックス パワータグ)を中心にレースをコントロール。他チームの選手たちの動きをチェックしつぶしていくため、決定的な動きが生み出されないまま、レースは中盤へ。

前日に引き続き、集団をきっちりとコントロールするマトリックス パワータグ

40代となっても、圧倒的なオーラを放つフランシスコ・マンセボ(マトリックス パワータグ)。レース勘を活かし、完璧にレースをコントロールしていく

動きが生じたのは、集団が30名ほどまで絞られた14周回目。風間翔眞(シマノレーシング)と高木三千成(さいたまディレーブ)の2名が飛び出した。ここに小石祐馬(チーム右京)、今村駿介(チームブリヂストンサイクリング)、山本大喜、新城雄大(KINANCyclingTeam)、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)の5名が合流する。高木は遅れてしまったが、6名の先頭集団が形成された。力のあるメンバーが揃う有力な逃げ集団だ。マトリックス パワータグがコントロールを始めたメイン集団と、この集団のタイム差は、約50秒まで広がった。
ところが、トリビオは自分のチームがコントロールするメイン集団の意向を受けてか、先頭交代にも加わらず、他のメンバーも意思疎通が取れないのか、足並みが揃わない。集団のペースが上がらないため、じわじわとメイン集団との差は縮まっていった。
吸収が見えてきたところで、小石がアタック。新城と山本もこれに反応、合流して3名で先頭を行くが、愛三工業レーシングチームも牽引に加わり、ペースアップしたメイン集団は、3名との差を詰めていく。ラスト3周、3名が吸収された。

抜け出した伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)、ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)が合流

ラスト2周のタイミングで伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)がアタック。ここに再びトリビオが反応し、2名で集団から先行する形になった。ラスト2km、阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)もここに合流。3名でのゴール勝負が見えてきた。

先行する2名に阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が追いつき、駆け引きをしながら全力でゴールを目指す

ラスト100m、先行していたのはトリビオだった。この後ろに阿部が付くが、前に出ることはできず。トリビオはこのまま先頭を独走し、両手を力強く突き上げ、歓喜のガッツポーズで優勝を決めた。

トリビオが勝利をあげた

トリビオが、日本で走るのは8シーズン目。過去に4回Jプロツアーのリーダーを獲得しており、日本ではおなじみのトップレーサーだが、これが昨シーズンの初勝利になった。

ゴール勝負を展開した3名の表彰台

フィニッシュラインでは喜びを爆発させたトリビオは、チームメイトであるマンセボが巧みにレースをコントロールしてくれるために余裕ができ、集中して走れると、チームメイトへの感謝を語った。

リーダージャージを守ったキンテロ

マトリックス パワータグは、リーダーであるキンテロに加え、トリビオもこの勝利でポイントを獲得し、2位につける大前翔(愛三工業レーシングチーム)との差を13ポイントに詰めており、最終戦で2位へとジャンプアップできる可能性が高まった。上位を争っていた宇都宮ブリッツェンの増田が海外遠征に出て、最終戦も欠場が決まっているため、マトリックスがリーグ戦で1-2を勝ち取る可能性も出てきている。とはいえ、首位のキンテロと2位の大前とのポイント差は209。最終戦はもっともポイント配分の多いレース格付け「プラチナ」の経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップの2戦。優勝ポイントは900であり、まだまだ十分に挽回可能な点数である。

 

【結果】おおいたサイクルロードレース 100km
1位/ホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ) 2時間16分18秒
2位/阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3位/伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +5秒
4位/レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ) +11秒
5位/大前翔(愛三工業レーシングチーム) +11秒
6位/阿曽圭佑(eNShare Racing Team) +11秒

【敢闘賞】
小石祐馬(TeamUKYO)

【中間スプリントポイント】
3周回完了時 山本元喜(KINAN Cycling Team)
6周回完了時 対象なし
15周回完了時 山本大喜(KINAN Cycling Team)

【Jプロツアーリーダー】
レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)

【U23リーダー】
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

 

画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)(P-Navi編集部)

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