2020/11/27(金) 14:43
コロナ禍の中、開幕が遅れた国内サイクルロードレースの最高峰リーグJプロツアー。8月8日に第4戦となる宇都宮クリテリウムが開催され、地元チームである宇都宮ブリッツェンがプレッシャーをはねのけて、見事に優勝を飾った。
クリテリウムとは小周回を回るレース形式のこと。コースは一般的には平坦で、トータルのレース時間も短いため、高速の展開になることが多い。ハイスピードで駆け抜ける選手たちの姿を間近で何回も見られることから、通常は多くの観客で賑わうのだが、新型コロナウイルスの感染拡大対策のため、一般観客の観戦が禁止され、メディアと関係者のみが集まる静かなレースとなった。
サーキットが設営されたのは宇都宮市中心街の東にある清原工業団地。例年は観客が集まり、多くのグルメや自転車関連ブースが並ぶのだが、もちろん、今年はなし。粛々と、開催されるレースの他は何もないシンプルな会場であった。
今年は昨年、使用された角形のサーキットからTの字型のレイアウトに変更。その結果、難度の高いヘアピンカーブが3つも登場し、さらには直角コーナーが2つ、迅速なスピードアップが求められる約1kmのストレートが並ぶタフな設定となった。このコースではテクニックやパワー、持久力など、あらゆる能力が試されることになる。
8月に入り、梅雨が明け、酷暑ではないまでも気温は30度。湿度が高く、まだ暑さに慣れていない身体にとっては厳しさを感じる天候の中、大会はスタートした。
レースは1周=2.2kmのサーキットを23周する50.6km。レース時間は1時間余と、予想された。
スタート直後からアタックが積極的に仕掛けられるが、吸収を繰り返す。そんな不安定な状況がしばらく続いた。ペースも速く、脚力を奪っていくタフなコースに、序盤から早くも脱落する選手が出始めた。その中でリーダージャージを着る増田成幸を擁し、ホストチームでもある宇都宮ブリッツェンがレースの主導権を握るべく、前方に集結してきた。サポーターたちの来場はないにしても、この宇都宮開催のレースを落とす訳にはいかないということだろう。
中盤に差し掛かり、中村龍吉(群馬グリフィンレーシングチーム)が集団から飛び出し、これに合わせ、山本大喜(キナンサイクリングチーム)、小石祐馬(チーム右京)、小森亮平(マトリックスパワータグ )、門田祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team)らも抜け出し、集団も容認し、5名の逃げ集団が形成された。
宇都宮ブリッツェンがコントロールするメイン集団はいつでも捉えられるよう、逃げ集団とのタイム差を20-30秒にキープ。5名は「泳がされている」状態で周回を重ねていく。
終盤に差し掛かると、ゴールを狙えるスプリンターが控える愛三工業レーシングチームやTEAM BRIDGESTONE Cyclingのメンバーも集団前方に上がり、メイン集団をペースアップしていく。集団はラスト1kmで、遂に逃げていた5名を捉えた。
ここからがスプリンターたちの争い。山本大喜を先頭に最終コーナーをクリアし、残りは350m。小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)や孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling)、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)ら、スプリント力のある選手たちが続く。
この実力者たちの中、抜け出したのは地元ブリッツェンの小野寺だった。力強いガッツポーズでフィニッシュラインを駆け抜けた。
宇都宮ブリッツェンはチームとしては3連勝。レースをコントロールし、増田のリーダージャージも守り、完璧な勝利を飾った。
フィニッシュタイムは1時間9分余、平均時速44kmという速い展開になった。
表彰台に立った小野寺は「今日は自分が勝負を担う予定ではなかった」と、語った。エースを担うはずだった大久保選手が遅れてしまい、自分で勝負しなくてはいけないと、考えを切り替えたのだという。「地元で3連覇できて良かった」と、インタビューを締めくくった。
この翌日は同じ宇都宮を舞台にロードレースが開催。またもやブリッツェンが地元の意地を見せるのか?ここで他チームがブリッツェンの快進撃を止められるのか?に注目が集まった。
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【結果】宇都宮クリテリウム
1位/小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) 1時間9分37秒
2位/岡本隼(愛三工業レーシングチーム) +0秒
3位/孫崎大樹(TEAM BRIDGESTONE Cycling) +0秒
4位/門田祐輔(Hincapie LEOMO Bellmare Racing Team) +0秒
5位/織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1秒
6位/鈴木龍(宇都宮ブリッツェン) +1秒
【敢闘賞】
該当なし
【中間スプリントポイント】
5周回完了時/横塚浩平(チーム右京)
10周回完了時/小森亮平(マトリックスパワータグ )
15周回完了時/山本大喜(KINAN Cycling Team)
【Jプロツアーリーダー】
増田成幸(宇都宮ブリッツェン)
【U23リーダー】
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)(P-Navi編集部)