東日本ロードクラシック群馬大会 Day-1

2020/10/24(土) 15:32

東日本ロードクラシック群馬大会 Day-1

7月23日から25日まで群馬サイクルスポーツセンターを舞台に、今年度初開催となるトップカテゴリーのサイクルロードレース『Jプロツアー東日本ロードクラシック群馬大会』が開催され、白熱のレースが繰り広げられた。

新型コロナウィルスの感染が拡大した今年__サイクルロードレースも中止や延期を余儀なくされ、海外からの招聘(しょうへい)を伴う国際レースはもちろん、国内のトップリーグであるJプロツアーも。その母体として各カテゴリーのレースを開催するJBCFシリーズの全てのレースも開幕戦から中止となり、これまでレースは開催されずにいた。海外ではナショナル選手権が開催されているケースもあるようだが、日本では全日本選手権すら中止が決定している。

だが、緊急事態宣言の解除から少しずつ各スポーツ団体が無観客や観客数を絞り込んで開催の再開を決めており、JBCFシリーズも7月18日から19日の山口の『きらら浜クリテリウム』から再開されることとなった。ここではJBCFシリーズの中の最高峰カテゴリーであるJプロツアーは一つ下のカテゴリーであるJエリートツアーとの交流戦としての開催であったが、7月23日からJプロツアー単体のレースとして、3日間、続けてレースを行う『東日本ロードクラシック群馬大会』の開催が決定され、国内のプロチームも参戦を表明した。


受付にも飛沫対策が練られ、細心の注意を払っての運営となった


入場者全員を検温

この開催はまさに厳戒態勢。一般観客の観戦は禁止され、出場選手やチームスタッフ、大会役員、メディアなど、当日会場に出入りする人間は大会前14日分の体温記録などを含めた健康状態の申告が義務付けられた。当日は入場者全員の検温も行われた。
なにせ前例のない緊急事態。スポーツは競技特性により注意すべき点も異なり、その競技をよく知る人間が進行上リスクのあるポイントに対し、対応策を考えるしかない。JBCFは独自にガイドラインを定めたうえで『新型コロナウィルス感染拡大防止対策』に細心の注意を払っての運営となった。

まずは初日のDay-1。Jプロツアーは1周=6kmのサーキットを20周回する120kmのレースである。Jプロツアー所属から16チーム。そして、JCF(日本自転車競技連盟)強化指定選抜チームも加わり、計17チームが参戦した。

当日は朝から雨が降り続いていたが、Jプロツアーの開催前に雨が止み、濡れていた路面のコンディションもレースの進行に合わせて、変化していった。


スタート
無観客開催となり、歓声のない静かなスタートになった

レース開始と同時に長く伸びた集団だが、3周目に設定された最初の中間スプリントポイントはマトリックスパワータグに今年から加入したレオネル・アレクサンダー・キンテロ・アートアーガが獲得。ここから動きが生じた。15名が抜け出し、先行していく。


主力メンバーが含まれた先頭集団
キナンのトマが前を引き、チームメイトを休ませる


長く伸びるメイン集団

2名が遅れ、13名の先頭集団が形成される。この中には増田成幸、小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)、山本元喜、トマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)、佐野淳哉(レバンテフジ静岡)ら、主要チームのエース格の選手たちが含まれており、レースは落ち着き、送り込んだメイン集団との差は3分30秒にまで開いた。


観客のいない「心臓破りの坂」
静かな会場に選手たちの呼吸音が響く


先頭集団に誰も送り込めなかったチームがメイン集団を引く

中盤から先頭に誰も送り込めなかったチーム右京が集団のコントロールを始め、マトリックスパワータグもここに加わり、ペースアップを図る。先頭との差を2分台までに縮めたが、ラスト5周になっても差はこれ以上、詰まらない。


中盤からマトリックス、右京が前に出て、ペースアップを図るが、先頭との差は詰まらない

勝負は先頭集団内に絞り込まれた。ラスト2周、数名がふるい落とされ、9人まで絞り込まれた先頭集団から増田がアタック。これを山本と織田が追走し、3名の集団となった。


増田が渾身のアタック
だが、2人を振り切れない


山本が最後の上りで仕掛けるが、決定的な動きにはならなかった

ここでレースは最終周回へ突入。増田が仕掛けるも、2人を振り切れず。山本がアタックするが、決まらない。勝利への駆け引きが続くも、誰も決定的な動きを打つことはできなかった。


勝負はスプリントへ
山本が見事に競り勝った

勝負はゴールでのスプリントに持ち越された。ここでスプリントを制したのは2018年の全日本チャンピオンである山本だった。2020年度Jプロツアー初の勝者が誕生した。


上位3名の表彰台。ソーシャルディスタンスを保っての進行だ


敢闘賞を獲得した前田(弱虫ペダルサイクリングチ―ム)

山本にとっては全日本選手権以来、初めての勝利だったという。チームメイトのサポートを受けながら勝利を掴んだ山本選手は「このようなレース展開の中で勝てたということに、チームとしてのステップアップも感じる」と、喜びを語り、翌日からのレースに向けての抱負でインタビューを締めくくった。


ツアーのリーダージャージは山本に
U23のリーダーは織田の手に渡った

この日はエリートツアー、ユースツアーも開催され、それぞれのカテゴリーにおいてレース開催を待ちわびた選手たちのレースが展開された。
高い強度での身体運動をしながら集団を構成し、それが長時間継続されるというロードレースは新型コロナウィルス対策が最も難しい部類に入る種目だと言えるだろう。観客の入場が許され、声援の中でレースが開催される日を待ちわびながらも、まずは主催者の並々ならぬ努力の中、初戦が無事に開催されたことを喜ばしく感じ、主催者に感謝と敬意を表したい。

【結果】 Jプロツアー第1戦 東日本ロードクラシックDay-1 120km
1位 山本元喜(KINAN Cycling Team) 2時間59分01秒
2位 増田成幸(宇都宮ブリッツェン) +0秒
3位 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) +1秒
4位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +39秒
5位 小森亮平(マトリックスパワータグ ) +39秒
6位 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム) +39秒

【敢闘賞】
前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)

【中間スプリントポイント】
3周回完了時 レオネル・キンテロ(マトリックスパワータグ)
6周回完了時 草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)
9周回完了時 小森亮平(マトリックスパワータグ)

【Jプロツアーリーダー】
山本元喜(KINAN Cycling Team)
【U23リーダー】
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

画像提供:一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟 (JBCF)(P-Navi編集部)

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