ドリームシーカーMTBから2020TOKYOを狙う山本幸平選手の挑戦

2018/09/04(火) 10:28

ドリームシーカーMTBから2020TOKYOを狙う山本幸平選手の挑戦

ドリームシーカーMTBから2020TOKYOを狙う

山本幸平選手の挑戦

世界で戦う自転車競技のプロ選手の集団Dream Seeker(ドリームシーカー)に、3度のオリンピックを経験する全日本チャンピオン山本幸平選手が今年MTB(マウンテンバイク)部門を立ち上げた。

MTBチームを新たに立ち上げた山本幸平

オフロードで競われるMTB競技の中には、一斉スタートから周回コースで競われるレース、クロスカウントリー(XC)や下りコースを一人ずつ走りスピードを競うダウンヒル(DH)、テクニックを競うトライアルなど、複数の種目が存在するが、オリンピック競技になっているのは、XCのみだ。世界を舞台に戦うXCの山本幸平選手は3度のオリンピックを経験、全日本だけでなく、9回のアジアチャンピオンに輝き、日本人選手の中でも抜きん出た実力を誇る選手である。この山本選手が中心となり、今年Dream SeakerのMTB部門を設立。2名の選手が加盟し、元アジアチャンピオンの鈴木雷太氏を監督に迎え、チームは動き出した。

ここ数シーズンは世界を転戦し、さらなるレベルアップを目指してきた山本選手は自身の選手としてのキャリアの中で、自分の経験を伝え、若手選手の育成と日本全体での競技力向上とMTBの普及に尽力したいという想いを強くした。そして、新田祐大選手とコンタクトを取り、ドリームシーカーのMTB部門設立が実現したという。チームは国際大会での勝利や世界に通用する選手の育成に加え、「2020年の東京五輪での優勝」を目標として掲げ、今シーズンをスタートさせた。7月に1名が競技を引退し、現在は山本選手とU-23の北林力の2選手による活動となったが、共に国内外を転戦して経験を積み、山本選手は今年、全日本選手権で4年連続となる10勝目をあげた。

10回目の全日本制覇後、初レースは白馬

全日本選手権後の初レースとなったのはCoupe de Japon Hakuba(クップ・ドュ・ジャポン・ハクバ/UCIカテゴリー3)、長野県白馬で8月12日に開催されたUCI(世界自転車競技連合)認定の国際レースだった。
レースサーキットはテクニカルというよりは、高速で「踏んで行く」種類のもの。白馬とはいえ、真夏の開催とあって、選手たちは暑さや湿度にも苦しめられた。オーバーペースになるとリズムを失い自滅する可能性もあり「ペースに気をつけて走った」という。全日本選手権から3週間。暑さもあり、中盤はだるさが出て動きが鈍った局面もあったが、終盤は「遠いカナダでW杯を走っている選手たちを思い、自分自身を奮い立たせゴールまで突っ走った」という。次着に3分以上のタイム差をつけて優勝。レースに挑みながらも「もう少し、コースに手を加えセクションを作れば、魅力的なレースになるのではないか」と、日本のレースシーンを盛り上げるための客観的な洞察も忘れていない。

再渡欧、視線の先は2020へ

山本選手は北海道の十勝生まれ。国際自然環境アウトドア専門学校でMTBを学んだ後はプロ選手としての活動を開始、契約チームを変えながら、主には単身で世界を舞台に戦ってきた。「海外旅行が好きだったり、国際交流が好きだったり、そういう要素も加わっているかな」と、笑う。

白馬のレース後は平林選手と共にヨーロッパへ渡り、W杯最終戦、フランスのラ・ブレスに参戦、43位でレースを終えた。(平林選手はU−23で94位)
2週間後にはスイスでの世界選手権への参戦を控えており、レース後はスイスに移動し、最終調整を行うという。

今シーズンは秋にもまだ国内外のUCIレース参戦を残しており、上位入賞することで与えられる「UCIポイント」の獲得が期待できる。「UCIポイント」は自身やチームのランキングだけでなく、世界選手権や五輪などの参加枠獲得にもつながるために、日本にとっても非常に重要な要素なのだ。
自身のリザルトを追うだけでなく「若手育成」という新たな課題を背負った山本選手はさらに意欲に満ち、エネルギッシュに活動しているように見える。
「来シーズン、そして2020の東京五輪もシッカリと見据えたうえで、体調管理に気をつけながら今後のレースに臨んでいきたい」
力強く展望を語る山本選手。ドリームシーカーという希望に満ちたユニットの中で、今後どんな発展を見せてくれるのだろう。これからの活躍を期待し、応援せずにはいられない存在だ。

山本幸平(やまもと・こうへい)
1985年8月20日生まれ 北海道十勝地方出身
182cm・68kg
北京、ロンドン、リオオリンピックMTB日本代表
全日本選手権10勝、4連覇中、アジア選手権9勝
兄とともにMTB競技を開始
小学4年生でレースに初出場
小・中学校は北海道内を家族で移動してレースに参戦
高校生からはJAPANシリーズを転戦
3年生で初めての海外と国際レースを経験
世界選手権に初出場、プロとして戦うことを決意する
国際自然環境アウトドア専門学校卒業後はプロ選手に
ブリヂストンアンカー、Specialized Racing Team、Trek Factory Racing MTB Team、TEAM BH SR-SUNTOUR KMCと、
有力チームに所属をしながら世界を転戦
今季Dream Seeker Racing TeamにMTB部門を立ち上げる
2020東京五輪での金メダルを目指して活動中(P-Navi編集部)

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