2019/12/16(月) 23:14
【今年行われたサイクルイベントをご紹介します!】
4月20日、千葉県の茂原ツインサーキットにおいて、『キャラクターエンデューロ2019』が開催された。これは参加者全員が、アニメ、ゲーム等のキャラクターが描かれたウェアを着るか、コスプレ、仮装をすることが競技ルールとなっている、耐久レースを中心とした大会。これまでも開催されてきたが、アニメ化された自転車のロングライド等を描いた漫画『ろんぐらいだぁすとーりーず!』が冠につく形で、今年新たに開催されることになったのだ。
[caption id="attachment_31560" align="alignnone" width="640"] 全参加選手の記念撮影。キャラクターを描いた「痛車」のホイールを掲げる参加者も[/caption]
この日は、バイクのタイムトライアルと5時間エンデューロ(耐久)に加え、ランも一種目として開催され、双方の参加者とともに、豪華なゲストや、華やかなレースを目当てに、多くのファンが観戦に訪れた。
[caption id="attachment_31561" align="alignnone" width="640"] 会場は参加者や観戦客で大いに賑わった[/caption]
[caption id="attachment_31562" align="alignnone" width="319"] 『♡陛下』のコスチュームでポーズするゆうさん[/caption]
レースのサーキットとなるのは、茂原ツインサーキットのイーストカートサーキット。1周1,142mと小ぶりで、コントロールタワー付近からはサーキットの様子が、ほぼ一望できる。
[caption id="attachment_31563" align="alignnone" width="640"] 小さなサーキットであるため、参加者が走るさまを見渡せる[/caption]
この日最初に開催されたのは、サーキットをバイクで1周するタイムトライアル。ゲストMCの栗村修さん、元プロロードレーサーの辻善光(TEAM ZENKO)さん、過去には現在のワールドツアーにあたるヨーロッパの強豪チーム『マペイ』に所属した元プロロードレーサーの阿部良之(アベノバ)さん、M.マキノサイクルファクトリーの坂西裕さんの4名が、ゲストレーサーとして出走。これが参加者の目標タイムとなる。並々ならぬ集中力でレースに臨んでいた辻さんが、1分28秒36を叩き出し、参加者たちは、このタイムに挑んでいくことになった。
[caption id="attachment_31564" align="alignnone" width="640"] 最速タイムを出したゲストの辻善光さん[/caption]
様々なコスプレで現れる参加者たち。ここでは実名を呼ぶことが禁止され、参加者は登録名のみでコールされる。顔が塞がれていたり、マントをたなびかせていたり、幅広だったりと、「空気抵抗をできる限り削ぎ落とす」というタイムトライアルのセオリーとは真逆ないでたちの参加者たちも。中にはコスチュームが硬く、前傾姿勢が取れない参加者まで!見た目や名前と、実際の剛脚ぶりに壮大なギャップがあったりするため、レースは大いに盛り上がる。
[caption id="attachment_31565" align="alignnone" width="640"] トップタイムを叩き出した鉄竜選手。姿だけでは実力はまったく分からない![/caption]
優勝は1分29秒88を叩き出した鉄竜選手。辻さんが叩き出したタイムに迫る好タイムでの優勝だった。女子は、こふみ選手。セーラーマーズのコスチュームから伸びた美脚が観客を魅了した。
続いては初の試み『サーキット鬼ごっこ』。2015、2016年の箱根駅伝で6区を走った森湧暉選手が参加者とともにスタートし、サーキットを5周。森選手を『鬼』として、『鬼に捕まる』=『ラップ』された参加者は、その時点で負けとなる。鬼に捕まらず、5周走り切ることができたら勝ち、という新しいランニングゲームなのだ。
[caption id="attachment_31566" align="alignnone" width="319"] 『鬼』役・森選手のゼッケン[/caption]
スタートラインに並んだ参加者たちも、そうそうたるコスプレっぷり。自信は?と聞かれても、一様に自信のない回答が返ってくる。初開催となるこの企画、はたしてどんな結末となるのか?参加者、観客、関係者すべてが見守る中、スタート!
[caption id="attachment_31567" align="alignnone" width="640"] スタートラインに並ぶ参加者たち[/caption]
プロのハイペースでスタートしていった森選手。だが、その後ろには、ピッタリと森選手をマークするブロンドのプリキュアが!その速さに、会場からどよめきが漏れる。やや大柄なプリキュアのスカートの下には、その愛らしい服装には似つかわしくない、筋肉タップリのたくましい脚が……。森選手の独走となる予想だったのだが、一時はプリキュアが追い抜くか!?というところまでピタリと迫っていた。
迫るプリキュアの存在で、森選手のペースも予定よりアップ。結果、参加者は次々と鬼に捕まっていく波乱の展開に。17分を回ったころ、5周を走り終えた森選手が単独でゴール、ラップされることなく最終周回に突入した参加者数名が「勝ち」となった。
[caption id="attachment_31568" align="alignnone" width="640"] まさかの俊足プリキュアが森選手に迫る![/caption]
森選手は、自分に迫るプリキュアの存在に驚いたと述べつつも、「中々ない強度で自分を追い込めて、良い機会だった」と感謝のコメント。関係者によると。プリキュアの正体は、マラソン大会では有名なランナーだったそうで、「人間は見た目で判断できない」という教訓を、開始早々から思い知らされることになった。
いよいよ、5時間エンデューロのスタートが近づいてきた。スタートラインには、アーミー調のコスチュームをまとい、米軍の空挺部隊が使用する『パラトルーパー』のにまたがった東城咲耶子さんが登場。これは銃火器を中心に展開する1/12スケールプラキット『リトルアーモリー』の中で、パラトルーパーの展開が始まったPRも兼ねてコスプレをしたものなのだとか。フィギュアのようなかわいらしさと完成度に、参加者は大喜び。影山ヒロノブさん、三宅大志名誉実行委員長を先頭に、レースがスタート!
[caption id="attachment_31569" align="alignnone" width="640"] 左から三宅先生、東城咲耶子さん、影山ヒロノブさん。東城さんが乗るのは米軍空挺部隊が使用するバイク[/caption]
[caption id="attachment_31570" align="alignnone" width="640"] ろんぐらいだぁす仕様の先導車。窓からは、ゆうさんが手を振る[/caption]
『原則全員コスプレ』の大会であり、速さを競うレースというフィールドでありながらも、参加者全員が趣向を凝らしたコスプレをしているところが、やはり最大の注目ポイント。懐かしのヒーローあり、思わず吹き出してしまう小ネタが含まれたコスプレあり、驚異のスピードで周回をこなす参加者あり、眺めているだけでも楽しくて、アッという間に時間が過ぎてしまう。
[caption id="attachment_31571" align="alignnone" width="640"] 様々なキャラクターが参戦、応援しているピットエリア[/caption]
このレース中にも、出展ブースはオープンし、多くの参加者がブース巡りを楽しんでいた。『ろんぐらいだぁすとーりーず!』や『リトルアーモリー』のトークショーや、バイクのペダルを回し、発電した電力でリクエスト曲を流し、皆で盛り上がる『ワンコーラスケイデンス』、さらにはDJコーナーには伝説の『DJKG』が登場、生歌でアニソンを披露するなど、サーキットだけでなく、イベント会場の随所でも、熱を帯びた盛り上がりが展開されていた。これだけ多彩な楽しみがあるレースイベントは珍しいだろう。
[caption id="attachment_31572" align="alignnone" width="640"] ろんぐらいだぁすとーりーず!のスペシャルトークショー[/caption]
[caption id="attachment_31573" align="alignnone" width="640"] バイクで発電し、リクエスト曲を流す「ワンコーラスケイデンス」では、観客も輪になり一体となって盛り上がる[/caption]
[caption id="attachment_31574" align="alignnone" width="640"] DJブースでは、あの『DJKG』がDJを務める時間帯も。生歌を披露する一幕も![/caption]
アッという間にレースは終了。5時間エンデューロソロは、リラックマを随所につけた『クマさん』が166周回を走破して勝利し、チーム魔法☆少女が169周回を走破しチームの部の優勝となった。並々ならぬエネルギーを放つ参加者に囲まれ、にぎやかに、笑いの絶えない表彰式、抽選会を終えた。
[caption id="attachment_31575" align="alignnone" width="640"] レース終了。ゆうさんがチェッカーを振る[/caption]
[caption id="attachment_31576" align="alignnone" width="640"] 大盛り上がりの表彰式。バリエーション豊富で、コスプレの幅は広い[/caption]
[caption id="attachment_31577" align="alignnone" width="640"] シャンパンファイトならぬペリエセレブレーション!勇気ある参加者が全身でペリエを受け、爆笑を巻き起こしていた[/caption]
「観ている人を楽しませること」と「自分が楽しむこと」を突き詰めた参加者が結集するキャラクターエンデューロ。走り終えた後の、達成感が溢れる表情と、「ともに最後まで楽しみ抜こう」という一体感には、うらやましく思えるほどの清々しさがあった。ここにあるのは、自己の解放か、奉仕の精神か、究極のエンターテインメントか。『コスプレ』と聞くと、眉をひそめる方もいるが、いざ覗いてみれば、新たな発見があるのではないかと感じた。これまでコスプレとは無縁だった方も、ここに参加してみれば、さらに深い“何か”が見えてくるかもしれない。
画像提供:キャラクターエンデューロ実行委員会、編集部(P-Navi編集部)