2019/05/22(水) 10:42
5月19日、大阪府の堺市で開催される堺ステージを皮切りに、今年も自転車ロードレースのステージレース、ツアー・オブ・ジャパン(TOJ)が開幕した。
今年で22回目の開催となるこの大会、現在は8つのステージからなるステージレースで、都府県をまたいで開催される国内唯一の大会でもある。UCI(世界自転車競技連合)認定の国際レースであり、アジアツアーの中で2−1というランクにカテゴライズされ、今年の大会は7つの海外チーム、8つの国内チーム、日本代表チームの計16チームが参戦する。
参加選手が目指すのは8つのステージを総合し、最も短いタイムで駆け抜けた選手が獲得する個人総合時間賞であり、その証であるグリーンジャージ。
昨年はUCI登録の中で最上位となるワールドツアーチームからのエントリーもありながら、国内のコンチネンタルチームであるキナンサイクリングチームのマルコス・ガルシアがこのグリーンジャージを獲得した。
この他、各ステージに設定されたスプリントポイントの通過順、及びゴール順に与えられるポイントの数で競うポイント賞(ブルージャージ)、同じくコース内の山岳ポイントの通過順に与えられるポイントで競う山岳賞(レッドジャージ)、25歳以下のトップの選手に与えられる新人賞(ホワイトジャージ)が設定されている。
さらに今年は来たる東京五輪の選考基準の中にこの大会が含まれていることもあり、上位入賞で獲得できるUCIポイントを目指し、日本人勢の中では例年よりもさらに真剣に狙い込んできている選手たちも多く、よりハイレベルな展開も予想される。
開催される8つのステージの中にはタイムトライアル、山岳コース、平坦コースなど、性質の異なるステージが含まれており、個人総合を狙うにあたり最も重要なのが20%を超える厳しい上りが含まれる第6ステージの富士山ステージ。例年、富士山を征したものが、そのまま大会の覇者となっている。第5、第7ステージも非常に厳しい山岳ステージとなっており、リザルトとともに、第8ステージまで連日、続くレースをいかに走るか、体力の温存も重要な課題であり、選手たちは先を考えながら、このレースを走ることになる。
第1ステージとなる堺は個人タイムトライアル。先日イコモス(国際記念物遺跡会議)がユネスコ(国連教育科学文化機関)に世界遺産登録を勧告したことで沸く「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」の仁徳天皇陵に隣接する大仙公園の外周を回る2.6kmのコースで競われる。フラットなコースで開催され、1人、1人がスタートしていくタイムトライアルでは選手1人、1人の姿をジックリ見られるということもあり、多くの観衆が大仙公園に押しかけた。
参加は全16チーム、96名の選手たち。マルコス・ガルシアは、ディフェンディングチャンピオンとして1番ゼッケンを着け、今年の大会に臨む。
[caption id="attachment_31058" align="alignnone" width="640"] 1人、1人、スタート台から飛び出していく個人タイムトライアル[/caption]
早々にクリス・ハーパー(チーム・ブリッジレーン)が昨年の優勝タイムを上回る好タイムを叩き出し、この日の激戦への期待が高まる。
これをようやく破ったのは50番出走のアダム・トーパリック(チーム・ザワーランド・NRW・P/B・SKS・ジャーマニー)。シクロクロスのU23の世界選手権で銀メダルを獲得した経験のあるパワーのある選手だ。
この好タイムに、これが決勝タイムになるという空気が漂っていたが、なんと岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が3分06秒69という信じられないタイムを叩き出したのだ。昨年の優勝タイムより5秒以上も速い驚異のタイムに会場の観衆は大いに沸く。
[caption id="attachment_31059" align="alignnone" width="640"] 驚異のタイムを叩き出した岡篤志[/caption]
現タイムトライアルの全日本チャンピオンで、リオ五輪にもトラック競技で出場した窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が3分07秒28と、迫ったものの岡には届かない。午前に開催されたクリテリウムを征したオールイス・アウラール(マトリックスパワータグ)が3分08秒02 で3着となった。
[caption id="attachment_31060" align="alignnone" width="640"] 好タイムを出した窪木、僅かに岡には届かなかった[/caption]
[caption id="attachment_31061" align="alignnone" width="640"] 午前の優勝に続き、好タイムを叩き出したアウラール[/caption]
この岡のタイムが優勝タイムとなり、岡は個人総合時間賞、ポイント賞、新人賞を獲得。一気に3枚のリーダージャージを手に入れることになった。比較的、小柄な日本人がこのステージで海外勢に対抗するのは厳しく、日本人の優勝は2013年の西谷泰治以来。この当時の優勝タイムは3分33秒台。決勝タイムは年々縮まっており、レベルが上がっていることを示している。
優勝した岡はTOJを一番の目標に、トレーニングをしてきたという。
「コンディションが良かったので、良いタイムが出せるのではないかと思っていた。全力を尽くし、優勝できて良かった」
笑顔で表彰式を終え、喜びを語った。
この日の観衆は日曜日ということもあり、77,000人!国内での自転車レースへの関心度の高まりも感じさせる1日となった。
【第1ステージ結果】
1位/岡篤志(宇都宮ブリッツェン)3分06秒69
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+0秒59
3位/オールイス・アウラール(ベネズエラ/マトリックスパワータグ)+1秒33
【個人総合成績】*第1ステージ終了時
1位/岡篤志(宇都宮ブリッツェン)3分06秒69
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+1秒
3位/オールイス・アウラール(ベネズエラ/マトリックスパワータグ)+2秒
【ポイント賞】*第1ステージ終了時
1位/岡篤志(宇都宮ブリッツェン)10p
2位/窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)9p
3位/オールイス・アウラール(ベネズエラ/マトリックスパワータグ)8p
【チーム総合】*第1ステージ終了時
1位/チーム・ブリッジレーン 9分31秒
2位/宇都宮ブリッツェン +1秒
3位/チーム右京 +4秒(P-Navi編集部)