2019/12/08(日) 09:51
【2019年も全国各地で熱戦が開催されたロードレース。その大会の模様を回顧します】
第3回ツール・ド・とちぎの第2ステージは、矢板市内に設定された1周14.8kmのコースを8周する周回コースを舞台に開催された。コースの前半は、細かいアップダウンやカーブが続き、後半は道幅の狭い長い直線となる。レース内には、上位通過時にポイントとともに、ボーナスタイムも設定されるポイント賞が3回設定され、僅差に選手たちが並ぶ個人総合を占う上では、非常に重要な鍵を握ることになった。第2ステージからは山岳賞も設定される。
[caption id="attachment_31027" align="alignnone" width="640"] 野州轟一番太鼓のパフォーマンスでイベントが始まった[/caption]
この日は前日と打って変わって、冬を思わせる寒い朝となった。最高気温は7度。スタートゴールに隣接する道の駅やいたには、早朝から観客が集まった。ダウンジャケット等冬装備の姿が目立つ。那須連山から吹き下ろす風は冷たく、レースへの風の影響も否めない強さとなった。選手たちは寒さに震えながらのスタートして行った。
[caption id="attachment_31028" align="alignnone" width="640"] 寒さに震えながら選手たちがスタート[/caption]
パレード区間を終えると、積極的にアタックがかけられ始めるが、どの動きも集団に飲み込まれていく。2周目に入ると最初の山岳賞、ポイント賞を狙い、集団のペースは上がったが、逃げ集団が決まらないまま、大集団が周回を重ねていく。1回目のスプリントポイントはマリス・ボグダノヴィッチ(インタープロサイクリングアカデミー)が先頭通過。3秒のボーナスタイムを獲得した。
[caption id="attachment_31029" align="alignnone" width="640"] 雪が残る那須連山をバックに進む先頭集団[/caption]
4周目、2回目の山岳賞に向けて岡篤志(宇都宮ブリッツェン)とゴン・ヒョソク(LXサイクリングチーム)の2人が抜け出す。ここに加わろうと、メイン集団から次々とブリッジがかかり、13名の逃げ集団が形成された。この中には、リーダージャージを着たベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)、総合2位のオールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)が含まれるとともに、アジア選手権の覇者チェン・キンロ(HKSIプロサイクリングチーム)、昨年のこの大会で山岳賞を獲得したロビー・ハッカー(チーム右京)、昨年までワールドツアーチームで走っていたアレクセイス・サラモティンス(インタープロサイクリングアカデミー)ら強力なメンバーが含まれた。
[caption id="attachment_31030" align="alignnone" width="640"] 個人総合1位2位が含まれた逃げ集団[/caption]
2回目のスプリントポイントは地元の岡が先頭通過し、会場は大きな声援に包まれる。アウラールが2位、アレクセイス・サラモティンス(インタープロサイクリングアカデミー)が3位で通過し、3、2、1秒を獲得。逃げ集団はペースに乗り、メイン集団とのタイム差は、3分近くまで伸びた。
[caption id="attachment_31031" align="alignnone" width="640"] 自ら逃げ集団を牽引するグリンジャージのベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)[/caption]
3回目のスプリントポイントは再びサラモティンスがトップ通過。ここでも3秒を獲得する。
各チームの選手たちを含む強力な逃げ集団となったため、最後まで逃げ切るかと思いきや、ラスト2周、チーム右京が集団を強力に牽引しペースアップし、先行した選手たちを飲み込んだ。
[caption id="attachment_31032" align="alignnone" width="640"] 7周目からはチーム右京がメイン集団を強力に牽引[/caption]
スプリント勝負に競り勝ちたいチームが前方に集結し、位置取りを始めると集団のペースは一気に上がった。
ハイペースになった集団から飛び出し、激戦となったスプリントを制したのはマリス・ボグダノヴィッチ(インタープロサイクリングアカデミー)!レイモンド・クレダー(チーム右京)、黒枝士揮(シマノレーシング)が続いた。
[caption id="attachment_31033" align="alignnone" width="640"] レースはスプリント勝負へ![/caption]
[caption id="attachment_31034" align="alignnone" width="640"] スプリントを制したのはマリス・ボグダノヴィッチ![/caption]
[caption id="attachment_31035" align="alignnone" width="640"] ボグダノヴィッチ、クレダー、黒枝の表彰式[/caption]
マリス・ボグダノヴィッチはポイント賞も獲得。1回目のスプリントポイントの1位通過に加え、ステージ優勝によるポイント獲得が決定打となった。この日はボーナスタイムを狙い、ポイント賞獲得に集中していたという。表彰台ではスプリントに競り勝ち、ステージ優勝を遂げた喜びを語った。
[caption id="attachment_31036" align="alignnone" width="640"] ボグダノヴィッチはポイント賞ジャージを獲得[/caption]
日本人として唯一表彰台に上がった黒枝は「序盤はチームとしては、あまり良い展開ではなかったが、終盤は自分のスプリントのためにチームがまとまった。最後は向かい風が強かったが、3位に入れてよかった」とコメント。
個人総合時間賞は、ポイント賞で得たボーナスタイムにより、アウラールが1位に昇格、グリーンジャージを獲得した。最後のスプリントはチェーンが外れるトラブルがあり、全力では挑めなかったというが、それでも10位フィニッシュ。逃げ集団にも加わり、底力を見せつけるステージとなった。
[caption id="attachment_31037" align="alignnone" width="640"] グリーンジャージを獲得、笑顔を見せるアウラール[/caption]
[caption id="attachment_31038" align="alignnone" width="640"] 山岳賞を獲得したアンガス・ライオンズ[/caption]
タイム差の付かないスプリント勝負となり、個人総合は10秒以内にトップ12名がひしめき合う状態となり、個人総合の決着は最終ステージに持ち越されることとなった。
この日も冬を思わせる寒さの中にも関わらず、集まった観客は1万8,000人。観戦しやすい周回コースとあって、沿道で声援を送る観客も多かったのだが、道の駅内に大型ビジョンやステージが設けられ、沿道まで行かずとも、実況解説付きのパブリックビューイングでの観戦も可能。グルメブースであたたかい食べものを調達しながら、観戦を楽しむ観客の姿が目立った。
◆ツール・ド・とちぎ 第2ステージ結果
1位 マリス・ボグダノヴィッチ(インタープロサイクリングアカデミー)2時間38分31秒
2位 レイモンド・クレダー(チーム右京)+0秒
3位 黒枝士揮(チームブリヂストンサイクリング)
◆個人総合時間順位(第2ステージ終了時)
1位 オールイス・アルベルド・アウラール・サナブリア(マトリックスパワータグ)2時間42分15秒
2位 マリス・ボグダノヴィッチ(インタープロサイクリングアカデミー)+1秒
3位 ベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)+1秒(2、3位が同タイム)
◆ポイント賞(第2ステージ終了時)
1位 マリス・ボグダノヴィッチ(インタープロサイクリングアカデミー)
◆山岳賞(第2ステージ終了時)
1位 アンガス・ライオンズ(オリヴァーズ・リアル・フード・レーシング)
◆U23賞(第2ステージ終了時)
ライアン・シュルト(オリバーズ・リアルフード・レーシング)
◆チーム総合成績(第2ステージ終了時)
1位 チーム・サプラ・サイクリング
【写真提供・第3回ツール・ド・とちぎ】(P-Navi編集部)