2019/12/06(金) 09:47
【2019年も全国各地で熱戦が開催されたロードレース。その大会の模様を回顧します】
3月22日から24日までの3日間、栃木県を舞台に、『第3回ツール・ド・とちぎ』が開催された。3日間で272kmを走るUCI(世界自転車競技連合)2-2クラス認定のステージ制の国際ロードレースだ。個人タイムトライアル、周回コース、ラインレースと3種のステージが設定されており、各日の勝敗とともに、総合成績が競われる。今年はオーストラリア、トルコ、マレーシア、韓国、香港と海外から5チームを招き、国内8チームに大学の2チームを加えた、計15チームが参戦する大会となった。
第1ステージは真岡市の井頭公園を舞台とした個人タイムトライアル。公園内の施設内道路に設けられた3kmのコースが使用され、1人ずつ出走し、各々の計測タイムで競い合う。3ステージの総合成績を狙うには、ここでの決戦タイムは非常に重要となる。コースはほぼフラットではあるが、ウネるような道が続く。3kmという短いコースで、どのような戦いが展開されるのか注目された。
大会当日は晴天となり、気温も上昇。初夏のような暑さの中、出場チームのプレゼンテーションが開催され、全選手が登壇し、抱負などを語った。ところが、開会式を終えた矢先、レースが始まる頃には雲が出て気温が下がり、冷たい風が吹き付け始めた。
[caption id="attachment_31013" align="alignnone" width="640"] チームプレゼンテーションでは全チームの全選手、監督が登場し大きな歓声を浴びた[/caption]
スタート台から選手たちが1人ずつスタートしていく。序盤は3分50秒台後半のタイム争いとなったが、終盤戦に向かうにつれ、次第に上位を狙う選手たちが登場してくる。その中、今年、マトリックスパワータグに加入したベネズエラ人選手、オールイス・アルベルト・アウラール・サナブリアが3分46秒65を叩き出し、会場は大いに沸く。
[caption id="attachment_31014" align="alignnone" width="640"] ごくわずか及ばなかったが、個人総合2位につけたアウラール[/caption]
[caption id="attachment_31015" align="alignnone" width="640"] トップとも1秒以内で3位に入ったマリオ・ヴォクト[/caption]
マリオ・ヴォクト(チーム・サプラ・サイクリング)が、アウラールに迫る記録を出すが、わずかに及ばない。アウラールの記録が優勝タイムになるかと思いきや、最終スタートのベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)が3分45秒77という驚異的なタイムを叩き出し、会場がどよめく中、このステージ優勝を決めた。
[caption id="attachment_31016" align="alignnone" width="640"] 驚愕のトップタイムを叩き出し、グリーンジャージを獲得したベンジャミン・ダイボール[/caption]
日本人選手の最高タイムは、トラック競技で過去に4kmの日本記録を保持していた近谷涼(チームブリヂストンサイクリング)の3分52秒95で第7位。地元チームとして大きな期待を受ける宇都宮ブリッツェンの岡篤志がトップとおよそ10秒差で10位につける。短い距離のタイムトライアルではあったが、個人総合の成績を占う上では、大きな差が付くことになった。
この日優勝したベンジャミン・ダイボールは、個人総合リーダー(首位)の証であるグリーンジャージを獲得。「もう少し長い距離の方が得意だが、チャンスはあると思っていた。勝てて嬉しい」と喜びを語った。厳しい山岳ステージが有名な昨年のツール・ド・熊野では個人総合2位。山岳に強いイメージがあるが、 今年のオセアニア選手権ではロードレース、個人タイムトライアルの2冠を飾っており、この日はその脚力を見せつけることになった。
[caption id="attachment_31017" align="alignnone" width="640"] ベンジャミン・ダイボールがグリーンジャージを獲得[/caption]
チーム・サプラ・サイクリングは表彰台に2名を送り込み、非常に幸先の良いスタートとなった。マリオ・ヴォクトは、「総合1位と3位を有するチームとして、このポジションを守っていきたい」と抱負を語った。
アウラールはこの前週に開催された国内ロードレースのリーグ戦、Jプロツアーの開幕戦となる修善寺ロードレースDay1で、国内レースデビューを果たすと同時に、鮮烈な優勝を遂げ、大きな話題となったばかり。上りに強いというイメージだったが、中南米の個人タイムトライアル選手権では好成績を残しているという。翌日からのステージでも勝ちを狙っていきたいと語った。
U23賞は6位となったラインアン・シュルト(オリヴァーズ・リアル・フード・レーシング)が獲得した。
[caption id="attachment_31018" align="alignnone" width="640"] 若手ながら4秒差につけたライアンシュルト[/caption]
井頭公園には多くの出展ブースが並び、ゲストを招いてのステージイベントも開催され、レース以外にも観客を楽しませた。この日は平日にも関わらず、9000人の観客が集結。選手たち一人一人に熱い声援を送り、観戦を楽しんだ。
[caption id="attachment_31019" align="alignnone" width="640"] 大型ビジョンも設置され、集まった観客たちを楽しませた[/caption]
◆ツール・ド・とちぎ 第1ステージ結果
1位 ベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)3分45秒77
2位 オールイス・アルベルド・アウラール・サナブリア(マトリックスパワータグ)+0秒88
3位 マリオ・ヴォクト(チーム・サプラ・サイクリング)+0秒97
◆ポイント賞(第1ステージ終了時)
1位 ベンジャミン・ダイボール(チーム・サプラ・サイクリング)
◆U23賞
ライアン・シュルト(オリバーズ・リアルフード・レーシング)
◆チーム総合成績(第1ステージ終了時)
1位 チーム・サプラ・サイクリング
【写真提供・第 3 回ツール・ド・とちぎ】(P-Navi編集部)