2024/12/22 (日) 16:30
間もなく4年ぶりのグランプリ出場を控える石井貴子選手。今回は特別版として同期の高木真備さんをお迎えし、対談形式で意気込みを語っていただきます。また現役時代の思い出話や最近の真備さんとの関係についても激白。netkeirin「わんだふる♡らいふ」と合わせてご覧ください。
石井貴子(以下・貴子) 今回は特別対談ということで、同期の高木真備さんに来ていただきました。今日はよろしくお願いします!
高木真備(以下・真備) よろしくお願いします。改めてGI優勝、年末のガールズグランプリに出場おめでとうございます!
貴子 ありがとうございます。
真備 貴子選手…、っていうとちょっと恥ずかしいので、いつものように「たかちゃん」って呼んでいいですか(笑)。
貴子 もちろん! 私も「真備」と呼ぶね。
真備 ではまずはパールカップについて伺いたいと思います。半年前になってしまいますが、当時のことを振り返っていただけますか。
貴子 はい、第一回目のパールカップは出場権を取れず補欠でした。でも、鎖骨を折ってしまい補欠としても参加することができませんでした。第二回は出場権を取ることができて、走る権利がある状態で現場に入れたというのが、私にとっては大きかったです。はじめから年末のグランプリをターゲットにしている選手からすれば“今年2つめのGI”という認識だったと思うんですけど、私にとっては初めて自分の力で権利を取れたGIだったので、3日間、1日1日、自分のやるべきことをしっかりやりきることがタスクだと思って大会に臨みました。
真備 初日は1着スタートでした。
貴子 メンバーと車番を見て、1着を取るにはどうすべきかを考えて、実際に1着が取れたので自分のやるべきことはできたのかなって思います。ただ2日目は1番車ということもあって、逆に臨機応変に動けず対応できず失敗しちゃったなと。4着で決勝に上がれるかはもうひとつの準決勝の結果次第だったので、人のレースを見ながらどうなるかを気にするのは苦しかったですけど、なんとか決勝に上がることができました。そこでもう一度「じゃあ次はどうするべきか」と考えました。
真備 そして見事に優勝しました。
貴子 「GIの決勝戦」ではあったんですけど、私の中では、どんなレースなのかとか、勝ったら何が付いてくるとか、どういった権利が得られるとか、そういったことは考えずに、私はただ目の前のレースを走る。そこで1着が取れるように、1パーセントでも勝てる可能性が上がるように何をするべきか、7番車からどうやって戦うか、それだけ考えていました。結果的には人にも運にも恵まれて優勝することができました。ケガをする以前は、正月から年末のグランプリで優勝することを目標に設定して戦っていましたし、グランプリに出場する為には1本大きなレースを勝つ必要がありました。チャンスを増やす為に、大きなレースの出場権はすべて欲しかったです。ケガをして第一線から離脱してからは「もう二度とそこに戻ることはないだろうな」と思っていたので…。1日1日、一本一本を大事に走ってきたことが、大きな成果となって表れたのかなって思ったし、これまでとは全然違う感情が湧いてきました。今まではコレクションなど大きなレースを勝てた時というのは、自分でつかんだ、自分で勝ち切れた、という感じで自分に対しての評価をしていたんですけど、パールカップに関しては全然そういうことはなくて。ものすごいたくさんの方に支えてもらって応援してもらって、自分の力ではなくて、人に支えられて運にも見えない力にも押してもらえたから勝てたのかなって強く感じました。そこが今までとは全然違う部分なのかなって思います。
真備 今の話にもあったように、GI制覇に至るまでには紆余曲折ありましたよね。特に2021年、大ケガを負った時は今後の進退についても考えていたとか…。
貴子 そうですね…。
真備 復帰を決めた一番の理由はなんでしたか。2023年にはレースから遠ざかっていた中でアルテミス賞に選出されました、というのも大きかったですか。
貴子 去年、練習中に落車して骨を折ってしまい、なんかこう“ぼんやり”していた時にファン投票の結果が出て、アルテミス賞を走れることになったので、これは「走っていいよ」、「走りなさい」って言ってもらえたと受け止めて「戻ろう」と決意しました。アルテミス賞を走るということがリアルになったので、じゃあこの辺りから復帰しなきゃって具体的な目標ができて、そこに向けて練習を始めようという気持ちになりました。実際にレースを走ってみて、脚はないしまくっていったけど前団までは届かなくて…。それでも1着じゃなくても、少しでも前に、という気持ちでした。レース後、お客さんから「おかえり」という声をたくさんかけていただいて、そういった声をかけられることは初めてだったのですごく印象に残っています。
ーー真備さんは貴子選手がファンから愛される理由はどこにあると思いますか。
真備 1着を取りにいく、勝ちにいくということに対してすごくストイックだなって思います。私も車券を買う立場になってよくわかったのですが、勝ちにいきたい気持ちが強い選手の車券を買いたくなるし応援もするじゃないですか。たかちゃんが愛されるのは、そういった部分をファンの方が支持しているからではないでしょうか。
ーー真備さんが現役時代は、それこそ賞金争いで毎年のように競っていたのではないですか。
貴子 そりゃ、バッチバチでしたよ(笑)。
真備 もう、たかちゃん本当に怖かったんですから(笑)。
貴子 だいたい、賞金争いしている上位選手のことは把握しているし、接戦の選手と直接対決とかになったら絶対に先着しないといけないですし。あっせん状況も見ていたし、他の選手に追加が入ったら日程を見て自分も追加を受けられる開催を探して…。この日程なら走れる! って思っても他の選手が追加で入っていたり。
真備 懐かしい〜。本当にそうだったよね。
貴子 なんか大変だったよね。
真備 ガールズも選手数が増え、若くて強い選手もどんどん出てきました。以前と比べてガールズケイリンが変わったところはありますか。
貴子 選手が増えているのは確かですが、級班が分かれているわけではないし、上位で戦っているメンバーというのはそこまで変わっていないのかなって思います。ただ、これはメンバー構成次第にはなるんですけど、競輪祭ですごく感じたのは、上がりタイムだけではなく、“入り”が早いなってところです。全体的なスピードアップもそうだけど、スピードが高くなる距離と時間が延びましたよね。私のようなタイプは、それに対応できるようにって舵を切るけど、今まで力でねじ伏せてきたような選手にとっては、やりにくい感じに変わってきた気はします。特に競輪祭ではナショナル組が戻ってきて、タイムも上がっていましたし、そこに食らいつくしかない、っていうような感じでした。
ーー今までのやりとりからも、お二人の仲がいいのはわかりました。ただ、やはり真備さんが現役時代は“普通の友達”というわけにはいかなかったと思います。真備さんが引退したことで関係性は変わりましたか。
貴子 真備は同期でデビュー前から知っているし、性格もお互いにわかっています。でも戦うとなるとライバルなので。自分のことを知っているからこそ読まれてしまうというのもあったので当時は知られ過ぎないように、そこは意識する間柄ではありました。仲が悪いわけじゃないけど、仲良くしすぎるとライバルとして牙をむけなくなると思っていたので気を付けていましたね。ただ真備が引退してからは、遊びに出かけたり、飲みながら何てことない話に大笑いしたりする大事な存在です。
真備 もう、うれしいです〜。現役時代、前検日にたかちゃんに会ったら「久しぶり〜」って楽しく挨拶するじゃないですか。このままレースしないで帰りたいって一瞬思うことがありました(笑)。本当はもっとふざけたりしたいのに、次の日になるとスイッチを入れないといけないから距離を置くようにするじゃないですか。それがちょっと…。引退後はそれをしなくていいので楽しいです(笑)。
貴子 特殊な間柄だったよね。
真備 レース中にたかちゃんと並走とかになると、一瞬「もし、ここで位置の取り合いになったら、今まで仲良くしていた関係性が崩れちゃうんじゃないか」って、本当に一瞬ですよ、でもそれがよぎるようになった時期がありました。
貴子 そんなこと考えていたの!?
真備 そんなことを考える自分が嫌になって、その時期はツラかったです。勝負だから戦わなきゃいけないのに、仲悪くなりたくないって思っちゃって。でもたかちゃんは絶対にそんなこと考えていないから、私もしっかり勝負に集中しようと心に決めて走っていました。たかちゃんはスイッチが入るのがわかるんですよね。だからそこがすごいなって思ったし、そういうところが1着を取りにいくっていう姿勢にもつながっていたんだろうなって思います。でも、、、怖かった〜(笑)。
貴子 怖いって言う割に、いつも挑発的でしたけど(笑)。
真備 でもうれしかったこともあって、私が3年くらいずっと大きいレースを勝てなくて、久しぶりに優勝できた時に「おめでとう、真備よく頑張ったね」と言ってくれて。その前の年とかは落車が続いてグチャグチャになっていた時期でもあったので。そこでたかちゃんに声をかけてもらったのがめっちゃうれしくてすごく記憶に残っています。
真備 ここからはグランプリの話題に移りたいと思います。たかちゃんがグランプリに出場するのは2020年以来、4年ぶりです。この年と2018年は、私もグランプリに出場していました。
ーー18年は貴子選手が2着、真備さんが3着、20年は真備さんが3着で貴子選手が4着。優勝はいずれも児玉碧衣選手でした。
真備 18年は静岡だったよね。
貴子 静岡の時は…。あんまり印象が残っていないね。
真備 特におもしろいこととか事件はなかったよね。
貴子 なかったね。全てを注いで出場権を取って、本当に命がけで挑むグランプリだもんね。
ーーそれだけグランプリというのは特別なものなのでしょうか。
貴子 年に1度の頂上決戦はやっぱり特別だと思います。出場するのも難しいですし。
真備 私は「同じ失敗はしないようにしよう」とは思っていました。たかちゃんはグランプリへの入り方を変えたりはしますか。
貴子 変えずにいつも通りです。それこそ今年に関しては、自分がパールカップで優勝するまでどのように取り組んできたか、そこが今の自分のベースになっているので。しっかり考えて自分にできる最大限のことをやり切る、ただただそれだけが私のテーマだし課題です。
真備 でもそれができるのが、たかちゃんの強いところですよね。
貴子 とにかく脚力がある選手は力を出しさえすれば勝てちゃうんでしょうけど。私は単純な脚力比べでは劣るので、できることを精いっぱいやるしかないんです。
真備 では最後に、たかちゃんから今年のグランプリへの意気込みをお願いします。
貴子 自分がどうやってこの舞台に立つことができたのか、もう一度しっかり整理したいと思います。自分の取り組みをしっかりできるかがタスクだと思うので。今回のグランプリは多くの方々に支えてもらって、助けてもらって、ようやくスタートラインに立てます。ゴールする瞬間までに私はどうするのか、しっかり考えて、今の私にできることを精いっぱいやり切ろうと思います。
真備 (拍手) 本当にたかちゃん頑張ってね。
ーーお二人とも本日はありがとうございました。
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※注意事項は応募フォームに記載してありますので、必ずご確認の上、ご応募ください。
※締切は2024年12月31日まで。
石井貴子
ガールズケイリンでは106期生(ガールズ3期生)として日本競輪学校(現:日本競輪選手養成所)に入り、在校3位の成績を上げ、卒業記念レースで完全優勝。2014年5月に西武園競輪場でデビュー、同開催で初優勝を完全優勝で飾る。2015年9月にガールズケイリンコレクション(松戸)を初制覇。その後も、2017年高松、2018年平塚、2020年名古屋でもコレクション制覇、2019年7月にはガールズケイリンフェスティバル(別府)を優勝している。また、2024年1月29日に佐世保競輪場で通算300勝、6月には第2回パールカップ(岸和田)でG1初優勝を達成した。鋭いダッシュ力と、クレバーなレース運びでガールズケイリンをけん引するトップレーサーのひとりとして、活躍が続く。2014年からチャリレジャー(弊社スポンサード選手)に加入。