新緑の季節、無念の押し歩き 新緑が色づき始めて陽気もちょうどいい。こんな日は体を動かさずにはいられねえ。「久々にチャリでも乗るか!」と空気をパンパンに入れて、いつものコースをひとっ走り! のつもりだったんだが…。いやはや、春の風ってやつは想像以上に強敵だった…。“風を切って颯爽と”なんて夢のまた夢。ペダルは重く、進まねえ進まねえ。「こりゃ、帰れなくなるぞ」と即断即決し、近道ルートに切り替えた。だが待ち受けていたのは“胸突き坂”。登りきる前に、無念の押し歩き。 後ろからスイスイと涼しい顔で追い抜いてく高齢のご婦人がひとり。背中を丸め、ブレないフォームで惚れ惚れする安定感。「……神か?」と一瞬思っ…