2025/07/24(木) 18:20
熊本競輪場の「楽天Kドリームス杯(FI)」は24日、初日を開催。S級予選6Rを走った鈴木謙太郎に話を聞いた。
ここは上杉嘉槻との2分戦。戦前のオッズでは上杉と鷲田幸司の折り返しに人気が集中しており、完全な支線扱いだった。それでもレースでは焦ることなく、経験とテクニックを武器に上杉のスキを突く積極カマシでレースを進めて岡田征陽とワンツー。周囲の予想を覆してみせた。
「初手で上杉君ラインの後ろを取れたのが大きい。1回押さえずに駆けられたので。あとはホームの向かい風がきついから、ホームで上げておこうと思って駆けたんです」と、してやったり。一方、上杉は「突っ張るつもりが、見えないところから来られてしまった」と肩を落とした。
今期は1年ぶりにS級へ復帰した。長らく在籍した普段の持ち場であり、前回の小松島記念では「ああ、やれそうだな」と、久しぶりに手ごたえを実感し自信を取り戻した。若い頃は勢いに任せた一瞬のダッシュ力を武器としていたが、年齢を重ねてスピード勝負に抗えなくなると、代わりに一定のスピードで踏み続ける技術を会得した。今年40歳を迎えたベテランはしぶとく、転んでもただでは起きない。
「ジト〜っと、ずっとトロトロと踏んでいる感じ。ダッシュが無くなり最高スピードが落ちた分、モガける距離が伸びたのかもしれません。若い頃って練習をしなくても勝てる感覚があったけど、今は選手になって一番、練習している。結果も出ているから楽しいんです」と、かつての爆発力はもうないが得たものは大きい。
「若い頃か…。自分が一番、強かったのって12、3年前。SSイレブンっていうのがあったでしょう? あのときあたりかな。自分は6か月間すべて自粛したんです。今の若い選手はもう知らないでしょうね。だって(吉田)拓矢がデビューしたときとかの話だから」と、話題は突如として脱線し、かつて競輪界を大きくにぎわせた騒動に言及。若き日のとても濃くて苦いエピソードを振り返った。(netkeirin特派員)