自転車競技・2024年UCIトラック世界選手権大会メダリスト会見

2024/10/22(火) 12:00

10月16日から10月20日まで、デンマークのバレラップにおいて開催された「2024年UCI自転車トラック世界選手権大会」でメダルを獲得した日本代表選手の会見が22日、行われました。
今回の世界選手権では、男子ケイリン、女子ケイリン、男子スクラッチの3種目で金メダル、さらに男子スプリント、女子スプリント、男子チームスプリントの3種目で銅メダルを獲得と、日本勢はまさに「メダルラッシュ」の活躍。
かつてない快挙に沸いた世界選手権から帰国したメダリストたちの会見の模様をお伝えします。

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◆男子ケイリン
金メダル:山崎賢人
※37年ぶり


「競輪と競技、どちらも盛り上がるように」

今までサポートや応援の力を形にできず悔しい思いをしてきましたが、今回メダルという形にしっかりできたので嬉しく思います。
(質疑応答より)
パリ五輪を目標にやってきましたが、リザーブという形になって、出られず。そこで世界選手権にはアジア選手権のケイリンで優勝していて権利があったので、ここに向けて気持ちを切り替えて。パリを目指している中でも、僕は世界選手権を見ていたので、しっかり準備はできていたと思います。
(決勝は)予選から緊張していて、ギリギリ勝ち上がり。1戦、1戦を戦い抜くことで結果が出るかなと、目の前のレースに集中していました。冷静に展開を予想して、アドバイスも信じて、一瞬で反応して力を出し切るしかないと思っていました。
トレーニングでも、僕以外のメンバーが強くて、僕が引っ張られています。それで力をつけてもらったなと。それでも世界と比べると、まだまだメダル獲得は遠いと思っていました。今回メダルが獲れたのは、実力ではなく、いろいろサポートがあって、応援の力があって、1000回に1回が出たというか、結果につながっただけ。まだ世界一には、僕は見合っていない。これからまだまだトレーニングして、これからみられる立場になるので、しっかりわきまえて、実力を付けて頑張っていきたいです。僕は競輪選手から競技者になりましたが、競輪と自転車競技は分けて考えられるようにと言われていますが、競輪も競技もどちらも盛り上がればいいと思っています。競技として金メダルを獲りましたが、競輪界にもいい影響を、皆さんの力を借りて盛り上げて行けたらと思います。

◆男子スクラッチ
金メダル:窪木一茂
※史上初


「いろいろな意味がある優勝」

自転車競技を始めた16歳からの目標でしたが、まさか(金メダルが)獲れるとは思っていませんでした。今回、同部屋だった山崎選手が前のレースで優勝してくれて、流れを作っていただいた。ナショナルチームの雰囲気、環境作りにも感謝しています。
(質疑応答より)
銀メダルが続いて、目指すところは金メダルでした。ただあまり執着せずに、いつも自分のパフォーマンスに発揮することにフォーカスしていました。五輪ではあまり積極的に行けなかったですが、今回は身体が勝手に動いて積極的に走れたのが、メダルに届いたと思います。前走の山崎選手の優勝がすごく嬉しくて、本当にすごく勢いをいただきました。
競輪で培ったスプリント力は、中距離でかなり自信をつけていまして、その武器があるから、途中でアタックして逃げ切る戦法にも切り替えられました。ロードレースと競輪、2つの種目を走らせていただいていることが、今回のメダルにつながったと思います。ロードレースの環境にも、すごく感謝しています。
この結果は自分も通過点。まだまだ世界で通用するスピードと持久力が求められます。次の4年間、過ぎ去った4年間以上に、1日1日を積み上げて、もっと世界と差を縮めたいです。中距離のメダルは初ですが、自分だけの喜びではなく、これからの若い選手、世界を目指す選手にいい影響を与えられたと思います。積み重ねてきたこと、すべてが総じて今の結果がある。いろいろな意味がある優勝をさせてもらったと思うので、強化につなげていきたいです。

◆女子ケイリン
金メダル:佐藤水菜
◆女子スプリント
銅メダル:佐藤水菜
※ともに史上初


「通過点として、次のステップへ」

山崎選手のケイリン優勝の瞬間を見て、レース前の窪木選手もすごく喜んで「流れが来たな」と。本当にその言葉を有言実行しましたし、この流れで、自分も頑張りたいと思えて、それで(スプリントで)銅メダルを獲得することができました。アルカンシエルもすごく着たいと思っていたので、落ち着いて走ることができて良かったです。来年からも、しっかりと男子に続けるように頑張りたい。
(質疑応答より)
(ケイリンは)初年度に銀メダルを獲れたので、翌年はすごく意気込んでいたのですが、力及ばず。空回りしてしまっていたので、今回は1レース、1レースに集中して結果を出すことを重点的に置き、一番最後に一番良いパフォーマンスができたと思います。
スプリントは4分の1を勝ちあがるのはアデレード以来。そこまで調子よく行けたら、金メダルを狙いたいという強い気持ちでしたが、王者がすごく強くて。逆に、銅メダルには今までにないくらい必死に食らいつくことができました。嬉しかった半面、ケイリンでも結果を求められることをすごく感じて、今まで自分の力を出し切れずに終わったりして、正直、苦手意識が芽生えていたのですが、日本発祥のケイリンで山崎選手が金メダルを獲ったことで、自分も獲るんだと前向きになれました。今までにない気持ちで挑みました。
(抽選で)6番だったので、どうやって勝つかを、コーチも組み立ててくれて。窪木選手のような強い逃げ切り勝ちをしたかったですが、6番だったのでタイミング見て、いけるところからいく風に作戦立てました。自分のタイミングがバックストレッチで来たので、後ろを突き放すように思い切り踏み込みました。
結果は嬉しいですが、私にとっては通過点。競輪は実力と運の要素が含まれるレースですが、スプリントは実力勝負。今回は結果を残せましたが、まだまだ上を目指すには、力が足りない、これを胸に次のステップに進みたいと思います。

◆男子スプリント
銅メダル:太田海也
※チームスプリントでも銅メダル


「このメダルを来年にどうつなげていくか」

個人としても、チームとしてもパリ五輪に出場して、多くの方にサポートしていただいたと実感。しかし、メダルを獲ることができず、どうやって皆に感謝の気持ちを形にできるか、常に考えて、やっぱり自転車競技の世界でメダルを獲りたいと思い、世界選手権に挑みました。隣にいる選手が世界一になってすごく刺激になって、夜も眠れないくらい滾(たぎ)って、スプリント3位決定戦に持ち込むことができました。近くのチームメイトが世界一になったからこそ、自信につながったと思います。
(質疑応答より)
五輪で結果が出なかった分、自転車に乗ることがしんどくなりました。でも、日本の競輪をすぐ走り、自転車キツイなという気持ちが、乗ると楽しい気持ちに変わっていって、伊豆に帰ってからも、嫌だな、好きだなという気持ちが毎日続いていましたが、コーチやチームメイトに支えてもらって、世界選手権を迎えられました。
チームスプリントでまず銅メダルを獲得して、個人でない喜びを改めて実感しましたし、3人の状態が良くないとメダルはありえないので、自分たちのパフォーマンスを発揮できたなと思います。そして、個人種目も銅メダルでしたが、今の自分の実力では銅メダル決定戦に毎回行ける、行けないのかのレベル。その中で獲得することができた。でも、振り返ると、今回も戦ったハリー・ラブレイセンを倒したいと気持ちが強くあります。力の差があるので、この銅メダルを来年にどうつなげていくか、それがこのメダルの価値だと思います。

◆男子チームスプリント
銅メダル:長迫吉拓・太田海也・小原佑太
※史上初


「ターニングポイントのメダル獲得」

小原佑太
太田海也君、長迫吉拓選手の2人に助けられて獲れた銅メダルだと思います。ロス五輪に向けて、今度は自分がチームを助けられる存在になりたい。また、個人種目では五輪、世界選手権でベスト8まで行けましたが、メダルは獲れていない状態。ありがたいことに、男子、女子ともに世界チャンピオンが近くにいるということで、それを目標に、追いつけ追い越せで頑張ることができると思います。
(質疑応答より)
五輪後はオフをいただきましたが、選考期間の2年間のストレスで、身体の調子が悪いなと感じていました。帯状疱疹なども出ましたが、それをケアして、チームスタッフやいろいろな方に支えられて、世界選手権に出られましたし、チームに助けられてメダルも獲ることができましたし、自分としては来年に向けて、いいスタートが切れたのかなと思います。
今回の銅メダルは皆に助けてもらったメダル。今回のチームスプリントに関しては、各国を見ても、フルメンバーではないので、何とも言えないですが、メダルはメダルとしてターニングポイントになると思う。今回メダルを獲ったことで、来年、再来年とメダリストとしての責任や、メダルに乗ってくるものがあるので、それと向き合って、五輪に向けてまたメダルを獲れるように頑張りたいと思います。

・なお、長迫吉拓選手は欠席

◆中野浩一スーパーバイザー・総評

五輪が終わって、短い期間で世界選手権が行われ、選手のモチベーションの問題がありましたが、今回こういう結果になりまして。世界選手権には19種目15名の選手を派遣しました。
各選手が健闘して、史上初の男女ケイリンともに金メダル、チームスプリントも本当は五輪でメダルを取りたかったですが、今回、パリのリベンジを少しは果たしたかなと思っております。窪木君も銀、銀と来て、もう次は金しかないということで、しっかりと金を獲りました。
特にケイリンは、日本発祥の種目で、何とか金メダルを目標にやってきましたが、今までは銀が3回、前回は銅メダル。そして、ここにきて金メダルということで、これを継続していけるいけるように、しっかり強化に力を入れてやっていきたいと思います。

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