2024/04/07(日) 18:32
大阪・関西万博協賛
開設75周年記念「桜花賞・海老澤清杯」G3(最終日)
4月4日から4日間の日程でスタートした川崎競輪開設75周年記念「桜花賞・海老澤清杯」G3が最終日を迎えた。
同競輪場で今年2回目のG3開催となった大会は、2月の全日本選抜競輪を制し凱旋レースの郡司浩平や、ウィナーズカップ以来の実戦となるS級S班5名の動向などに注目が集まった。
とくに郡司は、力強い自力や圧倒的はパワーで他を粉砕する北井佑季との連携から激戦を勝ち上がり、地元G3の5連覇に王手をかけた。また、状態がいまひとつのS班・古性優作や新山響平、佐藤慎太郎も現状を打破する巧みな組み立てとレースの読み、持ち前の先行力などで混戦を切り抜け存在感を示した。さらに、調子が戻ってきた嘉永泰斗はS班をも凌ぐ高速捲りでファイナリスト名に連ねた。
細切れ戦となった決勝は、6番手から捲った嘉永が、先行する新山を最後の直線でとらえ、そのまま後続を寄せ付けず1着でゴール。2023年5月函館以来、通算3回目のG3を制覇を果たし、大観衆の拍手を浴びた。
※3日目のレポートはこちら
【川崎競輪G3(最終日)12R=S級決勝】
1/郡司浩平(S1・神奈川99期)
2/嘉永泰斗(S1・熊本113期)
3/新山響平(SS・青森107期)
4/山田久徳(S1・京都93期)
5/松本貴治(S1・愛媛111期)
6/佐々木眞也(S1・神奈川117期)
7/古性優作(SS・100期)
8/松岡貴久(S1・熊本90期)
9/佐藤慎太郎(SS・福島78期)
【レース展開】
誘導以下、7古性-4山田、1郡司-6佐々木、2嘉永-8松岡、3新山-9佐藤、5松本で周回。赤板前に新山が動き出すと、それを察知した嘉永が先に動いて、赤板過ぎに古性を抑えていく。その動きを見て、郡司が上昇し、打鐘前に嘉永をかわして先頭に立つと、打鐘で新山がスパートして、打鐘過ぎ4コーナーで郡司を叩いて先行態勢に入る。東北ラインの3番手は内に郡司、外に松本で並走となる。中団の嘉永は最終2コーナーから捲りを打つと、佐藤慎太郎のけん制もしのいで、最後の直線で新山をとらえる。8番手から古性、さらに古性マークの山田も追い込んでくるが、抜け出した嘉永が押し切り優勝のゴール。2着に山田、3着に古性が入線した。
【川崎競輪G3(最終日)12R=S級決勝・結果】
2車単2-4 8,780円(32番人気)
3連単2-4-7 25,110円(94番人気)
決まり手:捲り-差し
優勝/嘉永泰斗(S1・熊本113期)
今回成績/一2・二1・準1・決1
次走出場予定/松山F1(4月17日~19日)
組み立ては割と想定内で、新山(響平)さんの後ろ攻めも想定に入れていたので、焦らず動けました。新山さんの3番手、4番手が取れたら良かったのですが、(赤板過ぎに)郡司(浩平)さんが先に来たので、引いて、後は行けるところからと。
(最終HSで)(松本)貴治さんが郡司さんのところにいたのが分かっていたので、そこが折り合う前に仕掛けたらチャンスがあるのかなと思い仕掛けました。仕掛けた感じは、重かったですね。無理やり仕掛けた感じです。(佐藤)慎太郎のけん制をもらいながらでしたが、なんとか乗り越えられて良かったです。
今後は、まずG1の決勝に乗ることが目標です。乗れたら、おのずとチャンスが巡ってくるのかなと。ダービー(日本選手権競輪)に向けて、早速練習します。
【嘉永泰斗の過去G3優勝開催・レポート】
2023年5月函館競輪G3
2021年10月熊本記念in久留米G3
\川崎G3(最終日)注目選手ピックアップ/
【最終日・8R=S級特選】
「冷静に悔しさをぶつける走り」
1着/北井佑季(S1・神奈川119期)
※チャリレンジャー(スポンサード選手)
今日は、冷静に走る中で、準決勝の悔しさをぶつけられたらと思って臨みました。ライン3人で先頭に出られるペースと場所を考え、2コーナーの下りを使って仕掛けました。積極的なレースをして、3人で決められ良かったと思います。また、準決勝は(眞杉匠と)気持ちのぶつけ合いで着外になってしまいましたが、課題が見つかった中で、多少なりとも収穫があり、最終日に1着で終われて、次につながるのかなと思います。そして、G1を獲れるところまで来ていると思いますし、全日本選抜の(決勝)3着から、2着、1着はすごく遠いとは思いますが、練習で埋めていければ必ず獲れると思います。
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川崎競輪G3最終日の第5レース終了後に、場内ステージにおいて、チャリレンジャー深谷知広選手(SS・静岡96期)のトークショーが行われた。
まず、前日の準決勝で激しい主導権争いを演じた北井佑季と眞杉匠のレース話題に。
「リアルタイムで見ていました。SNSで賛否両論ありましたね。北井の何とか眞杉の仕掛けに合わせようとする思いと、眞杉に出られた時のことを考え、場所を確保しようとした郡司のお互いの気持ちが逆に向いたと思います。郡司と北井の気持ちがすごく分かるし、すごく難しいレースだったと思います」。
レースでは眞杉が4番手から打鐘でスパート。その仕掛けについては「北井と郡司が前にいて、いい位置にいるにも関わらず、あそこで叩けるのがすごいし、上手いと思いました。自力選手としては憧れる動き方です」とレース解析をした。
自力選手として競輪界のトップをけん引し続ける深谷だが、近況は番手回りも増加中。その難しさについては、
「後ろを走り出して思うのは、今まで前で自由に走っていたんだなと思っています。準決勝の郡司と北井の走りのように、後ろは前を観察している、前の選手の脚質によって出方が変わるので、間合いのとり方が難しいと感じます」。
とくに連携が多い郡司だが、「郡司の後ろはモーションなく流れに乗って、シュパッといなくなるので、脚を使わずに対応するのが難しいです。でも、マーク選手に聞くと、郡司の後ろが一番走りやすいと言うので、自分の技量不足なのかなと感じます」と語った。
また、近況の南関東の勢いについては「みんな自信を持って走っていると思うし、自分も出来るんだとの思いが、すごく強くなっているのかなと思います」。その勢いを生み出している立役者の一人は北井佑季であろう。こんなエピソードをユーモラスに明かす。
「最近(宿舎で)神奈川勢の部屋に行くことがあるのですが、北井は夜、顔面を氷で冷やしベッドで倒れるくらい、命を削って走っています。皆で、北井は人間を辞めたなと話しています」。
次の出場予定は4月11日からの高知記念。
「しっかり練習をして、皆様の前でいい走りを見せられるように精いっぱい頑張ります。これからもよろしくお願いします」と意気込みを語り、笑顔でステージを後にした。
(P-Navi編集部)