2020/08/23(日) 17:25
~失敗しないマストアイテム選び
前回までの記事では、ロードバイクを中心に、スポーツバイクの選び方やフィッティングの仕方について紹介してきた。
公道走行、さらには長距離ライドやスポーツ走行を楽しむためには必須となるアイテムがあり、スポーツバイクの場合、必要なアクセサリーは基本的に自分で選び、買い揃えることになる。今回はスポーツバイクで走行するために必要なアイテムを取り上げていきたい。
公道を走るためのマストアイテム
自転車は道路交通法上「車両」となるため、公道走行に関してはルールが存在する。バイクへの装着が義務付けられているのはベル(警音機)とライト(前後)それに反射板(後部)だ。
ベルに関して、鳴らして良いのは「本当に危険な時」に限定。歩行者に対して、道を譲らせたい時に鳴らすのは違反行為。現実的には危険が迫ればブレーキレバーに手がいくので、鳴らす機会はないのだが、装着が義務付けられているため、何らかのベルを付ける必要がある。このため、できる限りスマートで目立たないものや小ぶりのものを使うケースが多い。逆にファッションアイテムとしてあえて派手なものを付けるケースもあるようだ。
ロードバイクにはバイクのデザインを邪魔しないスマートなデザインのベルが人気
【参考商品】実用性も高く、計算し尽くされた音と音量も好評だ KNOG(ノグ) Oi BICYCLE BELL ¥2,300(税抜)ダイアテック株式会社
あえて目立つデザインのユニークなベルを選ぶという選択肢も
【参考商品】オレンジ・スイカベル レインボープロダクツ おいしそうなツヤのあるベル。バイクのアクセントに。1,000円(税抜)
夜間やトンネル内ではライトの点灯が必要となる。フロントライト(前照灯)は白か淡黄色で、前方10m先を確認できる明るさが必要だ。リア(尾灯)は赤色で100m先から見える明るさが求められるが、リフレクター(自治体により規定は異なるが、赤色等色の制限がある場合もある)の装着でも許される。
道交法ではフロントライトは前方10mが確認できる明るさを規定しているため、十分な明るさのライトを選びたい
【参考商品】VOLT200 キャットアイ 暗闇でも前方15mが確認できる約200ルーメンのフロントライト。充電可能でリーズナブル。充電時期も教えてくれ、使いやすい。4,500円(税抜)
ただし、ライトの一番の役割は自分の存在を伝え、自分を守ること。例えば、無灯火でトンネルに入ってくる車に対してはリフレクターは機能せず、自分自身が危険にさらされてしまう。特にリアに関しては明るく、目立つ赤色ライトをつけることをオススメしたい。近年は「デイライト」と、呼ばれる遠くまで届く光を放ち、日中も自分の存在を周りに伝えるライトも人気が高まっている。
後部に関しては道交法上はリフレクターの装着のみでもOKだが、身を守るためには自分の存在をアピールできる赤色ライトを選んでおきたい
【参考商品】ラピッドマイクロオート キャットアイ コンパクトで軽量でありながら、明るさ・振動センサーを有し、自動点灯・消灯を行うオートモード付きで、トンネルや日暮れの点灯忘れもなく、安心!視認性の高い3つの点灯モードから選択可能。3,900円(税抜)
白色のフロント/赤色のリアライトに加え、補助灯を加えると安全度アップ!遊びゴコロで付けてみては?
[参考商品] レインボーモンスターズ レインボープロダクツ 愉快なモンスターたちが光を放ち、夜道でも存在を強烈にアピール!年齢を問わず人気。補助灯に。1,200円(税抜)
安全を守るために
ロードバイクなど、スポーツバイクでの走行は車道が原則となる。高速走行やアップダウンコースへ足を伸ばす可能性もあり、命を守るヘルメットの着用はマストだと考えてほしい。
「かぶっていた方が涼しい」と、言われる程のベンチレーション(通気)効果に優れたヘルメットもあるようだ。空力が計算し尽くされたエアロヘルメットも人気で、選手に聞くと、ヘルメットによっては時速が1~2km変わることもあるとか。
欧米系のヘルメットはアジア人の頭の形にフィットせず、ワンサイズ上げる必要が出ることも。頭の形によっては「アジアンフィット」モデルや国産のブランドを選択肢に入れるのも良いだろう。
ヘルメットブランドは多くあり、ブランドごとに多彩な商品を展開している
自分の使い方に合ったスペックのもので、似合う、フィットするものを選びたい。
【参考商品】RECT Kabuto レース対応のクオリティでありながら、コンパクトでカジュアルなルックスが人気、値段もリーズナブル。日本人の頭にフィットするシェイプであり、後頭部には個々の頭に合わせられるアジャスター付き。7色展開 7,200円(税別)
街乗りにも合うカジュアルデザインのヘルメットも人気
【参考商品】KOOFU BC-GlosbeⅡ Kabuto コンパクトで物々しくならないカジュアルな風合いが人気。ウェア以外で乗る時も違和感なくコーディネイトできる。競技連盟の規格も満たしており、レース参戦も可能 7色展開 14,000円(税別)
ヘルメットはアイテムごとに形、重さ、ベンチレーションなどが異なるのだが、かぶり比べてみると、フィット感に加え、想像以上に似合う/似合わないがあるものだ。身に着けるものであるし、フィットしないヘルメットは安全性能も落ちてしまう。必ず試着してからの購入をオススメしたい。
店舗にはたくさんのヘルメットが並ぶ。
試着とかぶり比べをして、フィットするヘルメットを探すのが失敗しないコツ。
YOUCAN八王子店にて
革や合皮製の衝撃吸収剤を入れ作られた簡易ヘルメット
街乗り、自転車の旅などに愛用者が多い
【参考商品】手持ちのキャップ等を下に入れて使用する革製カスク。軽量で折りたためるため、下車後の動きにも影響しない。カスク レザー リンプロジェクト 14,000円(税抜)
どうしてもヘルメットに抵抗があるという人には合皮素材などで作られた簡易ヘルメットが良いだろう。過去にはツール・ド・フランスなどでも使用されていたもので、硬質ヘルメットには劣るものの、ある程度、頭を守る効果はある。折りたためるものは特に持ち運びも楽で、下車後の動きや走り方に合わせ、使い分けるのはありだろう。
身に付けるものとして、グローブとアイウェア(サングラス)も推奨したい。
アイウェアは気恥ずかしいという方も多いが、対向車が小石を飛ばして来ることや、潮風などで目を傷めることもある。ロングライドや高速走行時はアイウェアを付けた方が安全だ。目から入る紫外線でも全身が日焼けする。アイウェアにはUVケアアイテムとしての価値もある。
アイウェアの展開も多彩!
側面まで視界がカバーされ、季節や時間の光の変化にも対応するスポーツ向けのものを選びたい。
【参考商品】NB-01 Kabuto 軽く、かけやすく、お値段手ごろで購入しやすいと3拍子揃った自転車用アイウェア。紫外線カットはもちろん、透明性 / 耐衝撃性 / 耐熱性などに優れたポリカーボネイト製レンズを使用。替えレンズセット付き フレーム2色展開 5,000円(税抜)2020年7月発売
小柄な方、女性などはずり落ちてくることがあり、小さめのタイプを選んだ方がベター
【参考商品】BINATO LADIES Kabuto クオリティーはそのままにコンパクトに作られた女性向けモデル。アイメイクがレンズに付かないよう、高さ調整可能なノーズパッドが使われている。替えレンズセット付き フレーム2色展開 8,000円(税抜)
万が一の転倒時、手を路面に付くと手のひらをケガしてしまう。グローブには滑り止めや衝撃吸収効果もあり、ハンドルを長時間握るストレスも和らげてくれる。日焼けが気になる方はフルフィンガーで手首の長いタイプのグローブがベター。乗り慣れないうちは特に、グローブを着けていた方が安全だ。
グローブも走り方や好みに合わせ、求められる性能は変わってくる
自分にあったものを選び取りたい
【参考商品】アンバウンドグローブ パールイズミ 異なるクッションを最適なバランスで組み合わせた2層構造の厚手パッドが手の平を痛みから守る。握りやすい立体縫製。女性用は指先を出し、操作性は確保するが、指〜手首までを覆い紫外線からガードする。男性用3色・4サイズ展開 4,000円(税抜) 女性用3色・4サイズ展開 4,500円(税抜)
快適のために
スポーツバイクのサドルは軽く腰掛けることを想定しており、ママチャリのものより硬い。カーボン製の軽量硬質のものまで存在しているが、パッド付きのパンツを履くことが前提となっている。とは言え、パッド付きのパンツは体のラインがハッキリ出てしまうスポーツウェア。気恥ずかしいという方も多く、下着として洋服の中に着用できるパッド付きインナーショーツも販売されている。パッド付きのタイツや7部丈ショーツなどを選び、その上にショートパンツやハーフパンツを合わせ、着こなす人も多いようだ。
パッド付きショーツはロードバイクの必須アイテム!
丈はショート/七部(スパッツ)/タイツタイプがある
上までつながったビブタイプが標準だが、腰下のみのパンツタイプも使いやすい
【参考商品】コールドシェイドパンツ UVカット機能を持ち、太陽光を遮り、衣服内温度の上昇を抑えるコールドシェイドを採用した真夏でも涼しいパンツ。3色・4サイズ展開(Sはブラックのみ)10,000円(税抜)
カジュアルスタイルのボトムも人気
【参考商品】 ボディラインが出ないパッド付きパンツ。ゆとりがあり、動きやすい パールイズミ サイクルクロップドパンツ(男性用・写真上)2色3〜5サイズ展開 13,800円(税抜) サイクルカプリパンツ(女性用・写真下)2色3サイズ展開 12,800円(税抜)
パッドには、体の作りに合わせ、厚みを変えて作られた男性用、女性用があり、さらに極厚タイプなどもラインナップに並ぶ。基本的には、下着を着けず、直接着用するが、近年はパッドの内側に着用する専用のインナーパンツも販売されている。
ウェアの最大手パールイズミ社が製品に使用するパッドの一覧。乗車姿勢を研究し、走り方に合わせ、様々な層が求める性能を持った多様なパッドを用意している。さらに女性用も別途展開している。パッドも含めて自分に合ったアイテムを選びたい。画像提供:パールイズミ
これからの季節は汗の問題も重要だ。スポーツライドをするのであればスポーツ用の吸汗速乾インナーは必須。機能が高く、汗冷えを防いでくれる。
自転車用の高機能インナーは汗を速やかに吸い、乾かしてくれて快適
伸縮性にも優れ乗車時の姿勢もしっかりサポート。
1枚持っておくと日常にも使用できるので便利。
【参考商品】クールフィットドライノースリーブ パールイズミ 3色・5サイズ(男性用・写真上)2色・3サイズ(女性用・写真下)4,300円(税別)
サイクルウェアは余計な空気抵抗を削ぎ、軽量で吸汗速乾性に優れ、前傾姿勢でも中身が安定するバックポケット付き。あればスポーツライドやロングライドを楽にしてくれることだろう。
サイクルジャージは前傾姿勢を前提に縫製
吸汗速乾性能にも優れ、余計な空気抵抗もないため、ライドを楽にしてくれる
襟があり、紫外線ケアにも、バックポケットも便利
【参考商品】サイクルプリントジャージ パールイズミ ゆったりフィットで着心地も良く、ベーシックでシックな色合いで、カジュアルウェアとの相性も○。UVカット性能も最高水準を誇る。性能はバッチリながらも、気負わず着られる一枚 男性用女性用ともに3色・3サイズ展開 10,800円(税抜)
コースや走り方によっては自転車はかなり強度の高い運動となり、こまめな水分補給は必須!ドリンクは車体にボトルケージを付け、ボトルを入れて運び、片手で抜き差しをして走行中も自由に飲めるようにするのがスタンダード。止まった時のみ水分補給するスタイルであればボトルの蓋の開閉が必要だが、ペットボトル用のボトルケージも出ている。
蓋を開けずとも片手で飲める自転車用ドリンクボトル
バイクコーデのアクセントにも! 画像提供:株式会社インターマックス
ボトルケージには素材、形状など様々なバリエーションがある
使いやすいものを選びたい
【参考商品】ボトルケージ グランジ シンプルでバイクのデザインを邪魔しない。リーズナブルな価格も魅力 700円(税抜)
夏季は特に保冷ボトルが人気
【参考画像】 ポラー保冷ボトル POLAR BOTTLE 軽量でスクイーズできる柔らかいボトルでありながらも気密性、反射技術を高めた3層構造の断熱材でドリンクの温度をキープ。真夏のライドには欠かせない強い味方に。飲み口を下げるとロックでき、持ち運びできる。色展開も豊富!逆さにしても漏れにくいが、圧力を加えると開放される弁が付き、スクイーズで飲める(Breakaway® Insulated 24oz 1,600円、20oz 1,500円)。
逆さまにしたり、ボトルを握ったり、吸うと中身が飲める(Sport Insulated 24oz 1,350円、20oz 1,250円)(価格は税抜)画像は2020年8月発売のリニューアル商品
携帯アイテム
ロードバイクに常につきまとう不安がパンクだ。軽量に作られている分、路面の落下物や凹凸などでパンクしてしまうことがある。1人で走りにいくのであればチューブ交換や修理はできるようにしておくのがベター。交換時、タイヤをはがすのに役立つタイヤレバー、替えチューブ、携帯用ポンプは持ち歩いておきたい。これらのアイテムはサドルバッグやボトルケージを活用したツールボトルに入れ、バイクに付けて運ぶと携帯のストレスがない。タイヤは耐パンク性能を重視して選び、常に適性空気圧をキープしておくと、それだけでもかなりパンクのリスクを回避できる。
万が一のパンクに備えて、替えチューブやタイヤレバー(タイヤをホイールのリムから外す道具)、携帯用ポンプなどを準備しておきたい。最低限の調整ができる工具も必須アイテムだ
必要なアイテムを入れたツールボトルを挿し、ボトルケージを荷物携帯用スペースとして活用する方法も
【参考商品】モッテコ1000+専用ボトルケージ グランジ ボトルには1リットルの容量があり、工具や替えチューブ、補給食、ウィンドブレーカーなど、バッグ感覚で必須アイテムを運ぶことができる。ケージをダウンチューブ(搭載写真右側のチューブ)、シートチューブ(写真左側のチューブ)に付けるため低重心となり、走行が安定するというメリットも モッテコ1000 2色展開 1,200円 ケージセット ボトル・ケージそれぞれ2色展開 2,300円(ともに税抜)
自分の走行速度や走行距離をリアルタイムで表示してくれるサイクルコンピューターは付けておくと状態を客観的に見ることができ、走行距離など達成感を持てて、ライドにハリが出るのでオススメだ。
サイクルコンピューターはスピード、走行距離、消費カロリーなど、走行データを表示し、ライドの状況を確認させてくれる。
【参考商品】ベロワイヤレスプラス キャットアイ シンプルで使いやすいサイクルコンピューター。ワイヤレスタイプでスッキリ。必要な情報を大きく見やすい大型液晶画面に表示。初心者でもストレスなく確認でき、使いやすい。5,500円(税抜)
ナビゲーション機能付きの高機能モデルを利用する方も。トレーニングをする層には心拍やペダルの回転数、さらにはペダルを踏み込む力のワット数を計測したデータを計器からBluetoothで受信し、まとめて表示するタイプの人気が高い。
手持ちのスマートフォンを専用のアタッチメントで固定し、ナビ機能などを活用する人も少なくない。
スマートフォンを使用する際は必ずアタッチメントで固定を!
手持ちの使用は道交法違反になるので注意
【参考商品】 BIKE KITクアッドロック スマートフォンにカバーを装着し、ハンドルに付けたマウントに固定する。ポリカーボネイト製カバーは衝撃にも耐える強固な安全性を持ち、タイラップで装着すれば80kgもの荷重にも耐えられる。スッキリしたシルエットとマットな手触りも人気。7,260円〜(税抜/価格はスマートフォン機種により異なる)
デバイス群をハンドルに取り付けていると、ついつい走行中も操作したくなってしまうけれども、どうしても前方への注意はおろそかになってしまう。十分に安全に配慮した上で使用してほしい。
スポーツバイクの盗難は後を絶たない。防犯登録をしたとしても駐輪時は必ず施錠しよう。多様な鍵が販売されており、形状、長さ、強度、重量などで選ぶ。容易に切断できないタイプが安心だが、強固なタイプは重さが出て、持ち運びの問題が出てしまう。車体に付けて携帯の負担を減らしたり、短めの強いものと、長いものを組み合わせたりと、それぞれのスタイルで選んでいるようだ。食事時など、バイクから離れる場合は目の届くところに駐輪できる店舗を選ぶと安心だ。また、デバイス類も盗難の心配があるため、駐輪時は取り外しておきたい。
強度がありながら、比較的軽量な4mmチェーンを使用。90cmの長さがありながらも353gと、軽量で持ち運びの負担も小さい。エコ素材を使用 CP-HW-EC490 クロップス 2,600円(税抜)
全長180cmのロングケーブルで前後のホイールやサドルに通してロックできる。仲間同士で出掛けても、複数のバイクを束ねて施錠することもできる。多彩な色展開も嬉しい。丸めて収納でき、123gと、軽量で持ち運びも楽々 CP-SPD07 クロップス 1,900円(税抜)
店舗にたくさんの自転車用パーツやアクセサリーが並ぶ YOUCAN 八王子店にて
使い慣れてくると、それぞれの個性や使い方に応じた必要なアイテムの種類も分かってくるだろう。様々なブランドが使い勝手や快適性を高めたアイテムを開発している。積極的に取り入れて、みなさんの自転車生活をブラッシュアップしてみてはいかがだろうか。
次回は実践編、ロードバイクの乗り方についてご紹介しようと思う。
画像/編集部
画像提供(社名五十音順)
株式会社インターマックス (ポーラーボトル)
株式会社エムプランニング(レインボープロダクツ)
株式会社オージーケーカブト(Kabuto)
株式会社キャットアイ(キャットアイ)
東京サンエス株式会社(グランジ)
株式会社シャノア(リンプロジェクト)
ダイアテック株式会社(KNOG)
株式会社パールイズミ (パールイズミ)
株式会社ユーロギア(クアッドロック)(P-Navi編集部)