2020/06/11(木) 16:51
今、新型コロナウィルス感染拡大を受け、在宅時間が増えたことによる運動不足やストレスの解消、密閉空間となる公共交通機関を使用する移動の回避目的で、日本でも自転車に乗る人が急増。
WHO(世界保健機構)も免疫力を上げるために、毎日の運動を推奨し、その選択肢として、自転車も挙げている。
世界的に自転車通勤や自転車を使用しての移動が推奨され始め、自転車への注目が高まっているのだ。
自転車は心身へのプラスの効果があり、環境問題への解決策としても期待が高い。ストレスなしで、速く移動できる交通手段という点も注目すべきところだ。この自転車の価値を知っていただき、巧く活用できるよう、シリーズで特集していこうと思う。
今回は全3回の特集として、自転車生活をスタートさせるため、まずは実用に重きを置いた自転車の選び方についてご紹介していくことにする。
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目指せ、自転車デビュー!
日本の自転車保有台数は、7,500万台を超えている。ありふれた存在ではあるが、学生時代を最後に、自転車を乗り止める人の数も多い。最近、自転車に乗っていなかったという方も少なくないのではないだろうか。納戸やガレージに眠っている自転車を整備するのも一案だけれども、『サイクルショップ 武蔵小杉店』さんに最新の自転車事情を教えていただいた。
[caption id="attachment_33895" align="alignnone" width="640"] キッズ用自転車からロードバイクまで品揃えの豊富なサイクルスポット 武蔵小杉店[/caption]
[caption id="attachment_33897" align="alignnone" width="640"] キッズバイクの扱いも豊富。ニーズに合ったラインナップで、あらゆる層のお客さんが訪れていた。[/caption]
今年、武蔵小杉駅の近くに移転オープンしたばかりの真新しい店舗には所狭しと自転車が並ぶ。メインはいわゆる“ママチャリ”だが、電動アシスト自転車、スポーツバイク、キッズ、ジュニアバイク、さらには自転車関連グッズと、扱う商品の幅は広い。
『シティサイクルがあれば、ほとんどいける』
では、最近はどんな自転車が人気なのだろうか?
「ストレートハンドルのついたシティサイクルですね。通勤などでそれなりの距離で使いたいという方々を中心に、多く選ばれています」と、高田正治店長が示した自転車はママチャリのようにも見えた。
「いわゆるママチャリは大きく分けるとU字型のハンドルがつき、後ろにキャリアがついたタイプ。一文字のストレートハンドルがつき、少しスポーティーな前傾姿勢で乗るタイプと、2種類あるのです」
なるほど!ママチャリの中にも違いがあったのか。
またぎやすい形状のフレームに、リラックスした姿勢ですら乗れる安定感を誇るU字ハンドルがつき、スカートガードなど女性を意識した装備がついた典型的なママチャリは種類の一つであり、ママチャリ全般の定義ではなかったのだ。そもそもママチャリという名からしても俗称であり、分類方法や呼び名は国内でも統一されていないようだが、この一連の記事ではこのタイプを『軽快車』、前述のストレートハンドルのものを『シティサイクル』と、呼ぶことにして話しを進めたい。
[caption id="attachment_33898" align="alignnone" width="640"] 最近人気が高まったというシティサイクル。その他、店内には多くの自転車や関連グッズが並ぶ。[/caption]
ママチャリは実用性を重視した実用車であるが、主婦のお買い物自転車という印象が強い。ところが、性能は大きく進化し、今や男性からも支持を受けているそうだ。
それでは、最近のママチャリとはどのように進化しているのだろうか?例として、軽快車、シティサイクルを見てみよう。
[caption id="attachment_33900" align="alignnone" width="640"] 上体をリラックスしたまま乗れるU字ハンドル、キャリア、またぎやすいフレーム、スカートガード。買い物自転車として支持を受ける軽快車。
【参考写真】カジュナ ベーシックライン E.Xダークオリーブ またがりやすいフレームながら、デザインにも気品があり、幅広い年齢層に人気。オートライトつき(リアも太陽光充電の赤色LED が自動点灯) 内装3段 チェーン56,800円・57,800円(26・27インチ) ベルトドライブ63,800円、64,800円(26・27インチ)(すべて税抜・デラックスモデル)画像提供:ブリヂストンサイクル[/caption]
[caption id="attachment_33901" align="alignnone" width="640"] 軽い前傾のスポーティーな姿勢で乗るストレートハンドルがつき、それなりの距離の走行が可能なシティサイクル。実用に便利なカゴやスタンド、鍵、泥よけがつき、通勤通学などに近年、需要が高まっている。
【参考写真】アルベルト F.ピアノブラック/S型 内装5段 ベルトドライブで快適走行 幅46cmのワイドなカゴが付き、ノーストレスでバッグも運べる オートライト付き(リアも太陽光充電の赤色LED が自動点灯) 66,800円(26インチ)、67,800円(27インチ)ともに税抜 画像提供:ブリヂストンサイクル[/caption]
もちろん、共通点は多いが、重視している性能が違うようだ。
今、なぜシティサイクルが売れているのだろうか?シティサイクルは走行性能を重視して設計されており、5〜6kmであれば快適に移動できる。体力や趣向にもよるが、10km圏内であれば交通手段として使用も可能。元がママチャリということで、安定感も高く、脚力次第で、ある程度のスピードを出すこともできる。カゴがついていて、荷物も運べるため、生活の中で通勤、通学など、それなりの距離を移動する際の交通手段として必要な要素をシッカリ備えているからとも言えそうだ。
「ママチャリは購入の段階で、乗るために必要な装備の全てが揃えられているところも魅力です」と、高田店長。多くのスポーツバイクは車体のみの販売であるが、ママチャリには通常、ペダル、カゴ、スタンド、泥除け、カギに加え、道路交通法上、装着が義務付けられるベルやライトも装着された形で値段がつけられている。
[caption id="attachment_33902" align="alignnone" width="640"] ライトも標準装備。ダイナモも進化し、軽い力で明るいLEDライトを点灯できる。[/caption]
[caption id="attachment_33903" align="alignnone" width="640"] オートライトはセンサー付きで暗いところでは自動点灯。裏に切替スイッチがつくものも。[/caption]
ライトはセンサーつきのオートライトが主流で、夕暮れ時やトンネル内など暗くなった時の“うっかり”点灯忘れもない。ライトをつけるためのダイナモも昔とは比べものにならないくらい静かで軽く、ライトのために余計にペダルを踏み込む辛さもない。危険回避のためデイライトとして常時点灯しているモデルさえもあるそうだ。スポーツバイクは自分好みにカスタマイズすることも楽しさなのだが、購入するだけで、そのまま乗り始められる手軽さもまた、大きな魅力だと言えるだろう。
[caption id="attachment_33904" align="alignnone" width="640"] 泥除けや鍵も標準装備。[/caption]
[caption id="attachment_33905" align="alignnone" width="640"] やはり、大きなカゴつきモデルは便利。[/caption]
『スポーツバイクは走る楽しさを与えてくれる』
それでは、スポーツバイクはどうだろうか?特にロードバイクなどは近年、急激に注目が高まり、街中でもごく当たり前の存在になるほど普及した。
[caption id="attachment_33906" align="alignnone" width="359"] 爽快なスピードが出せて、遠くまで行かれるロードバイクの愛好者も多い。店内にはスポーツバイクのコーナーも。[/caption]
[caption id="attachment_33907" align="alignnone" width="359"] ルックス良し、走行性能良し。共に出掛けたくなるスポーツバイク。[/caption]
スポーツバイクは走るための自転車であり、軽量でギア数も多く、走行を重視して設計されている。前傾姿勢でサドルを高めに設定して乗るため、身体を巧く使えて、長距離も楽に走れる。軽い力でスッと、進み、爽快な高速走行も可能。さらにフィットネスやシェイプアップなど、身体を変えてくれる効果も期待できる。1度、乗れば、ママチャリのような実用車に対して抱いていた『自転車』のイメージは一変するだろう。楽しみの幅がグッと、広がるのだ。
(ギアとはチェーンがかかる前後の歯車つきの皿のようなパーツのこと。この枚数が「○○変速」と表示され、この枚数が軽い力で進む(ゆっくりになる)/力を入れて踏み込む(高速で進む)などの選択肢になる)
[caption id="attachment_33908" align="alignnone" width="640"] スタイリッシュな車体で街乗りにも、フィットネスにも、ロングライドにも。スポーツバイクの中で、エントリー層にも乗りやすい「クロスバイク」でも「できること」の幅は広い。画像提供 :サイクルヨーロッパジャパン[/caption]
[caption id="attachment_33909" align="alignnone" width="640"] 2020 Csport1 C1イタリアンブランド「ビアンキ」のクロスバイク。街乗りに映えるおしゃれなルックスながらトップレーサーも使用するレースバイクのブランドでもある。この車体の色「チェレステ」がトレードマークであり、世界中に愛好者がいる人気ブランドだ。【参考画像】2020 C・Sport 1 Bianchi 59,800円(税抜) 24段変速 4サイズ展開 画像提供:サイクルヨーロッパジャパン[/caption]
性能だけでなく、ルックスも重視した自転車が多く、海外ブランドも人気が高い。所有欲や気に入った1台と共に走る喜びという要素も大きいように感じる。
良いこと尽くめに見えるスポーツバイクだが、実際の生活で使うとなると、ためらう人も多いようだ。性能が良い分、価格帯もやや高く、当然、駐輪時には盗難の不安もつきまとう。繊細な車体であるため、室内保管が原則となる。通常カゴやスタンド、泥除けなどがついておらず、日常生活の中の道具として使用するには不具合が生じることもあるだろう。後づけも可能だが、そこに追加費用が掛かってしまう。
移動時間をフィットネスやトレーニングに充てる場合、走行の爽快さを味わいたい場合は、スポーツバイクを普段使いにも趣味のライドにも使う。道具として気兼ねなく使うならば、現実的に活用しやすく、値段も安く、かつクロスバイクに近いスポーティーさも合わせ持つシティサイクルを選ぶというケースが多いようだ。
『自転車選びが自転車生活成功のカギ』
「実際、シティサイクルからスポーツバイクにステップアップされる方は多いんです。でも、シティサイクルは日常生活の中で継続して使えるので、無駄にはならないんですよね」。自転車の使い方をマスターすれば、今度は使い分けて、楽しめるようにもなるということか。その頃には身体も変わっているのだろう。そう考えると、自転車生活のスタートがますます楽しみになってきた。
日常では比較的、近距離の買い物などの使用に限られるならば、U字ハンドルの軽快車、移動距離が増えるなら、シティサイクル、楽しみとして乗ることやルックスへのこだわりも考えたいならスポーツバイク、と、選び分けることになるだろうか。
近年は走行性能も高いママチャリも増えてきて、『近所使い』だけの存在ではなくなっている。キャリアがつき、またぎやすいけれども、そこそこの距離をも走れるシティサイクル。実用にも使えるかごや泥よけつきのスポーツバイクなど、ジャンル通りの設計ではなく、ニーズに応えた自転車が登場している。
[caption id="attachment_33910" align="alignnone" width="640"] シティサイクルであれど、泥除けやキャリアがついた自転車。ニーズに合わせて自転車も変わっている。 参考 THIS IS PL276HD サイクルスポット オリジナル 27インチ 適応身長145cm〜 外装6段、後輪にはローラーブレーキを使用 29,980円(税抜)[/caption]
[caption id="attachment_33911" align="alignnone" width="640"] 少しスマートな印象の軽快車。参考 アプロード276HD サイクルスポット オリジナル カゴが大きく使いやすい 27インチ、適応身長 身長150cm〜 外装6段、27,980円(税抜)[/caption]
自転車のイメージがついてきただろうか?
自分に合った自転車を選び取り、巧く活用できたならば、生活は一層、快適になるだろう。
次回は具体的な車種に触れながら、さらに踏み込んで、自転車選びについてお伝えしていきたい。
取材協力:サイクルスポット 武蔵小杉店
川崎市中原区小杉町3-29-14
電話:044-299-8468
画像:編集部
画像協力:ブリヂストンサイクル株式会社 株式会社ホダカ 株式会社サイクルスポット サイクルヨーロッパジャパン株式会社(P-Navi編集部)