益田の星の食材と観光地を巡るサイクリングツアー(前編)

2019/11/18(月) 22:30

益田の星の食材と観光地を巡るサイクリングツアー(前編)

【今年行われたサイクルイベントをご紹介します!】

島根県益田市「益田の星の食材と観光地を巡るサイクリングツアー」が3月30日、31日に開催された。これは一般社団法人・自転車協会が東日本大震災の復興支援事業として立ち上げたCycle Aid Japanというプロジェクトの一環であり、自転車活用に意欲的な益田市との共催で、多くの著名人も招待されたツアーである。

益田市は萩・石見空港をスタートして、100㎞も信号機がないまま市内を一周できる「100ZERO」と名付けられた環境を売りにしている。空港にはサイクルステーションが設置され、市内にもご縁サイクルステーションを設けるなど、サイクリストが快適に走るための環境整備を進められている。

[caption id="attachment_31476" align="alignnone" width="640"] 出発式にはジャージ姿の山本市長も参加[/caption]

空港到着後、一同はサイクルステーションでCycle Aid Japanジャージに速やかに着替え、山本市長が歓迎の挨拶をする出発式に参加。そして、さっそくバイクにまたがり、サイクリングに出発した。

バイクを走らせてほどなくすると海が見えてくる。最初の立ち寄りスポットは、海沿いのフレンチレストラン「ボンヌママンノブ」だ。ここは、豪華寝台特急「トライライトエクスプレス瑞風」の料理の監修も務める上田幸治シェフが経営する海の見えるレストラン。海を背に立つ真っ白な壁と真っ青な屋根の建物は、プロヴァンスなどヨーロッパを彷彿とさせる。空港からわずか5㎞で、別世界のような美しさだ。

[caption id="attachment_31477" align="alignnone" width="640"] 海の見えるレストランで優雅にランチ[/caption]

[caption id="attachment_31478" align="alignnone" width="640"] 野菜たっぷりの魚のソテー[/caption]

[caption id="attachment_31479" align="alignnone" width="640"] 分厚い鴨のローストと新鮮な地元野菜[/caption]

一同は地元の野菜を巧みに盛り込んだコースメニューを堪能した。メインとなる魚のソテーや合鴨のローストだけでなく、その下に敷かれたたっぷりの野菜も格別だ。それぞれの素材を引き出す調理と調味がほどこされており、1つ1つを味わう楽しさがある。外側がカリッと焼かれ、中はふわふわだったアツアツのパン、デザートのクリームブリュレも絶品。魚か肉どちらか一品を選ぶランチなら、これが1,620円で味わえる。毎日でも通いたいと一同が絶賛した味だった。

[caption id="attachment_31480" align="alignnone" width="640"] 最後まで手を振り見送ってくれたボンヌママンノブのみなさん。このテラスからの眺望もすばらしかった[/caption]

開始早々、予想をはるかに上回るクオリティーのランチに出合い、これからの行程にも期待を高める参加者たち。もちろん、その期待が裏切られることはなかった。

[caption id="attachment_31481" align="alignnone" width="640"] 歴史ある小学校に感動。道中気になるスポットに立ち寄りながらライドを楽しんだ[/caption]

日本海とは思えないほど、南国のような雰囲気が漂う穏やかな海を見ながら向かった先は、宮ケ島衣毘須(えびす)神社。「山陰のモンサンミッシェル」とも呼ばれる名所だ。満潮時には砂浜の参道が海に沈んで渡れなくなり、神社が位置する岩山が海に浮くように見えるのだ。ツアーの来訪が防災無線で知らされていたそうで、この神社前には多くの市民が歓待に駆けつけていた。

[caption id="attachment_31482" align="alignnone" width="640"] 歓待のため待ち受けてくれていた皆さんに、一同感動![/caption]

歓待への感謝を述べ、交流をして、記念撮影をする参加者たち。地元ガイドに神社の歴史の説明を伺い、いよいよ衣毘須神社へと歩を進める。鳥居や灯篭にも歴史があり、灯篭が建立されたのは、なんと100年前! この100年間、ここでどんな変化を見届けてきたのだろうかと感慨にふける。一風変わった賽銭箱に賽銭を入れ、旅の無事を祈念した。

[caption id="attachment_31483" align="alignnone" width="640"] 山陰のモンサンミッシェル」衣毘須神社。満潮時は海に浮かぶ島となる[/caption]

[caption id="attachment_31484" align="alignnone" width="480"] 100年前に作られたという灯籠。ここからどんな景色を見ていたのだろう?[/caption]

[caption id="attachment_31485" align="alignnone" width="480"] 衣毘須神社にお参り[/caption]

[caption id="attachment_31486" align="alignnone" width="640"] 衣毘須神社をバックに記念撮影![/caption]

海辺から離れ、内陸の道を行く。交通量も少なく、ドライバーも敬意を払ってくれるため、とても走りやすい。

[caption id="attachment_31487" align="alignnone" width="404"] 「秘境駅シリーズでよくあるポーズ」を披露してくれる団長・安田さん。これ、確かに見たことある![/caption]

[caption id="attachment_31488" align="alignnone" width="640"] のどかな道を行く[/caption]

高津川沿いの道へ入り、川や桜を愛でながら、ゆるゆると自転車を走らせる。自転車に乗る最高の季節だ。

[caption id="attachment_31489" align="alignnone" width="640"] 川沿いの道をのんびりサイクリング[/caption]

[caption id="attachment_31490" align="alignnone" width="640"] 山本市長もライドに参加[/caption]

益田の中心街も近くなったころ、真っ赤な橋が見えてきた。飯田橋だ。路面はグレーチングになっており、高津川の美しい流れが橋の上からも一望できる。この上を走るのは冒険のようで楽しいが、下が透けているため、高所恐怖症の方は足がすくむような経験になるかもしれない。

[caption id="attachment_31491" align="alignnone" width="640"] 赤が映える深紅の飯田橋[/caption]

[caption id="attachment_31492" align="alignnone" width="640"] 趣味のカメラを楽しむ石井さん[/caption]

この橋のフェンスの一部はハートマークになっている。ここに二人で鍵をかけると結ばれると言われており、多くのカップルが訪れるのだとか。参加者もここで記念撮影。よいご縁があるだろうか。橋の幅が狭いため、車はすれ違うことができず、両端から車が進入する際には、反対側の様子をしっかり確認し、そろそろと橋に入ってくる。この“あうん”の譲り合いの呼吸がすばらしく、益田市民のマナーのよさが垣間みられた。

ほどなく一行は益田の中心街へ到着。防災無線で来訪を知っていた方が多いこともあり、突如なだれ込んだ自転車の集団と、テレビでよく見る有名人の姿を見て、沿道からは歓声が上がる。石井さん、ステテコさん、団長さんは笑顔で声援に応えていた。

この日の夕食は「日本一の居酒屋」とも言われる「田吾作」へ。居酒屋のランク付けで、日本一の称号を得たのだという。市長によれば、要人の接待にもよく使われる店で、AKB48のメンバーのために、貸し切りにしたこともあるのだという!

[caption id="attachment_31493" align="alignnone" width="640"] 田吾作にて楽しいひと時を過ごす[/caption]

一番の目玉は、生きているイカをさばいたイカの刺身。透明で、歯ごたえはコリコリし、噛み締めるとなんとも言えない甘さが口の中に広がる。塩気があるため、何も付けない方が、味わいをしっかりと感じられるようだ。刺身の盛り合わせも、新鮮でプリプリした食感が味わえる。

[caption id="attachment_31494" align="alignnone" width="640"] 透き通ったイカのおつくり。吸盤が口の中に張り付くとか![/caption]

[caption id="attachment_31495" align="alignnone" width="640"] カリッと揚がったカレイの唐揚げ[/caption]

手作りの豆腐、子持ちガレイの唐揚げ、素朴だが味のしっかり染みた煮しめ、たけのこごはん。さらに益田には銘酒も多く、市長が次々と味わいの異なる美酒を紹介してくれる。一同は楽しい話と、おいしい食事、お酒に酔いしれたのだった。

[caption id="attachment_31496" align="alignnone" width="319"] 桜とともに。ステテコさんのベストショット!?[/caption]

食後は益田名物の神楽見物へ。この日は益田駅ビルで上演されていた「石見の神楽」を鑑賞した。お囃子の調べに乗って舞う「神楽」は、平安時代から神に奉納するものとして奏されてきた歌舞。現在は様々な土地で娯楽性を高めた神楽が楽しまれている。この日の演目はもっとも人気のあるスタンダードな演目である「大蛇(おろち)」。須佐之男命(すさのおのみこと)が、娘を奪っていく大蛇に酒を飲ませ、酔ったところで大蛇退治をするというストーリーだ。会場には地元の家族連れが多く集い、夕食後の娯楽として定着しているようだった。一同は、お囃子の調べに乗せて、とぐろを巻いたり、大きく伸びたりして形を変える大蛇と須佐之男命の戦いの舞を堪能した。

[caption id="attachment_31497" align="alignnone" width="640"] 迫力満点の神楽を堪能[/caption]

[caption id="attachment_31498" align="alignnone" width="480"] 装束を着てアクションする団長・安田さん。サマになってる![/caption]

[caption id="attachment_31499" align="alignnone" width="640"] 大蛇とともに[/caption]

上演終了後には参加者一同が大蛇と記念撮影。団長・安田さんは石見神楽の装束を借り、決めポーズ。ここでもファンからの握手、写真攻めにあっていた。

この日の宿泊先は正式オープンを間近に控えた「ホテルMASCOS(マスコス)」。益田駅前から歩いてすぐという好立地にあり、サイクリストを歓迎してくれるホテルだ。このツアーのために、オープン前にもかかわらず特別に一行を受け入れてくれた。

[caption id="attachment_31500" align="alignnone" width="480"] 自転車とともに乗るためのエレベーターも[/caption]

[caption id="attachment_31501" align="alignnone" width="640"] エレベーターを降りても、おしゃれな空間が[/caption]

自転車を部屋に持ち込みOK! 室内にフックが設置されており、そこにフレームをかけられるようになっている。デザイナーであるオーナーが手がけただけのことはあり、エントランスは開放感でいっぱい。エレベーターホールにもセンスあるディスプレイが施されており、デザイナーズホテルといったところ。内装はモダンで、白やベージュを基調にまとめられており、調度品のひとつひとつも使い勝手、センスともによい。おシャレな上に、くつろげる空間にも仕上がっている。こんなおシャレな空間に、自転車とともに宿泊できるとは! 価格も1泊7,800円からとリーズナブルだ。部屋にもバスタブはあるのだが、2階の天然温泉「益田温泉」でリラックスするのがオススメ。照明がうまく使われた心地よい空間の中で、ゆったりできる浴槽に加え、ヒノキ板が敷かれたくつろぎスペースも用意され、身も心も安らぐことができる。

一同は大満足の一日を終え、翌日のライドに備えて、眠りについたのだった。

後編に続く……!(P-Navi編集部)

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