2020/02/17(月) 12:47
湘南シクロクロス第2戦が1月13日、神奈川県の開成町にある開成水辺スポーツ公園を舞台に開催された。
湘南シクロクロスは、3つの会場を使い、10月の第1戦に始まり、3月までに開催される4戦で構成されるシリーズ戦で、今回はその第2戦となる。会場となった開成水辺スポーツ公園は、酒匂川のほとりに位置し、野球、ソフトボール、サッカー、パークゴルフが楽しめる大型のスポーツ公園。この会場は、第4戦でも使用される。高速道路からのアクセスにも優れており、多くの参加者、観戦客が集まり、会場は終日にぎわいを見せた。
[caption id="attachment_31314" align="alignnone" width="640"] 好天に恵まれ、会場には春の兆しも[/caption]
今回会場内には、公園内の複数の競技のフィールドをつなぐスペースを巧みに活用し、2.5kmの特設コースが設営された。スタート後、土手の階段を半分上り、傾斜部分をキャンバーコースとして使用し、通常はピクニック広場として開放される芝エリアにコースロープを張りめぐらせ、緩やかなアップダウンも活かしながらターンが多発する、まるで迷路のような難度の高いエリアとなった。
[caption id="attachment_31315" align="alignnone" width="640"] 上り階段からキャンバーへ。周回を重ねると足にくる[/caption]
[caption id="attachment_31316" align="alignnone" width="640"] キャンバー区間には階段を横に通過するポイントも設定された[/caption]
[caption id="attachment_31317" align="alignnone" width="640"] コーステープが張り巡らされた西側エリア。迷路のようにコースが入り組み、ターンが連続する[/caption]
[caption id="attachment_31318" align="alignnone" width="640"] 集中を必要とし、スピードアップできない複数のターンが選手たちを悩ませる[/caption]
ここからサッカーコートの横を川沿いに直進し、ソフトボール場、野球場をめぐり、メイン会場へ戻る。この中にシケイン、ピットも設営されている。息を呑むような大型の障害物はないものの、細かいターンが続く中で、いかにスピードを殺さず進み、直進エリアではいかにスピードに乗せられるかというところで、差が開いてくる。
[caption id="attachment_31319" align="alignnone" width="640"] 山と川との、のどかな風景が広がる。選手たちは景観を楽しむ余裕なく全力でスピードに乗せる区間[/caption]
[caption id="attachment_31320" align="alignnone" width="640"] スピードが変化する箇所では選手間の接触も起こりやすい[/caption]
会場には自転車関連の出店のほか、アパレル小物やフードブースが並んだ。大阪のサイクリストが集う人気カフェからのキッチンカーも登場、会場の雰囲気を盛り上げる。
[caption id="attachment_31321" align="alignnone" width="640"] 自転車関連のブースが並ぶ。アパレル小物を扱うショップも[/caption]
[caption id="attachment_31322" align="alignnone" width="640"] 揚げたてアツアツをたべさせてくれる揚げパンカーも。マシュマロ入りが人気![/caption]
[caption id="attachment_31323" align="alignnone" width="640"] ランチにカフェに人気のキッチンカー。おやつにぴったりなアメリカンなビッグクッキーはいかが?[/caption]
レースは、朝のキッズカテゴリーから始まった。キッズはキャンバー部分を割愛し、サッカー場脇の通路を直進するショートコースで競われる15分のレース。ショートコースとはいえ、テクニカルなターンが多く含まれるコースとなるが、ゴールを目指し、大人顔負けの気迫で懸命に走る姿に拍手が送られた。
[caption id="attachment_31324" align="alignnone" width="640"] 気迫あふれるキッズのスタート。すでにシクロクロスバイクに乗っている子供がいることにも驚かされる[/caption]
[caption id="attachment_31325" align="alignnone" width="640"] 子供にとっては大きな障害物となるシケイン。自転車を降り、抱えて懸命にクリア[/caption]
15歳、17歳以下、ビギナーのカテゴリーが開催され、会場が沸くのがマスターズ(CM)。今季は、1979年生まれ以前の方がエントリーできるカテゴリーだ。過去には、日本代表選手として欧州のトップレースや世界選手権に参戦していた池本真也(和光電機-BIORACER)のような元選手も参加可能であり、熟練者たちの熾烈な戦いが展開されるのだ。見守る観客たちの応援にも熱が入る。レースを終えたあとの達成感あふれる表情や、互いの健闘を讃え合う姿が清々しい。
[caption id="attachment_31326" align="alignnone" width="640"] 選手との距離が近いシクロクロス。声援は選手に届く[/caption]
[caption id="attachment_31327" align="alignnone" width="640"] CM1(マスターズ最上位カテゴリー)のゴール後の記念撮影。レースを楽しむベテラン達の達成感あふれる笑顔はいつも魅力的だ[/caption]
[caption id="attachment_31328" align="alignnone" width="640"] ゴール後、健闘をたたえ合う[/caption]
[caption id="attachment_31329" align="alignnone" width="640"] 声援を送る観客たち。前後の選手とのタイム差などの情報を伝え、サポートする姿も[/caption]
少数精鋭の戦いとなった女子カテゴリー(CL1~3)。観客との距離が近い競技とあり、参加者たちの様子は間近で確認できるのだが、どの選手も思わず苦しくなるくらい荒い息遣いを響かせながら、走り抜けて行く。ターンが続くエリアは集中力を使い、直進部分は全力で駆け抜ける。まったく休める場所がなく、女性たちにとっては、限界の強度で走ることになるコースなのだと改めて気付かされた。
[caption id="attachment_31330" align="alignnone" width="640"] 階段の上を走るエリアは視覚的に恐怖感もあり、苦戦する参加者も[/caption]
[caption id="attachment_31331" align="alignnone" width="640"] バランス感覚が必要なキャンバーを安定した走りで抜ける L2+3の覇者・太田まどか(TEAM轍屋)[/caption]
[caption id="attachment_31332" align="alignnone" width="640"] 荒い息を吐き、全力で走り抜ける小田恵利花(A-Pad CX GIRLS TEAM)。CL1で優勝を遂げた[/caption]
シクロクロスは競技時間が決められていて、スタート後にラップタイムを見て、レースの周回が告げられる。この日女子の最上位カテゴリーCL1は40分間で5周、CL2、3は30分間で3周走るレースとなった。上位数名をのぞき、CL2、3のレースでは、多くの選手がコース1周に10分程度の時間をかけて走った。もちろん1周でもかなりの強度になるコースだが、それぞれのレベルに近いところで、レースに参加できるため、挑戦しやすくなっている。
最後に開催されたのは、最高難度のカテゴリー1。ここのみ、60分のレースとなる。元シマノレーシングの選手としてロードレースを走り、引退後はシマノに勤務しながらオフロードのレースを走る島田真琴(ペダル)が最有力候補だ。ここに今回唯一のプロ選手となる畑中勇介(チーム右京)のほか、向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)など、シクロクロスチームからも数名がエントリー。
[caption id="attachment_31341" align="alignnone" width="640"] スタートが非常に重要なシクロクロス。号砲と同時に向山が全力で飛び出した[/caption]
スタートの号砲とともに、約30名の参加者が飛び出した。向山、舟山祥弘(A-Pad CYCLING TEAM)、島田の3名が先行する。
ほどなく集団はバラけ、オフロードのテクニックに優れ、ロードレースの脚と勘も持ち合わせる島田が単独で抜け出し、これを向山が追い、青木誠(AX cyclocross team)、畑中らがあとに続いた。これまでのカテゴリーと比べると、ペースがかなり速い。レースは9周回で競われることとなった。
[caption id="attachment_31334" align="alignnone" width="640"] 向山を先頭にシケイン(障害物)を越える[/caption]
[caption id="attachment_31335" align="alignnone" width="640"] キャンバー区間の終わりにはテクニカルな下りが。巧みにクリアする島田[/caption]
周回を経ても先頭を独走する島田のペースは衰えず、淡々と最後尾の選手たちをラップしていく。向山が島田を追うが、差を縮めることはできない。
[caption id="attachment_31336" align="alignnone" width="640"] ターンをこなすテクニックだけでなく、スピードにも長けていた島田[/caption]
[caption id="attachment_31337" align="alignnone" width="640"] 直進エリアではロードで鍛えたスピードで追い上げたが、オフロードのターンに苦しみ、差を詰められなかった畑中[/caption]
[caption id="attachment_31338" align="alignnone" width="640"] 安定した走りで3位を守った向山[/caption]
畑中が青木をかわし、向山も捕え、2位まで順位を上げるが、これ以上のペースアップは厳しく、島田に迫ることはできなかった。島田は勝利を確信し、38秒のギャップをキープしたまま、悠々と一人でフィニッシュラインを越えた。
[caption id="attachment_31339" align="alignnone" width="640"] 文句なしの走りで優勝を決めた島田真琴(ペダル)[/caption]
[caption id="attachment_31340" align="alignnone" width="364"] 島田、畑中、向山が並ぶ夕陽の中の表彰台[/caption]
今大会のエントリーは311名。最年少は6歳、最高齢は61歳という、まさに3世代で楽しめる大会となった。ごく普通の公園がレースサーキットとなる参加型シクロクロス。湘南シクロクロスは、2月2日に第3戦が中井中央公園で、3月1日に再びこの開成水辺スポーツ公園にて最終戦となる第4戦の開催が予定されている。最終戦はグループで参加し、交代しながら走ることもできるエンデューロも予定されている。今季の開催も残りわずか。観戦、参加を検討してみてはいかがだろうか。
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写真提供:湘南シクロクロス実行委員会(K.Kazuma)/編集部(P-Navi編集部)