2019/12/22(日) 16:03
【2019年も全国各地で熱戦が開催されたロードレース。その大会の模様を回顧します】
ツアー・オブ・ジャパン第4ステージは、岐阜県美濃市で開催。この土地の代表的な観光スポットの1つ、歴史ある商家が軒を連ねる『うだつの上がる町並み』から、パレードがスタートする。
美濃のコースは平坦基調であり、スプリンターたちが活躍できるステージだ。迫力あるゴールスプリントが予想される。コースは、8つのステージ内で最長の139.4km。長良川沿いの21.3kmのサーキットを、6周回する設定だ。
各リーダージャージには、前日のいなべステージで変動があり、いなべを制したベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・サンティック)がグリーンジャージを着用。山岳賞は、フィリッポ・ザッカンティ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)がキープしたが、ポイント賞は、窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)に渡り、新人賞はアダム・トーパリック(チーム・ザワーランド・NRW・P/B・SKSジャーマニー)の手中に移った。
[caption id="attachment_31102" align="alignnone" width="640"] 各リーダージャージが「うだつの上がる町並み」に並ぶ[/caption]
[caption id="attachment_31103" align="alignnone" width="640"] パレードがスタート。美濃の子供たちが声援とともに送り出す[/caption]
レースはリアルスタート後、1周目から動き始める。ホアン・ボウ・カンパニー(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、フローリアン・オードリー(インタープロサイクリングアカデミー)、デニス・マリアン・ヴァルカン(ジョッティ・ヴィクトリア・パロマー)の3名の逃げ集団が形成され、タイムギャップを2分以上開き、2周目へと突入する。
[caption id="attachment_31104" align="alignnone" width="640"] リーダージャージを着るベンジャミン・ヒル[/caption]
[caption id="attachment_31105" align="alignnone" width="640"] レース開始後早々に3名の逃げが決まる[/caption]
[caption id="attachment_31106" align="alignnone" width="640"] 園児たちの歓声を受けて走る選手たち[/caption]
レースリーダーとなるヒルを要するリュブリャナ・グスト・サンティックが集団をコントロール。この3名の逃げを容認する形で、タイムギャップを3分程度にキープし、レースは展開していく。
4周目、逃げ集団にメンバーを送り込んでいないチーム右京とチームブリヂストンサイクリングから1人ずつ集団の牽引に参加し、集団のペースアップに協力。逃げる3名とのギャップはジリジリと縮められていく。
[caption id="attachment_31107" align="alignnone" width="640"] チームごとにまとまり、自チームのスプリンターを勝たせるために走る[/caption]
タイムギャップを35秒まで縮め、最終周回へ突入。ラスト15km、集団が逃げる3名を吸収、ゴールを狙うスプリンターを有するチーム間の熾烈な駆け引きが始まった。
全体のペースが上がり、集団はバラバラになり、下り区間で長く伸びる。迎えたラスト1km。長い長いストレートに、大集団がなだれ込んでいく。愛三工業レーシングチームを先頭に、ラスト500mへ突入。イメリオ・チーマ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)、窪木、オールイス・アウラール(マトリックス・パワータグ)、レイモンド・クレダー(チーム右京)が飛び出し、横一線に並ぶ。この激戦のスプリントを制し、両手を挙げたのはクレダーだった。2位に窪木、3位にアウラール。窪木は、今大会2回目の2位をもぎ取っている。
[caption id="attachment_31108" align="alignnone" width="640"] 横一線に並ぶスプリンターたち。ハンドルを投げる[/caption]
[caption id="attachment_31109" align="alignnone" width="640"] 選手たちが「カオス」と表現した大混戦のスプリント。迫力満点の真剣勝負に観客は大いに沸いた[/caption]
リーダージャージは、集団ゴールでタイム差がつかず上位の入れ替えも少なく、逃げ集団にも順位変動を起こすメンバーがいなかったことから、各選手がキープした。グリーンジャージは、1秒差でベンジャミン・ヒルがキープ。赤い山岳賞ジャージは、ザッカンティが第2ステージから着続けている。ポイント賞は2位以下の上位勢が入れ替わっているが、首位の窪木はゴール順位によるポイントでプラスをし、こちらもキープ。新人賞も、トゥーベイが個人総合2位のまま、守っている。
[caption id="attachment_31110" align="alignnone" width="640"] ヒルがグリーンジャージをキープ[/caption]
[caption id="attachment_31111" align="alignnone" width="640"] ザッカンティは京都から赤ジャージを守り続けている[/caption]
[caption id="attachment_31112" align="alignnone" width="640"] 窪木も自ら2位となりポイント賞を守り抜いた[/caption]
[caption id="attachment_31113" align="alignnone" width="640"] 新人賞はトゥーベイが死守。トップまでもわずか1秒差だ[/caption]
優勝したクレダーは、レースの展開もチームの作戦に味方し、描いていた筋書き通りに逃げを吸収できたことが勝因と語り、「チームが自分を良いポジションに置いてくれたため、最後のスプリント勝負で前に出ることができました」と、チームへの感謝をコメントした。
[caption id="attachment_31114" align="alignnone" width="640"] 優勝したクレダーは、チームへの感謝を語った[/caption]
クレダーも「最後の100mはカオスだった」と語ったが、2位の窪木も「最後の局面はストレスが多く、かなり厳しい位置取りだった」と振り返る。「チームメイトが守ってくれたおかげで優勝には届かなかったが、ポイント賞ジャージに価する走りはできた」と語った。
【第4ステージ】
1位 レイモンド・クレダー(チーム右京)3時間14分20秒
2位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)+0秒
3位 オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)
◆個人総合成績(第4ステージ終了時)
1位 ベンジャミン・ヒル(リュブリャナ・グスト・サンティック)9時間17分30秒
2位 エイデン・トゥーペイ(チーム・ブリッジレーン)+1秒
3位 アダム・トーパリック(チーム・ザワーランド・NRW・P/B・SKSジャーマニー)+2秒
◆ポイント賞(第4ステージ終了時)
1位 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)55p
2位 レイモンド・クレダー(チーム右京)47p
3位 オールイス・アルベルト・アウラール(マトリックスパワータグ)42p
◆山岳賞(第4ステージ終了時)
1位 フィリッポ・ザッカンティ(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)16p
2位 ホアン・ポウ・カンパニー(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)10p
3位 アドリアン・ギロネット(インタープロサイクリングアカデミー)7p
◆チーム総合(第4ステージ終了時)
1位 チーム・ブリッジレーン 27時間53分34秒
2位 リュブリャナ・グスト・サンティック+3秒
3位 チーム右京+10秒(P-Navi編集部)