2019/01/08(火) 16:14
今シーズンの開幕を前に、昨シーズン開催された特徴あるイベントを振り返ってみよう。
昨秋の9月2日、万座ハイウェーを舞台に何ともユニークなタイトルのヒルクライム『嬬恋キャベツヒルクライム2018』が開催され、小学生からシニアまで、およそ1,000人の参加者がレースに挑んだ。
この『嬬恋キャベツヒルクライム』の開催は昨年が3回目。過去に別名での開催はあったが、開催地となる嬬恋村の特徴をより色濃く打ち出し、特産の“キャベツ”を冠につけた形で4年前にリニューアルされたのだ。
レースの舞台となるのは美しい万座ハイウェー。この有料の自動車専用道路を1年に1度交通封鎖し、自転車に開放、自転車のヒルクライムレースを行う。よって試走は不可能であり、全ての参加者が平等にこの日の一発勝負のレースとなる。コース内には『嬬恋牧場』や『愛妻の鐘』などの絶景ポイントもあり、ヒルクライムの醍醐味である自分に挑む達成感だけでなく、走ること自体が楽しめるのも人気の秘訣。
小学生から参加可能とあり、記録を狙い込みに来るヒルクライマーだけでなく、親子でのホノボノとした参加もあり、プリンスホテルの共催とあって、ビギナーや女性が旅行がてらチャレンジするケースも多く、まさに“誰でも”参加でき、楽しめる空気が漂っているのがこの大会の特徴だ。
コースはおよそ19.8kmで1,010mほどの標高差を上る。なかなかキツそうな響きだが、平均勾配は約5.1%なのでビギナーでも完走できる勾配だ。「自分へのちょっとしたチャレンジ」という参加者には、6.2kmのショートコースが人気。標高差は350mとあって、例年子供たちも多くエントリーし、チャレンジライドを楽しんでいるようだ。
まずは前日イベントから幕を開けた。ヨーロッパを主戦場に戦うプロコンチネンタルチーム・NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ヨーロッパオヴィーニをスペシャルゲストに迎え、現役選手と共に、元ジロ・デ・イタリア覇者のダミアーノ・クネゴも来場した。この日は専属メカニックが抽選で当選した参加者のバイク洗車を行うショーや選手によるトークショーが開催された。
レース当日の朝は低温と降雨を告げていた天気予報が好転し、気温16℃。酷暑に慣れていた身には堪えるが、最悪の事態は免れた!路面も乾き、参加者のメンタルも軽くなっているのが伝わってくる。名物となった嬬恋村の熊川村長の威勢のよい朝の挨拶を受け、スタートラインへ。
[caption id="attachment_30969" align="alignnone" width="640"] スタート前にウォーミングアップ
サンスポ非公認キャラクターのセ・キノコも現れ、体操に加わった[/caption]
選抜クラスにあたるエキスパートクラスがスタートラインに並ぶ。昨年度より参加者たちの緊張度が高い。気温が上がらない方が好記録も出やすいこともあり、今年は期待できるかも知れない。ゲストライダーからも2名が参加し、スタート。ここからは数分刻みで複数のグループがスタートする。ゲストライダーは3つのグループに分かれて参加者と走ることになった。
[caption id="attachment_30971" align="alignnone" width="640"] NIPPOの選手とスタートする小学生たち
忘れられない思い出になったに違いない[/caption]
通常は自転車が踏み入れることがない万座ハイウェーを走れるという思いと、レースの高揚感と。何とも言えないピリッとした空気が漂う。地元の方々の応援を受け、参加者たちがスタートして行った。
コースは序盤がやや厳しく、7〜10%の「頑張らねばならない」勾配が頻発するため、最初から飛ばしすぎない方がベター。後半で失速する事態になりかねないからだ。辛い区間は特に自分のペースを守るのがベター。少しでもタイムを縮めたい参加者はやや勾配が緩くなった区間でペースを上げていく。本格的なレースモードは、有料道路区間開始のゲートから始まるようだ。
[caption id="attachment_30972" align="alignnone" width="640"] ここから本格的なレースが展開される[/caption]
勾配の度合いは区間ごとに異なるが、視界が開けた場所では圧巻の景観が楽しめる。絶景ポイント『愛妻の鐘』が第2エイドになっていたのだが、この日は残念ながら雲の中……はい、こんな年もあるもの。以降も終盤のペース低下に気をつけながら、参加者たちはゴールを目指す。万座ハイウェーを上るにつれ、下がる気温に標高の高さを実感する。タイミングによって雨に降られてしまった参加者もいたが、多くの参加者が充実した表情でフィニッシュに飛び込んできた。
[caption id="attachment_30973" align="alignnone" width="640"] 1秒でも早く!フィニッシュに向かってラストスパート
リザルトを介し、自分自身に挑めるのがヒルクライムの魅力だ[/caption]
フィニッシュのエイドで振る舞われたのは笹まんじゅうと温かいコーンポタージュ。フィニッシュ地点の気温はかなり低く、ありがたいエイドとなった。
[caption id="attachment_30974" align="alignnone" width="640"] フィニッシュ地点では温かいコーンスープと笹だんごが振る舞われた
カラダの奥底まで染み渡る美味しさ![/caption]
ゴール後の参加者は列に並び、できたグループごとに集団で下山する。20kmの道のりは降ってもそれなりに走り応えのある距離。目指すはスタート会場でのグルメな振る舞いだ!
戻ってきたスタート会場にはズラリと振る舞いが並ぶ。名産のキャベツには各種のソースが用意された。かみ締めると甘さがジンワリ広がる。
「キャベツってこんなに甘かったっけ?」と、思わずにはいられない。
[caption id="attachment_30975" align="alignnone" width="640"] 「キャベツの美味しさを再発見した」という参加者も多数[/caption]
下山で冷え切った参加者の身も心も温めたのは、地元のみなさんが炊いてくれたけんちん汁。汁より具の方が多い贅沢さで、汁には野菜のダシがたっぷり出て味わい深く、感動モノの味だった。
[caption id="attachment_30976" align="alignnone" width="640"] 下山で冷えたカラダをジンワリと温めた野菜たっぷりのけんちん汁
野菜のダシの味わい深さに感動![/caption]
他にもかぼちゃケーキ、ふかしトウモロコシなど、地元のみなさんの愛情が詰まったメニューが並ぶ。ゴール後の参加者は振る舞いを味わいながら、にぎやかにレースを振り返りトークに花を咲かせていた。
今大会でもっとも話題になったのが参加賞。ロングコースの参加者にはキャベツサコッシュが配られたのだ!生地もしっかりしており、リアルなキャベツ柄が大好評。土産でも売って欲しいという人があまりに多く、急遽、残った分の販売を行うことになった。毎年、キャベツにちなんだユニークな参加賞が設定されており、これを楽しみにしている参加者も多いのだ。こんな遊びゴコロがたまらない。ちなみにもう1つの参加賞は嬬恋村のキャベツ! 家に帰ってからも嬬恋村を思い出し、楽しむことができる。
最後は表彰式とジャンケン大会!今大会はレース展開に恵まれ、さらにNIPPOの選手がペースを上げたこともあり、上位入賞者たちが前年までのコースレコードを2分以上更新するという記念すべき大会になった。優勝者のタイムはなんと47分59秒!
[caption id="attachment_30978" align="alignnone" width="640"] 総合の上位者には大会のチャンピオンジャージが贈られた
村長から村の特産品のプレゼントも[/caption]
プレゼンターにはNIPPOの選手たちも登場、世界的に有名なクネゴ氏から賞を受け取るという夢のようなシチュエーションも。ちなみに本国イタリアでは日本でいうプロ野球・長嶋茂雄氏のような存在なのだとか。こんな大会がイタリアで開催されたら、ファンが押し寄せ大パニックになるかもしれない。
[caption id="attachment_30979" align="alignnone" width="640"] NIPPOの選手とのジャンケンに会場が沸いた。直接選手から賞品を受け取れるのも嬉しい[/caption]
ジャンケン大会にもNIPPOの選手が登場し、イタリア人選手たちが普段のレースの表情とは全く違う笑顔でカタコトの日本語を使い「ジャーンケーンポン!」と、掛け声を発する姿が微笑ましく、賞品を勝ち取った人も、負けた人も、一同笑顔の閉幕となった。
万座ハイウェーは元々、人気ドライブルートであり、緑の多い景観も美しく、走ること自体を楽しめる。勾配のゆるい区間もあり、走りやすく、楽しめて、達成感は満点。遊びゴコロ満点の参加賞もあいまって、レースながらも楽しそうな笑顔の参加者が多いのが印象的だった。世界のトップレーサーもゲストライダーとして参加、ペースを作ってくれるおかげで本気のヒルクライマーにも「記録を狙える」と、好評だ。
もちろん、2019年も嬬恋キャベツヒルクライムはもちろん開催予定!毎年、進化し、リピーターも多いこのイベント。脚に自信がある人も、ない人も、今年はチャレンジしてみては?
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とっておきの達成感と楽しい時間を満喫できるに違いない。
*写真提供=嬬恋キャベツヒルクライム実行委員会(P-Navi編集部)