7月21日・22日開催/全日本マウンテンバイク選手権大会レポート

2018/07/25(水) 11:01

7月21日・22日開催/全日本マウンテンバイク選手権大会レポート

7月21日・22日開催/全日本マウンテンバイク選手権大会レポート

7月21、22日に長野県富士見高原で第31回全日本マウンテンバイク選手権大会が開催された。今大会より初開催されたXCE競技とXCO競技についてレポートする。

【マウンテンバイク競技】

全日本マウンテンバイク選手権大会では、約4〜6kmの周回コースを競技時間90分程度で設定された周回数を走るクロスカントリー・オリンピック競技(XCO)と、コース全長が最長5000m以内で競技時間が2〜5分に設定されたコースを下降するダウンヒル・インディビジュアル競技(DHI)が行われているが、今大会より全長500〜1000mの中に自然または人工的な障害物を含むコースを4人1組で競うクロスカントリー・エリミネーター競技(XCE)が開催された。

XCE競技はまだ歴史の浅い競技ではあるが、すでに世界選手権やワールドカップも開催されており、昨年から世界選手権への派遣も行われている。見どころは1ヒートの競技時間が2分以内と短く、様々な障害物をすさまじい勢いで駆け抜けるスピード感が最大の魅力だ。国内でもこの数年で大会が多く開催されるようになり、都心部での開催が可能なため今後人気がさらに高まる競技だろう。一方XCO競技は、1996年のアトランタオリンピックから正式競技として採用され、2020年東京オリンピックでは静岡県修善寺で開催されることが決定している。XCO競技はオリンピック、世界選手権、ワールドカップ、アジア大会など世界各地で開催され、XCE競技を始め、クロスカントリー・マラソン、クロスカントリー・ショートサーキットなど様々な競技形態が派生している。

【XCE競技】

7月21日(土)に開催されたXCE競技では、XCO競技コースの一部が使って行われ、男子20名、女子5名がエントリーした。女子は、決勝ヒートで中島悠里(maillot SY-Nak)が中盤まで先行する川崎路子(PAXPROJECT Ladies)を冷静に抜き去り、そのままゴールラインを駆け抜けた。男子は、決勝ヒートまで一度もトップを譲らずに勝ち上がった澤木紀雄(acu-power Racing Team)が、決勝ヒートでも圧倒的な強さを見せつけて初代全日本チャンピオンを獲得した。2位にはゴール直前で上野悠佑太(TEAM GRM)をかわした中村龍吉(学法石川高等学校)が入った。澤木は昨年の世界選手権に派遣されたが、予選は勝ち残る事が出来たが決勝ヒートで世界との圧倒的な差を見せつけられ、オフシーズンよりXCE競技に特化したトレーニングを続け、その成果を本大会で見せつけた。

結果
男子
1位 澤木紀雄 acu-power Racing Team
2位 中村龍吉 学法石川高等学校
3位 上野悠佑太 TEAM GRM

女子
1位 中島悠里 maillot SY-Nak
2位 川崎路子 PAXPROJECT Ladies
3位 吉岡梨紗 PAXPROJECT Ladies

【XCO競技】

7月22日(日)に開催されたXCO競技では、前日に行われた監督会議においてレース当日に予想される酷暑の対策としてレース周回数(1周回4.53km)の短縮が発表された。通常男子エリートは7周回程度で競われるが4周回に、女子エリートをはじめ、U23、男子マスターなど他各クラスも2〜3周回に変更された。これによってレース展開も大きく変化する可能性が生まれ、さらに周回数短縮となった最大の要因である気温への対策が選手にとって最大の課題となった。

※男子エリート招集前

8時30分より男子チャレンジ、アドバンスクラスが順次スタートしていく。すでにこの時間帯でも気温は高くなりつつあった。また会場となっている富士見パノラマスキー場は、スキー場のゲレンデをコースにしているため登坂セクションが多くさらに選手たちを苦しめていく。10時よりスタートした男子マスタークラスは、男子エリートに次ぐ68名がエントリーして熱いレースが展開された。12時からは女子の各クラスがスタートした。

そして暑さもピークとなった14時30分に71名の男子エリートがスタートした。

※スタート直後の登坂セクションを駆け上る男子エリート

今までのクラスとは圧倒的に違うスピードでゲレンデを登っていく。周回数が短縮された影響でいつも以上に速いペースでレースが進んでいく。2周目に前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)が先頭を切ってレースを展開していく中、ワールドカップを転戦し日本国内のみならずアジア圏内で圧倒的な王者である山本幸平(Dream Seeker Racing Team)が先頭に出ると、2位との差を徐々に広げていき4年連続10度目の優勝を決めた。

※ロックセクションを下り降りる山本幸平選手(Dream Seeker Racing Team)

2位には素晴らしい追い上げを見せた平野星矢(TEAM BRIDGESTONE Cycling)が入り、3位には恩田祐一(MIYATA-MERIDA BIKING TEAM)が入った。

【2020年東京オリンピックにむけて】

東京オリンピックではXCO競技は男子7月27日、女子7月28日に開催され、どちらも14時スタートが予定されている。今回の全日本マウンテンバイク選手権大会のように真夏の過酷なレースをどのように克服するのかが大きな課題となる一方、早朝など涼しい時間帯でのレース開催などの対策や、選手の生命にも関わるレース競技中の熱中症の対応が急務となるだろう。しかし、東京オリンピックを控えXCO競技ではU23やジュニアクラスなど若い選手の成長と活躍が見られ、今後、ワールドカップや世界選手権など世界で活躍する日本人選手の姿が期待される。

結果
男子エリート
1位 山本幸平 Dream Seeker Racing Team  1:01:46.54
2位 平野星矢 TEAM BRIDGESTONE cycling  1:03:19.18
3位 恩田祐一 MIYATA-MERIDA BIKING TEAM  1:04 :07.19

女子エリート
1位 今井美穂 CO2bicycle 58:45.53
2位 小林加奈子 MTBクラブ安曇野 1:03:28.15
3位 橋口陽子 TEAM 轍屋 1:03:59.65

男子U23
1位 平林安里 SPECIALIZED RACING JAPAN  47:10.49
2位 小林勇輝 イナーメ信濃山形 49:20.84
3位 竹内遼  drawer THE RACING 51:15.86

女子U23
1位 山田夕貴 松本大学 42:08.95
2 位 佐藤寿美 drawer THE RACING 42:38.40
3位 矢吹優夏  B・B・Q 43:36.83

男子ジュニア
1位 村上功太朗 松山工業高校 50:16.32
2位 神永真一 ProRide 50:22.52
3位 久保一真 ProRide 50:34.69

女子ジュニア
1位 小林あか里 MTBクラブ安曇野 38:36.21
2位 松本瑠奈 TEAM SCOTT 39:09.94
3位 川口うらら Sonic-Racing/SRAM 39:38.95

男子マスター(総合/※年代別表彰あり)
1位 品川真寛 TEAM YOUCAN 51:14.28
2位 竹谷賢二 Endurelife 51:42.38
3位 斎藤朋寛 RIDELIFE GIANT 52:17.57

女子マスター
1位 水谷有紀子 BUCYO COFFEE/CLT Cycling 47:53.10
2位 綾野桂子 cycle club 3UP 52:28.23
3位 北島優子 Power sports SICK 59:24.49

男子ユース
1位 松本一成 TEAM SCOTT 33:58.71
2位 村上裕二郎 松山工業高校 34:24.82
3位 中島渉 Limited Team 846 / Team 34:34.47

女子ユース
1位 渡部春雅 駒澤大学高等学校 38:01.67
2位 中島瞳 Limited Team 846 / Team 43:13.66
3位 大蔵こころ ポンシャンス・ユース 48:04.71

男子アドバンス
1位 福王寺大樹 たぬき小屋 54:18.61
2位 吉元健太郎 チーム鳴木屋 54:27.71
3位 伊澤優大 岩井商会レーシング 54:50.84

男子チャレンジ
1位 丸山厚 ROND BICYCLE 36:35.35
2位 岩崎基規 cycle club 3up 39:01.91
3位 高木倫太郎 角田浜トレイル 39:23:24.86

女子チャレンジ
1位 箕原由加利 日本ろう自転車競技協会 26:55.91(P-Navi編集部)

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