<地域密着型に進化し多くの観客を魅きつけた>日本を縦断する国際サイクルロードレース「第21回ツアー・オブ・ジャパン」(中編)

2018/06/18(月) 10:01

<地域密着型に進化し多くの観客を魅きつけた>日本を縦断する国際サイクルロードレース「第21回ツアー・オブ・ジャパン」(中編)

地域に密着した第3ステージいなべ、地元の熱い声援をうけて選手も疾走

第3ステージの舞台は三重のいなべ市。最大勾配17%の激坂やテクニックを必要とする下りを含む14.6kmの周回を8周する127kmのレースだ。道幅が狭く、うねる形状のコースは、遠くまで視界も届かず、集団の中の位置取りも重要。緊張感の途切れないサーキットコースだ。獲得標高は1650m。

※「スタート地点にはチームテントが設営され、選手たちがスタートまでの時間を過ごす」

最前列に4賞ジャージが並び、ロードバイクにまたがった県知事、市長とともに先頭に立ち、阿下喜駅前からパレード走行がスタート。

※「三重県知事、いなべ市長もロードバイクでパレードに参加」

リアルスタート後、集団内で接触があり、複数の選手が落車、治療を受け再スタートするという波乱含みの展開に。

まもなく、ダミアン・モニエ(愛三工業レーシングチーム)と小石祐馬(チームUKYO)の2名の逃げが決まる。逃げ集団の人数は少ないが、リーダーを擁するバーレンメリダが、先頭2名と1分前後の差で集団をコントロール。ゴールを狙う動きが生まれ始め、ラスト2周に差し掛かるころ、集団が2名を吸収、そのまま集団はペースアップを繰り返し、選手を絞り込んで行く。

選手たちはコントロールされた集団内で周回を重ね、疲弊していなかったこともあり、40名ほどの集団のまま最終周回へ。最終コーナーを先頭で回ってきたのは昨年のステージ覇者マルコ・カノラとリーダージャージのグレガ・ボーレ。

※「チームの働きを受け、見事勝利を勝ち取ったグレガ・ボーレ」

このステージを完璧にコントロールしたチームメイトに報いるべく、エースの維持を見せ、スプリント勝負に競り勝ち、ステージ優勝をもぎとった。

リーダージャージはグレガ・ボーレが守り、ポイント賞も手中に収めた。山岳賞は逃げ続けた小石祐馬が獲得。新人賞はサム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)

観客動員は過去最高の23000人(主催者発表)。都内でも県主催のパブリックビューイングが開催された。

※「コース内各地にホームチームであるキナンへの応援が」

ホームチームであるキナンサイクリングチームが参加するイベントの開催、ゴール前の急坂を「いなベルグ」と名付け、手前には名物のマネキンのようなかかしがならぶ「かかしコーナー」も設置されるなど、

※「いなべ名物「かかしコーナー」。地元色を打ち出した応援だ」

地域からの愛着が深まり、遊びゴコロや地域色をアピールし、盛り上げようという思いも年々強くなってきているように感じる。

※「会場には多くの観客が詰めかけた。近隣の子供達の応援も」

※地元のゆるキャラも駆けつけた

第四ステージも地域色豊か、前日と一転して雨のステージとなった

第4ステージは岐阜県美濃市。『重要伝統的建造物群保存地区』に指定された「うだつ」が並ぶ伝統的な街並みからパレードがスタートし、21.3kmの周回コースを6周半、139kmで競われる。獲得標高は1218mで、他と比べると登坂が少なく、スプリント勝負に持ち越されることも多く、スプリンターたちに見せ場のあるステージだ。

この日は雨。気温は17度と低く、前日までの暑さとはがらりと変わり、寒さに苦しめられる選手も。スタートラインには忍者も現れ、地域色豊かなスタートとなった。

※「スタートに忍者集結!外国人選手も興味深げ」

※「うだつの並ぶまち並みからパレード走行がスタート」

リアルスタート後、ほどなく決まった5名の逃げ集団には、僅差で山岳賞を競い合う3名が含まれていた。

※「小さな応援団が渾身のエールを送る」

※「軒先からも声援が送られた」

1回目は草場が先頭通過。4周回目に設定された2回目の山岳賞では、バーレーン・メリダがコントロールする後続集団がペースを上げており、逃げ集団から山岳賞争いよりレース展開を重視した2名が先行、2名は6周回目まで逃げ続けた。

※「美濃は雨のレースに。低温が疲労が溜まった選手を苦しめる」

ラスト5km、すべての選手が飲み込まれ、勝敗の行方は大集団でのスプリントへ託される。ラスト1kmの長いストレートは道幅いっぱいに広がった各チームの選手たちの熾烈なスプリント勝負が展開された。

※「雨の中の大集団のスプリント勝負へ」

※「制したミッヘル・ライムが力強く腕を上げる」

これを制したのはミッヘル・ライム(イスラエルサイクリングアカデミー)。迫力あるゴール勝負に雨の中でも駆けつけた観客たちは大いに湧いた。

集団ゴール時には同集団内はタイム差がつかないため、集団でゴールしたグレガ・ボレがリーダージャージを守り、ポイント賞もキープした。山岳賞は草場啓吾が奪回し、新人賞はこの日優勝をもぎ取ったしたミッヘル・ライムへ。

第五ステージの飯田ステージは山岳コース、コースも応援方法も名物が目白押し

レースは折り返しを迎えるが、休養日なく迎える第5ステージ。長野県飯田市の南信州ステージはアップダウンのみで構成される獲得標高2580mの山岳コース。現大会の中でも、飯田は開催年数が長く、「TOJコーナー」と名付けられた鋭角のコーナーは地域でも日常から定着しているし、山岳賞に向かう登坂にチョークでメッセージを描くペイントイベントなどもおなじみ。

※「山岳賞に向かう上りには、チョークで選手への応援メッセージが描かれる」

焼肉のまちと呼ばれる飯田での定番の観戦スタイルは焼肉。有志が運営し、公式マップにも掲載される焼肉スポットの他、

※「飯田名物焼肉コーナー。焼肉と談話を楽しみ、選手が現れたら声援を送る飯田スタイル」

 

地元新聞社による応援旗の配布もあり、地元にはもうしっかりとレースが根付いている。

※「ホームチームのチーム右京テントにはかわいい応援団がエールを送りに訪れた。」

※「市長と地元のサイクリストを先頭にパレード走行」

スタート地点には多くの市民や子供達が詰めかけ、選手たちに声援を送った。

 

※「コース沿いには応援旗を振り、大会Tシャツを来て全力で応援する子供達が」

気温は30度まで上がり、真夏のような暑いレースに。アタックの掛け合いとなり、レースが落ち着かないまま2周回目へ。

※「リーダージャージで走るグレガ・ボレ」

ここで9名の逃げ集団が形成された。後続集団のペースがあがり、9名のうち吸収を嫌う3名が先行、この中から鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)が6周回目の山岳賞を先頭通過後、吸収され、再び大集団に。ダミアン・モニエが単独で抜け出し、タイム差をつけて独走するが、9周目に抜け出したホルヘ・カミロ・カスティブランコ・クビデス(チーム・イルミネート)とトマ・ルバ(キナンサイクリングチーム)は、ダミアンを抜き去り、メイン集団を寄せ付けぬまま勝敗は二人のゴール対決へ。

※力を見せたトマ・ルバ。会心の笑顔でのフィニッシュだ」>先に仕掛けたカスティブランコを抜き去ったトマが南信州ステージを勝ち取った。

トマ・ルバはこの優勝でリーダージャージを獲得。グレガ・ボレはポイント賞を守った。山岳賞は小石祐馬が奪回。新人賞はサム・クローム(ベネロング・スイスウェルネス・サイクリング・チーム)へと移った。

 

https://perfectanavi.com/cycling/13558/(P-Navi編集部)

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