【共同通信社杯競輪】伊藤颯馬が番手戦でシリーズ初勝利「底は脱した感じ」

2025/09/14(日) 19:15

福井競輪の「第41回共同通信社杯競輪(GII)」は14日、3日目を開催。8R特選を走った伊藤颯馬に話を聞いた。

「阿部さんを残せなかったし、1着でしたが課題もあります…」と話した伊藤颯馬

 伊藤は阿部将大の打鐘先行に乗ると直線を猛チャージで突き抜けて快勝。3日目にしてシリーズ初勝利を挙げた。

「阿部さんのおかげです。自分は普段は自力だしまだまだ技量不足。阿部さんを残せなかったし、1着でしたが課題もあります…」と、阿部をかばうことができず、最終3角からゴール前にかけてW審議となった自らのプレーを振り返った。

 言葉通りにいつもの戦法は「自力」だ。前日にこの日のメンバーが発表されるとすぐに阿部のもとへ駆け寄り「自力でやりたいのでお願いします」と申し出たが、阿部も「えっ! いやいや、オレも前でやりたいんだよなあ」と譲らない。さらに伊藤が「だからって分かれるのは嫌だ。一緒に走りたい」と懇願したため話は平行線。

 熟考の末、どちらからともなく「じゃんけんで決めよう」となった。じゃんけんと言っても、別にやりたくないから押し付け合うネガティブなものではなく、どちらも「何としても前で頑張りたい」との思いがぶつかった末の前向きな決断だった。

 結果は並びを見てもわかるように、伊藤が負けて番手回り。不本意ではあったが、決まった以上はしっかり仕事をしようと気持ちを切り替え仕事に没頭した。希望通りとなった阿部は全力駆けで持ち場をまっとうしたが、伊藤は仕事が思う通りに行かず、ワンツーを決められなかったことを悔いた。

 とはいえ、収穫もあった。春先から続いた落車のダメージも癒えて「悪いときに比べたら良くなってきた。底は脱した感じ」と、徐々に調子を戻しつつあるからだ。

 普段と違う経験は、かえって戦法の幅を広げることもある。いつも自力で戦う選手が番手を回った際に「追込選手の気持ちがわかった」との感想をよく聞くが、伊藤にとっても該当する。次に自力で戦うときの糧となるだろう。(netkeirin特派員)

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