2025/09/13(土) 19:34
福井競輪の「第41回共同通信社杯競輪(GII)」が13日に2日目を開催。5R特一般を走った郡司浩平に話を聞いた。
初日予選で敗退し、痛恨の敗者戦回りなった郡司浩平が意地をかけたレースで魅せた。前受けからの突っ張り先行で別線を封じると、佐々木龍に交されたものの2着に逃げ残り、3番手の内藤宣彦とともにラインで確定板を独占した。
内容としては申し分なかったが、道中でひとつの引っ掛かりがあったという。それは別線の自力型、栗山和樹の動きだった。ここは郡司ラインが前受け、栗山が中団、上田尭弥が後ろ攻めで周回。郡司は赤板で上田を突っ張りそのまま主導権を握ったが、そのあと栗山が仕掛けてこなかった点に疑問を抱いた。「栗山君が叩きにくると思ったけど来なかった。自分としてはラッキーでしたけど」と振り返った。
つまり、郡司が上田を突っ張ったあと、挑戦者である立場の栗山に叩きに来てほしかったのだ。だが、突っ張ったラインの後ろという絶好の位置に入った栗山は構えたままだった。そうなれば、格上の郡司とすれば先行してしまえばいいだけで、案の定、自分のピッチに持ち込んだ。
そんな思いもありレース後、思わず栗山に声を掛けた。「上で戦うにはあそこで叩きにこなきゃ、と伝えました。中団で構えたくなる気持ちもわかりますけどね、そこは…。他地区の選手にこういうことはあまり言わないけど、今回は気になったんです」と異例のアドバイスだった。
一見すれば「敵に塩を送る」ような行為とも言えるが、郡司の思いはもっと高いところにある。地区や対戦相手といった垣根を越え、未来を背負う若手がもっともっと出現してほしいとの大局的な考えがあった。
「あとは志智(俊夫)さんに詳しく聞いて、と言いました」と、照れくさそうに付け加えたが他地区の後輩に惜しげもなく金言を送るその姿に、トップ選手としての責任とプライド、そして人間の豊かさを見た。(netkeirin特派員)