2019/02/13(水) 16:13
カピオラニ公園から北上し、100マイルを走るホノルルセンチュリーライド、ノースショアを100km走るハレイワメトリクスと、サイクリングイベントも盛んなハワイのオアフ島。近年は複数のポート間で、規定時間内に自転車の貸し借りを行うシェアサイクルがワイキキに導入されたことで利用客が激増。自転車による観光がブームのように盛り上がり始めているのだ。
まず、オアフ島に自転車観光の動きが出たのは、ワイキキから40km程、離れたカイルアという町だった。
ここでレンタサイクルがブームになり、まずカイルアにシェアサイクルが設置されていた。
(ポートは増えなかったが。現在は管理サイトもクローズしている模様)このシェアサイクルは、ハワイの保健省が管轄していたのも、ちょっと面白いところだ。
ラニカイジュースやサンドイッチをテイクアウトし、レンタルした色とりどりの自転車のカゴに入れて、アメリカで最も美しいとされているラニカイビーチへ向かい、そこでユックリとブランチを楽しむ!というのが、鉄板の楽しみ方とされている。
[caption id="attachment_31418" align="alignnone" width="640"] 『天国の海』とも呼ばれる白砂が広がるラニカイビーチ[/caption]
確かに小さな町であり自転車があれば、悠々と巡ることが可能。とは言え、ビーチまで歩く距離があるので厳しく、色々な意味で、自転車で動き回るのにピッタリという条件が合った。ネオンカラーの自転車に乗る姿もまた白砂の景観に映え、なんともオシャレで、純粋に乗ってみたいという思いを掻き立てられた部分もあったろうし、自転車の目線で町を見る魅力にみんなが気づいたというところなのだろう。
そして、3年程前、ついにワイキキでも“Biki”と、名付けられたシェアサイクルが始まった。
レンタルポートは毎年、グングン増えて行き、今はビーチ付近だけでなく、半径5〜6kmくらいのエリアにポートが設置されており、その数は130に達した。かなりの密度で設置されており、今は観光客が頻繁に訪れるスポットはほぼ網羅されているように感じる。
レンタル料は30分3.5ドル(超過分も30分ごとに3.5ドルを支払う)の「シングルライド」として乗る度に支払う。もしくは先に20ドルを支払い、回数を分け、何回かに渡って計300分使用できる「フリースピリットパス」のどちらかを選び、クレジットカードで決済する。決済後、発行される5桁のコードを使用したいバイクに打ち込むとロックが解除され、使用可能になるという訳だ。アプリをダウンロードするとBikiのポートの位置や空き状況も確認可能。返却時は行き先の空いている駐輪スペースにバイクを押し込むだけと、非常に簡単だ。
[caption id="attachment_31424" align="alignnone" width="640"] 貸し出す自転車は三段変速[/caption]
見る限り、国籍を問わず、多くの観光客が時間を問わず使用している。バスやトロリーを使うのは、ダイヤを調べたり、待ち時間があったりと、面倒も生じる。かと言って、レンタカーを使うとなると、料金も駐車場代も高く、気楽に5km圏内の移動に使おうという環境ではない。
一方、自転車ならば、自分たちのタイミングで移動可能。シェアサイクルは移動の度にポートへ返却するため、駐輪場の確保や盗難の心配もない。しかも移動中も観光を楽しめるというメリットも魅力的だ。
[caption id="attachment_31425" align="alignnone" width="640"] 街中でbikiを利用する観光客の姿を見掛ける[/caption]
シェアサイクルの登場により、これまではワイキキだけで食事や買い物を済ませていた観光客たちが足を伸ばして出かけることもできるようになってきた。ワイキキは物価が高いが、中心街を少し離れたら、食事の値段も格段に下がる。ダイアモンドヘッドやハワイ大学、アラモアナやダウンタウンなど、歩くには遠かったエリアもBikiを使えば、ごく簡単にアクセスできる。この動きを受けてなのか、数km圏内に個性を打ち出したオシャレなカフェスペースも確実に増えてきているように感じる。
ハワイらしい鮮やかな水色の車体は街を走っていてもよく映え、景観を害することもない。今年は全台が出払ってしまうポートもあるくらいに稼働しており、車体管理車が自転車の調整に動き回っているようだった。
この流れを受けてか、地元の方の自転車利用も、観光客向けのレンタサイクルも増え、街中で自転車を見る機会がとても増えた。
[caption id="attachment_31428" align="alignnone" width="640"] e-bikeを使ったサイクリングツアーも開催されている[/caption]
ただ、ハワイでは厳しく禁止されてきたはずの歩道を走る自転車が増えてしまい、不意に後方から自転車が迫ってくることもあり得るので、安心して歩道を歩けなくなってしまったという弊害もある。
逆走の自転車まで遭遇したが、見る限りは右側通行の国の方々であり、自国では歩道走行しているということもないだろう。恐らくは日常的に乗っていない方がハワイで自転車に乗り、みんながなんとなく歩道を走り始めたものと思われるが、にわかに登場したエリアでのルール周知の難しさも同時に悟らされることになった。これは今後の課題だろう。
路面のヒビ割れがひどく、自転車の転倒も少なくなかったノースショア。同じく路面が荒れ、パンクするケースもあったフリーウェイ上のバイクレーンなども再舗装が進み、ストレスなしに走れるようになった。近年、オアフ島のサイクリング環境は劇的に向上している。
何しろ景色は最高!ロングライドしても爽快で、多くの立ち寄りポイントを巡り、ユックリと自転車で散策しても楽しいだろう。自転車を走らせることでお腹も減るから、ハワイのグルメもさらに美味しく感じられるようになる。今後、もっともっとハワイで自転車が盛んになり、自転車観光の環境が整えられることを期待したい。(P-Navi編集部)