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中野浩一が選ぶ「時空を超えたオールスター競輪9人」

2021/08/07 (土) 18:35 0 24

 もし、中野浩一がオールスター競輪9人を選んだら!?

2021年のオールスター競輪も直前ということで、中野浩一氏に上記のテーマで話を聞いた。投票1位回数歴代最多の男はどんな「ベスト9」を選んだのかーー。
(取材・構成 netkeirin編集部 神島由圭)

オールスター競輪について熱く語る中野浩一氏

ーー五輪も近くお忙しく過ごされていると思いますが。

 最近、イタリアの取材で「自身のことをレジェンドだと思いますか?」と聞かれてさ。
「最近は自分で言うようにしてる」って答えたよ。わざとね。It’sジョーク!

ーー(笑)。オールスター競輪の9人選んでいただいたと思いますが、決めるのは難しかったですか?

 どの軸にしようか色々と考えたよ。
 先輩方には失礼だけれど、今回は俺が現役の時以降に出た選手ということで限定させてもらいました。高倉登さんが強かった。福島正幸さんが…という話になると誰もわからないじゃない? 俺の世代以降にした方がわかりやすいと思う。

 実際のところそれぞれの時代での「ベスト9」があり、戦い方も変わってきている中で全部の時代をひっくるめた9人というのは難しいよね。

ーー中野さんは11年間連続ファン投票1位でしたが。

 世界選手権と時期が大体かぶってるからね。最初に出た時(1976年)は4位だったんだよ。何年か後に2年連続(1979・80年)2位があって、その時は藤巻昇さんが1位だったな。それ以降は辞めるまで1位だった(1981〜91年)。

ーー通算だと13回1位。凄すぎます(笑)。

 俺が辞めたあとは吉岡(稔真)が連続して1位で、(自分の現役時から)ずっと滝澤(正光)が2位か3位。

ーー滝澤さんにとっては時代が悪かったですね(笑)。今の時代だと1位が連続しても2〜3年というイメージがありますが。

 投票のやり方や投票数にも変化があるね。昔はほぼ競輪場の投票だけだったよ。あとはハガキかな。

 まぁ、オールスター競輪はお客さんが何を思って投票するか、それぞれ違うと思う。単純に「この選手は強い」と思ってるのか、「走りが見たい」なのか「こいつとこいつを戦わせたら面白そう」と思って投票するのか。

ーーそれにしても記録が抜かれないですよね。

 1番難しいのは継続(笑)。

ーー9人と聞いて、どんな選手が思い浮かびますか?

 実績やタイトルの数を考えたら神山雄一郎は入れないと、と思う。井上茂徳も。 俺の知る限りで強いのは吉岡稔真、滝澤正光、坂本勉。ここらへんは間違いなく、自力の先行で強い。

左から井上茂徳、滝澤正光、中野浩一。1992年6月4日びわこ競輪「高松宮杯記念杯」(写真:日刊スポーツ/アフロ)

ーー今挙がったのは中野さんが現役のときの選手たちですね。

 ここからが難しいよ! 実力で言えば脇本雄太・新田祐大は入れていいはずなんだよ。今の競輪ファンからすると、村上義弘や山田裕仁は大きな位置を占めるだろう。

ーーもう9人出ていますが、中野さんは入られないんですか?

 1番強いのは俺だから! 勝率が1番高いのも俺。ファン投票数もね(笑)。

ーー中野さんを入れて10人が出ました。

 個々に見ていけば、吉岡と脇本の戦いは見てみたい。全盛期の神山と新田とかね。そうしたら坂本なんかは皆んながやってくるのを待つしかない、みたいな展開が見える。井上がその中では追い込みってことになるのかな。

【暫定9名】
吉岡稔真・滝澤正光・神山雄一郎・井上茂徳・坂本勉・村上義弘・新田祐大・脇本雄太・中野浩一

ーー中野さん以外の8人を選んだ理由・コメントをお願いいたします。

吉岡稔真。2006年日本選手権4回目の優勝(写真:日刊スポーツ/アフロ)
吉岡稔真:俺らの時代に彗星の如く現れたのが吉岡。後ろについてみてわかったけれど、なんぼでも踏める。持久力が凄い。どっちかと言えば捲り。前受けして下がって7番手になって行けるか!? とハラハラしてもいつの間にか捲ってる。そうやってレースのパターンが読まれてても勝てるっていうのが凄いところだし、お客さんにウケる要素。「必ず最後は来てくれる」っていう信頼感。放送が終わる2分前にアントニオ猪木がコブラツイストで勝つみたいな(笑)。

滝澤正光:初期は単なる早駆けする選手という印象だったが、ある時期から強靭な粘り脚を見せるようになった。滝澤こそ努力と練習で強くなった選手。だから、俺は(日本競輪選手養成所所長の)滝澤に「競輪学校の候補生にどうやって強くなったか教えてやってくれ」っていう話をしたよ。これだけの実力がつけられるんだとわかる。「いかに弱かったかってこともちゃんと教えてやって」と言ってるけど、信じてもらえないかも(笑)。

神山雄一郎(撮影:島尻譲)
神山雄一郎:吉岡と共に一時代を築いた選手。タイトルも1番取っているし。タイトル数が多くなったというのもあるけどね。昔は年にGIが4回しかなかったのが6回になったから。世界戦で銀メダル取ってるけどタイプとしてはスプリンターじゃない。どちらかと言えば持久力に強みがあった。

井上茂徳:“鬼脚”と言われるくらいのしぶとさ。井上はもともとロードレースやってたから持久力がある。危ないところ突っ込むのが得意。

坂本勉。1984年ロサンゼルス五輪 男子スプリント決勝(写真:L'EQUIPE/アフロ)
坂本勉:“ロスの超特急”と言われたくらいだから。ロス五輪スプリントのメダリスト。ダッシュ力がある本物のスプリンター。

村上義弘(撮影:島尻譲)
村上義弘:ファンウケする競走をするよね。元々めっちゃ強いっていうよりかは練習で強くなったタイプで、天気が悪かったりした方が力を発揮するタイプ。悪天候の中では滝澤と義弘のワンツーだろうな。

新田祐大(photo by the cycling association of Hong Kong China)
新田祐大:持ち前のダッシュ力とパワーがあるから。一段とパワーアップしてるから今のトレーニングが合ってるんだろうね。

脇本雄太(撮影:島尻譲)
脇本雄太:現役だからあまり持ち上げたくないけど、今の時代で先行力が抜けているのは脇本。これからまだやんなきゃいけないことが沢山あるけどね。現役を退いてる選手だったらいくら褒め称えてもいいけど。

 ほかに候補として挙がった5名。

本田晴美。1995年オーストリア世界自転車選手権(写真:アフロ)
本田晴美:オリンピック・世界選手権の両方でケイリンの優勝は未だかつて本田しかいない。
鈴木誠:競輪界のインパクト。KEIRINグランプリ取っている。
山田裕仁:KEIRINグランプリを3回取ってる。61期で神山と同期。俺と同じ陸上出身。
山崎芳仁:大ギヤでの捲りは強烈。
平原康多:ファン投票1位。自在型の選手として。

 皆さん、この中からお好きに選んでください。

ーー上記のメンバーでレースの見どころは?

 “俺・井上以外の7人で先行争いしているところが見てみたい”って言われそうだな。そういうレースだと仮定しよう。おのおのが1番強い時の戦い方で、おのおのが(個々に)戦うと。

ーーそのレースだと、中野さんはどのように戦いますか?

 俺は吉岡につく。そういうんじゃなくて自力でっていうんであれば…、まぁこのメンバーの中でも1番自在性があったのが俺だろうから。

ーーどのようなレース展開になるでしょうか。

 普通に考えると吉岡は捲りに回るし、坂本・新田も捲り。先行は滝澤と脇本と義弘。

 井上以外でがっつり競っていいって奴はいないと思う。もともとタテ脚が強い奴って競らないのよ。先行するか捲れる自信があるから。別に人をどかしたりする必要もない。吉岡も滝澤も坂本も脇本もそういうタイプ。新田はたまに粘りとかするけど。脇本は決してしないじゃない?

 井上も俺も先行しないけど。井上は多分目標を決めてどこか行くでしょう。普通は、俺は吉岡の後ろだけれど。どういう風に戦うかと言えば、もちろんいい位置を取る。吉岡が失敗すれば当然どこかへ切り替える。

ーー優勝はやはり中野さんでしょうか!?

 そりゃ俺がしないとおかしいでしょ(笑)。「そんなことねーだろ!」って言われそうだけど。

中野浩一。1982年トラック世界選手権、個人スプリント決勝(写真:Shutterstock/アフロ)

ーー今年のオールスター競輪の見どころは?

 脇本・新田が参戦すると他の選手も相当意識するだろう。その意識した中で皆んながどう走るかが見どころの一つだね。そしてオールスター競輪初のナイターという点も。

ーー本日はありがとうございました!!

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