【129期データ考察】豊作世代と呼ぶに相応しい“神山チルドレン” 少数の怪物ではなく、総合力がエグい

2026/04/20(月) 18:00

2026年、129期の選手がデビューする。5月8日〜10日の松山競輪を皮切りに「ルーキーシリーズ」が続々開催となり、いよいよ神山雄一郎所長体制における“1期生”が本番で力を示す。今回は記録会等のデータを紐解き、129期の特徴をあぶり出したい。なお、ルーキーシリーズはKEIRIN ADVANCEルールが採用される。(構成:netkeirin編集部)

卒記チャンプ・沢田桂太郎という逸材

 2026年3月16日、17日に卒業記念レースが開催された。結果は在所成績1位の沢田桂太郎が優勝し、2着に中村嶺央、3着は柳沼鼓太朗。

129回生卒業記念レース表彰台、優勝・沢田桂太郎、2着・中村嶺央、3着・柳沼鼓太朗(写真提供:公財JKA)

 卒記チャンプとなった沢田は在所成績1位に加え、自治会長も務め、すべての記録会でゴールデンキャップを獲得。第3回記録会の1000mTTでは1分3秒96を叩き出して養成所新記録を樹立。129期の“顔”とも言える絶大な存在感を示した。

 高水準のスピードを保ちながら長い距離を踏み切る。注目のルーキーを探している方に真っ先に記憶してもらいたい選手だ。

“史上最速の自治会長"こと129期ナンバーワン沢田桂太郎

19歳の歴代最強スプリンター高橋奏多、400mTTで21秒52

 129期は層が厚く、いわゆる“豊作世代”と言えるだろう。入所してまもなく行われた第1回記録会からポテンシャルの高さは示されていたが、真価がはっきりと表れたのは第2回、第3回と記録会を重ねてからだ。

種目第1回第2回第3回
200mTT11秒4111秒2711秒09
400mTT23秒2622秒8823秒18
1000mTT1分10秒021分08秒921分07秒81
3000mTT3分54秒623分52秒06実施なし

 全体の平均タイムが200m、1,000mともに向上し底上げが顕著であり、個の突出だけではなく、全体の完成度が大きく伸長している。

 また唯一、400mTTでは第2回から第3回で全体平均を伸ばせなかったが、違いを見せつけたのが19歳の高橋奏多だ。

高橋奏多(写真提供:公財JKA)

 高橋は第2回の記録会で21秒52のタイムで養成所新記録を樹立。現在は強化指定選手としてナショナルチームに在籍し、トラック競技でも奮闘している。高橋のタイムの凄さは過去5年の養成所トップタイムを追えば一目瞭然である。

選手名タイム
119期犬伏湧也22秒01
121期太田海也22秒08
123期稲毛知也22秒19
125期中石湊22秒11
127期市田龍生都21秒84

“少数の怪物”を語る世代ではない

 129期は沢田桂太郎、高橋奏多といった養成所新記録を樹立した選手だけではない。少数の怪物が引っ張る構図ではなく、「強い選手が何枚もいる期」と捉えるのが自然である。

 ゴールデンキャップ獲得者は第1回の4名から第2回で11名、第3回には25名と急増。推移からみても、もとより基準到達圏内にいた候補生たちが多く、成長か進化、もしくは一斉に仕上げてきた可能性を示唆している。

記録会獲得者数
第1回4名
第2回11名
第3回25名

 短距離型、地脚型、兼備型ーー。それぞれの武器が訓練の中でさらに磨かれたのか、あるいはウィークポイントが解消されたのか。いずれにせよ、4名から25名への大増加は、ポテンシャルに加えて成長性、発展性を備えた期であることを物語っている。

 また、25名のうち、3回連続でゴールデンキャップを獲得しているのは長川達哉、伊藤京介、沢田桂太郎、吉川敬介の4名だ。高橋奏多が400mTTで養成所新記録を樹立したことは前述した通りだが、実は伊藤京介も同日に21秒76の好タイムを記録している。

競輪一家の三男・伊藤京介(※伊藤裕貴、稔真、優里と兄弟関係)

 結果として新記録は高橋のものとなったが、同日に2人の選手が歴史を塗り替えるレベルの時計を出していたことになる。吉川敬介も単種目特化型ではなく、全種目で高水準をマークしており、総合力の高さが際立つ。

 そのほか、早期卒業候補者に選定されていた小笠原匠海や高橋奏多は2回連続でゴールデンキャップを獲得している(※小笠原は第1回記録会を体調不良で欠場している)。

早期卒業候補者に選定されていた小笠原匠海

 さらに、松田祥位をはじめ、横溝貫太、吉岡竜太、白井輝、片岡遼真らも第2回、第3回と連続でゴールデンキャップを獲得した。

ナショナルチーム中距離の強化指定選手の松田祥位

時計だけでは測れない実戦対応力

 記録会上位者が競走訓練や卒業記念レースで必ずしも上位に来るとは限らない。だが129期は比較的一致度が高い。沢田、伊藤、吉川といった記録会の上位常連が競走訓練でも高い平均得点を残しており、「時計が出る選手=実戦にも強い」構図は見えるところだ。

 その一方、タイム的に層の厚い129期で競走訓練成績2位となったのが、ゴールデンキャップ未獲得の高佐龍太郎である。

在所成績2位の高佐龍太郎

 短距離型や持久型、そして沢田のような兼備型がタイムを刻む中、高佐は実戦対応力で成績を積み上げた。

 卒業記念レース後の共同会見では「捲りで九州を代表する選手になりたい」と語り、目指す選手像に山口拳矢の名を挙げていた。冷静な判断力と、勝負どころを見抜く嗅覚で、デビュー後に名をとどろかせる可能性は十分にある。

さいごに

 昨年、ゴールデンキャップ獲得数の多さから127期を「銀河系軍団」と表現した当編集部だが、129期も同水準のゴールデンキャップ獲得者を生んだ。人数では昨年の27名を上回ることはなかったものの、人数ではなく「のべ獲得数」で比較すると、129期の40は歴代最高である。

 注目度ナンバーワンは卒記チャンプの沢田桂太郎だが、果たしてーー。5月から始まるルーキーシリーズで、誰が真っ先に頭角を現すのか。楽しみで仕方がない。

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