2022/03/21(月) 17:00 0 12
※先週は「競輪好プレー年間大賞」を公開したため、先週分の「今週の競輪好プレー」を今週に変更しています。
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今回は競輪国宝と呼ばれるあの選手の好プレーです。 前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
古来より、神と人間をつなぐ聖人がいる。競輪界においては、神山雄一郎(53歳・栃木=61期)がその人。
“輪聖”、“競輪国宝”などと称されるすでに歴史上の人物だ。3月9日、平塚競輪場のFI最終日…。これでもか、と競輪の沼にみんなを引きずり込んだ!
前を任せた三好恵一郎(34歳・群馬=99期)が前受けから赤板突っ張り先行。向こうに回す相手も隙を伺ってくる。まず陸上の20種競技を戦ったことがあるヘラクレス・染谷幸喜(33歳・千葉=111期)がカマしてくる。が、神山、1角から2角にかけてのけん制で染谷を失速させる。
流れるような動きの後、佐々木堅次(27歳・福島=113期)が小柄な体で俊敏にまくりを放つ。神の王冠を狙う鷲の姿。が、神山、3角でけん制、4角でドン!
神の家の扉は厚く重い。「ピンポ〜ン」などと、軽い音はしない。神に立ち向かった2人のセールスマンはやむを得ず、退散…。
最後は3番手で内を締めていた柴田洋輔(36歳・東京=92期)…。4角まではラインの仕事に徹しても、最後は土足。直線では神様の台所に踏み込む。「確か、冷蔵庫に、勝利の赤ワインが! 」。一瞬、柴田のもとに勝利の女神の姿が見えたが、頭に落ちてきたのは冷蔵庫の上にあったどデカい生ハム。神山が内を締め切って890回目のファンファーレが鳴る。
昔、2回走りがあったこともあり通算1000勝を超えている選手はいる。ただし、神山は制度も変わり、S級の、それも上位戦ばかりで積み上げてきた数字。まったくもって★をつけることなど許されない世界の人…。
ただただ感謝の思いを★5つに込めて、丁重に捧げさせてもらいたいと思う。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)