2025/11/12(水) 19:00 0 3
東京スポーツの前田睦生記者がレースの中から”思わず唸った”選手をピックアップする「今週の競輪好プレー」。今週は背中で思いを伝え、確実にさらにひとつ上の男になった郡司浩平をお届けします。前田記者直筆解説と一緒にぜひご覧ください。
小田原競輪の「開設76周年記念 北条早雲杯争奪戦(GIII)」の3日目、11月8日は、郡司浩平(35歳・神奈川=99期)が“軍神”と化した。準決12Rでは任せた松井宏佑(33歳・神奈川=113期)が先行する流れ。番手の仕事がある。
郡司は愛くるしいキャラクターで「グンちゃん」と呼ばれてきた。たくましく成長すると「グンさん」になったものだが、今回はもはや「軍神」だった。この男が走る競輪は、神の領域に入ってきた。
このレースは西田優大(28歳・広島=123期)にも注目だった。松井に叩かれた後、まさか郡司のインで粘るとは…。相手の地元記念でしかも格のあるS班選手のところで…。西田の根性を見た。マークした橋本強(40歳・愛媛=89期)は「作戦ではなかったけど、西田君は流れの中で判断してくれるんで」と信頼を置いていた。
3・3バンクとはいえ西田のところは締め込んで位置を確保。ここからがある。近況の動き抜群の酒井雄多(29歳・福島=109期)がいい勢いでまくってくる。きっちり止めると、また内を踏んでくる西田に対しても「西田君も脚を使っていたので」と余裕を持って把握。この2角過ぎが、うまい。酒井後位から踏み込んできた須永優太(37歳・福島=94期)もドン! と一撃。
もう数多く連係してきた松井のスピード感に合わせ、体を並べてゴール。見事なワンツーだった。初日特選では松井の前回りを直訴し、背中で思いを伝えた。一連の流れも含めて★5つの好プレーだ。
郡司はS班にいながらしてもうひとつと言われてきた部分を埋めてきたと思う。確実にさらにひとつ上の男になった郡司の戦いは、まだまだこれからが本番だ。
すごいで賞=★★★★★(星5つ)
