2025/12/02(火) 18:00 0 12
今年の顔であり、2026年S級S班所属となる9名の選手たちによる一発勝負。競輪界の一大決戦「KEIRINグランプリ2025」が30日、平塚競輪で開催される。netkeirinでは9日間にわたり、出場選手たちの特徴やグランプリまでの道のりを日替わりでお届けしていく。今回は3年連続3度目のグランプリに挑む眞杉匠を紹介する。(構成:netkeirin編集部)
23年の「オールスター競輪(GI)」で弱冠24歳にして初のGIタイトルを奪取し、同年の「競輪祭(GI)」でも優勝を果たす活躍で一気に競輪界の中心的存在へと躍り出た眞杉匠。
初のグランプリ出場前に行った当サイトのインタビューで語った「単発で終わりたくない、何年も赤パンを履き続けたい」という目標の通り、翌年24年も赤パンを守った。
そして今年も若き天才はアグレッシブなレースでファンを魅了する。
迎えた25年シーズン。前半戦は優勝こそないものの、「ウィナーズカップ(GII)」、「日本選手権競輪(GI)」と連続で準Vなどの活躍で賞金を順調に積み増していった眞杉。
順当な様子で迎えたのは後半戦一発目のビッグレースである「サマーナイトフェスティバル(GII)」。眞杉にとっては連覇も懸かる重要な開催だ。
準決シードのアルタイル賞が懸かる重要な初日、前年覇者ということもあり、1番人気に推されるが犬伏湧也のカマシ先行に屈してまさかの8着に敗れる。
これで2着権利と条件が厳しい2次予選B回りとなるが、後藤大輝の番手から発進する伊藤颯馬を軽々と乗り越え、後ろの鈴木竜士まで連れ込む圧巻のレースで狭き門を突破。
続く準決勝では太田海也の先行には屈したものの、中四国3番手の松本貴治の位置を奪取して何とか流れ込みで3着を確保し、決勝への切符を手に入れた。
関東勢から決勝へと勝ち上がったのは眞杉、吉田拓矢、佐々木悠葵、坂井洋の4車。全員自力で動けるだけに、どう並ぶのかファンから注目が集まったがここは佐々木ー眞杉ー吉田ー坂井の順で並ぶことになり、眞杉は連覇へ向けて絶好といえるポジションを回ることになった。
迎えた決勝戦。1番車の好枠活かして眞杉が前を取ると、佐々木悠葵が気合の突っ張り先行を敢行する。そのまま佐々木の先行体制でレースは打鐘を迎えるが、ここで太田海也が進撃開始。眞杉が太田を止めにかかるが、異次元のスピードで出切られてしまい関東勢大ピンチかと思われたが、3番手吉田が太田の番手・清水裕友を捌いたことにより太田を追いかけやすい体制となった。
最終バックで前を走る太田に追いつき、そのまま太田を捲り切ったところで最後の直線へ。粘る眞杉と猛烈なタテ脚で迫る吉田のマッチレースとなるが、2人が全く並んだ状態でゴールイン。目視では確認できないほどの大接戦となったが、写真判定の結果、着差「微差」の争いを制したのは眞杉だった。
だが、レース後の眞杉は喜び100%の様子ではなく「ここ1年くらいは自分だけのレースになってしまったりで内容が良くない」と現状の自身に対する不満も混じったようなコメントを残した。
しかし、この優勝がキッカケとなったのか、のちに「オールスター競輪(GI)」の準決勝では吉田拓矢、四日市記念の決勝では神山拓弥を積極策で1着へと誘ったように持ち味の積極性は戻りつつあり、グランプリに向けて準備はバッチリだ。
これまで数々のドラマを共に生み出してきた吉田なら安心して前も後ろも任せられる。関東の最強コンビが競輪界の頂点を奪いに行く。
眞杉の魅力と言えばやはり自力、自在性という2つの能力を高いレベルで備えているところだろう。
その魅力が存分に表れているのがダービーの初日特選。赤板1センターで松浦の上昇に合わせてジワっと3番手にポジションを上げると、そのタイミングで仕掛けてきた岩本俊介のカマシに合わせて前に踏み込む。
そして並走になった和田真久留を捌いて岩本の番手に飛びつくと、番手で休むことなく、すかさず捲りを放ち岩本を捉えると、そのまま番手の平原康多も含め全員を千切って最終的には2着を3車身離して快勝。見事、ゴールデンレーサー賞への切符を掴んだ。
ちなみにこのレースは眞杉の番手に付いた “関東の総大将”平原康多氏が引退を決断するキッカケとなったレースだ。(参照:平原康多の勝ちペダル#54)
その平原氏は引退後に行った当サイトの独占インタビューにて、眞杉に対し「スケールの大きなレースをしても結果を出せる強さを身に付ければ、もう一段階上がれる。彼にはその力があります。」と大きな期待をにじませるコメントを残した。
平原氏、そして神山雄一郎氏らの関東のレジェンドが獲り逃し続けてきたグランプリチャンピオンの称号を勝ち取って、新たな“関東の総大将”として地区を引っ張っていってほしい。
