2026/02/04 (水) 12:00 20
競輪場で「開設75周年記念 春日賞争覇戦(GIII)」が2月5日〜8日に開催される。S班は1月があっせんしない処置で、今回が新年初戦となる阿部拓真(35歳・宮城=107期)1人となった。阿部のS班としての戦いはどうなっていくのか、大きな注目が集まる。
そんなS班1人のシリーズに、一番燃えるのは三谷将太(40歳・奈良=92期)だろう。近年は若いころと違い「ムッチャ意気込んでとかじゃないよ」と話しているものだが、今回は大きなチャンス。2018年と2024年大会で兄弟ワンツー。弟の竜生(37歳・奈良=101期)の優勝に続く2着で喜びと悔しさを感じていた。
2021年5月施設整備等協賛GIIIを優勝しているものの、春日賞は別物。『地元記念を勝ちたい』というのは選手の多くがデビューから目標にするもので、将太にとっても破格の思いがある。協賛GIIIが増えている昨今で、協賛GIIIと周年記念はともに「グレードIII」だが、やはり記念が上の格ではある。
9個レース制4日制のGIIIが「グレーIV(ジーフォー)」と選手が口にするのも、実感としてのものである。
阿部の昨年末の平塚グランプリは、大いに悩んだ末の単騎戦。郡司浩平(35歳・神奈川=99期)の後ろが取れたので、そこで勝負をかけた。4角では優勝かも…と思われたが、惜しくも2着。それでも曲者ぶりを見せつけたものだ。
阿部の言葉で「北日本を盛り上げるためにも」の意味は重い。北日本の選手たちを鼓舞するものだった。誰かに任せるのではなく、自分で何かをしていく。グランプリのレースは展開上、そう動きのあるものではなかったが、そこに挑む姿勢に新S班に向けた気概があった。
使い古された言葉だが「立場が人を作る」というものがある。この一年で、この言葉が真実だったと、改めて阿部が教えてくれると思っている。
菅田壱道(39歳・宮城=91期)も阿部のGI制覇で勇気づけられた一人だ。届きそうで届かない。献身的にGI決勝で風を切ったこともあった。“取っていい”と言われている男。後輩の一発ツモに驚かされたかもしれないが、チャンスをつかみ取ることの重要さは知り抜いている。次こそは、を今年にかける。
松井宏佑(32歳・神奈川=113期)は昨年大会の覇者としての参戦。危なっかしいレースは影を潜め、流れに乗り、力ずくだけではない走りを身につけてきた。その上で、昨年は道場晃規(28歳・静岡=117期)の奮闘に乗って優勝をつかんだように、ラインの戦いに専心していく。
奈良記念はいつも壮麗な寒さの中で展開される熱戦が見ものだ。古刹に囲まれ、壮麗な雰囲気が美しい。空気感が、鋭い。温かな笑顔があまりない、冷たい湖を泳ぐような戦いがある。奈良では人一倍の気持ちで戦ってきた将太の渾身のガッツポーズが見られるか、待ちたい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。
