2026/02/03 (火) 18:00 21
“ロスの超特急”こと坂本勉氏が太鼓判!『究極に仕上がっている選手=超抜選手』をチェックして車券推理に役立てましょう!(構成・netkeirin編集部)(構成・netkeirin編集部)
netkeirinをご覧のみなさん、坂本勉です。1月末は最強の寒波が日本全体を襲いましたが、皆さんの住んでいらっしゃる地域は大丈夫だったでしょうか?
以前も書きましたが、私は青森県八戸市に住んでいます。今年の寒さは例年よりも一層厳しい印象があるものの、市内ではそれほど雪が降っていません。意外かもしれませんが、青森県の南側かつ太平洋岸にある八戸市は雪が少ない地域なんですよね。
八甲田山のふもとにあり、全国屈指の豪雪地帯として知られる「酸ヶ湯」では、先日、積雪量が450センチを突破。青森市内も120センチと記録的な大雪になっています。こういったニュースが全国で流れる度、知り合いから「雪は大丈夫なのか?」と連絡をもらいますが、「今年は除雪車も入ってないよ」と話すと、どこか拍子抜けされます。
とはいえ、今も記録的な豪雪は全国各地で続いていますので、みなさんも天気予報やニュースを参考にして、身の安全に務めてください。
さて、これまで当コラムではA級は主に若手選手を取り上げてきました。しかし、今年初回は趣向を変えて元S級のベテラン選手・吉本哲郎について書きたいと思います。
吉本は現在46歳。学生時代から自転車競技で活躍していました。S級在籍時には特別競輪にも乗ったことがあります。
吉本は昨年もS級で活躍していましたが、誘導員早期追い抜きによる約4ヶ月の欠場も影響し、今季は降格しA級スタートです。やはりA級では力が違うのか、今年初戦の玉野FIIでは、3連勝で優勝を決めています。
この大会は地元地区の開催ということで、番組的に先行選手を付けてもらえたのは事実です。ただ、吉本はレースによってしっかり自力を出すタイプ。しっかりとタテ脚がハマった時には高配当も演出するので、車券でお世話になった方も多いのではないでしょうか。
来季はS級へ戻ってくると思いますが、吉本哲郎という選手を見るとき、走りとともに注目すべきは人に慕われる点であり、人を育てる能力です。吉本は『吉本道場 広島総本部』という練習グループで若手を指導していますが、弟子の中には特別競輪でも活躍する町田太我や、昨年の「ヤンググランプリ2025」にも出場した西田優大、黒瀬浩太郎もいます。
広島地区の若手にとって“頼れる存在”となっているだけでなく、吉本は「ヴィクトワール広島」という、地元ロードレースチームに所属し、アマチュア選手の育成指導も行っています。
私は日本自転車競技連盟のナショナルチームコーチを務めていた頃、アマチュア大会の視察に行くこともありました。広島のチームの中には常に吉本の姿がありましたね。競輪選手に加え、練習グループでは若手選手たちをまとめ上げ、そして競技選手としても活躍しながら、アマチュア選手の指導も行う。その姿は、もはや「二刀流」ならぬ「四刀流」といったところでしょう。
吉本の凄いところは、そういった行動を若い頃から続けてきたことにあります。私がまだ現役の頃、吉本がアマチュアの指導を行っていると聞いて、斡旋が一緒だった時に話をしました。当時、吉本はまだ20代後半だったと記憶しています。その頃からこんなことを言っていました。
「自分は誰かに奉仕するために生まれてきたと思っています。競輪選手としての仕事をさせてもらっているからには、練習を頑張って活躍するだけでなく、後進の指導にもあたっていきたいと思います」
そんな吉本のビジョンを聞いて、「若いのに立派な考えを持っているな」と驚愕しました。それを今まで実践してきたことが凄いですし、競輪では弟子たちの前で風を切る走りもいとわない。まさに自分の背中で示しています。
近年の広島地区の若手、特に吉本の弟子たちの活躍を見ると、「師匠が頑張っているのだから、自分たちが更に頑張らなければ」との思いが走りにも現れている気がします。
ホームバンクである広島競輪場も改修工事が終わり、来年の2月には「全日本選抜競輪」も行われます。地元の特別競輪だけに、本人も万感の思いがあるでしょう。まずは記念競輪で活躍するためにも、成績を上げて、本来いるべきクラスであるS級に戻ることを期待しています。
吉本哲郎出走情報
| 開催場 | 開催名 | シリーズ日程 |
|---|---|---|
| 松戸 | チャリロト松戸杯(FI) | 2月4日〜6日 |
| 広島 | HOME 競輪塾杯(FII) | 2月19日〜21日 |
※上記出走情報はコラム公開日時点(2026年2月3日)のものです。
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S級選手は以前も名前をあげた阿部拓真をピックアップしましょう。今回はS班の注目選手として取り上げたいと思います。
阿部の「KEIIRNグランプリ2025」での走りは見事でした。私が想定していた通り阿部は単騎戦でした。初手から郡司の後ろを選択して、最後は交わすか交わさないかといった、僅差のレースを見せてくれました。
特別競輪では初の決勝となった「競輪祭」の優勝から、あっという間の快進撃は、まさにシンデレラストーリーとも言えます。チャンスを最高の結果にできるだけの能力が、阿部に備わっていたのでしょう。
S班の証でもある、赤いパンツを履いてからの走りにも注目が集まりますが、1月は『あっせんをしない措置』もあって、今年の初戦は2月5日からの奈良記念となっています。
初めてS班になった選手たちの中には「S班のプレッシャー」に押しつぶされ、前年と同じような活躍ができなくなる選手もいます。阿部も今年が初のS班。奈良記念からは他の選手だけでなく、S班のプレッシャーとも戦うレースが始まります。
ただ、阿部にとって有利に働くのは、S班という「地位」です。S班は番組的に優遇されることが多く、番手の仕事もできる阿部は強い先行選手を付けてもらいやすくなることも想定できますね。そうなると阿部のスタイル的にも強い追い風が吹くでしょう。
阿部の長所は目標とする選手がいなくとも、自分で前に切り込んでいくようなタテ脚も備えていることです。S班の郡司、古性、眞杉もそうですが、タテ脚がありながら、横の仕事もできるオールラウンダーの選手が、現在の競輪界の中心となっています。
これらの選手に共通しているのは展開が向かなくとも、自分でタテに踏んでいくことで難局も切り開ける走りができる点です。記念競輪はもちろんのこと、特別競輪でも決勝常連となるオールラウンダーが多いですよね。
年末はバタバタしていたと思われる阿部ですが、グランプリから約1ヶ月の休みの間に疲れを癒せただけでなく、練習もこれまで以上に打ち込めたに違いありません。前のコラムでも書きましたが、「持久系の脚質」である阿部は、7車よりも9車の競輪の方が間違いなく向いています。
S班となった今年は、ほぼ9車立てのレースばかりであり、より阿部の良さが発揮できるレースが増えていくはずです。その環境でプレッシャーに負けず、常に車券に貢献できるようなレースができたのならば、今年の年末にいわき平競輪場で行われる「KEIRINグランプリ2026」への出場も見えてきます。
阿部が出場する奈良記念には、自分も解説の仕事で現地に向かいます。そこで阿部と話す機会があるのならば、北日本では唯一のS班でもあるだけに、「今年はお前が北日本を引っ張るんだぞ!」と檄を飛ばしてこようと思います。
| 開催場 | 開催名 | シリーズ日程 |
|---|---|---|
| 奈良 | 春日賞争覇戦(GIII) | 2月5日〜8日 |
| 熊本 | 読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI) | 2月20日〜23日 |
※上記出走情報はコラム公開日時点(2026年2月3日)のものです。
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坂本勉
Tsutomu Sakamoto
●坂本勉(さかもと・つとむ) 1984年、ロサンゼルス五輪に出場し銅メダル獲得。日本の自転車競技史に初めてメダルをもたらし、“ロサンゼルスの超特急”の異名を持つ。2011年に競輪選手を引退したのち、自転車競技日本代表コーチに就任し、2014年にはヘッドコーチとして指導にあたる。また2021年東京五輪の男子ケイリン種目ではペーサーも務めた。自転車トラック競技の歴史を切り開いた第一人者であり、実績・キャリアともに唯一無二の存在。また、競輪選手としても華麗なる実績を誇り、1990年にKEIRINグランプリ、1989年と1991年にはオールスター競輪の覇者となった。現在は競輪、自転車競技、PIST6と多方面で解説者として活躍中。展開予想と買い目指南は非常にわかりやすく、初心者から玄人まで楽しめる丁寧な解説に定評がある。
