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前田睦生の感情移入

【現在の競輪が抱える問題】なぜ生まれたか…ラインが一つのレース

2021/10/09 (土) 12:00 23

心と体のせめぎ合いこそが競輪

5車立てで5人全員が並ぶ

 10月5〜7日に開催された高知競輪場のミッドナイト(ケイドリームス杯)。あるレースに注目が集まった。
2日目の1R。5車立てで、ラインは1番車から5番車まで並ぶという。いやはや、ラインが一つのレースとは…。

 競輪の根幹は9人が各々勝利を競うもの。長い歴史の中、初期のころから風圧を避けるための動きとして、人の後ろを回るようになった。そこから、“ライン”というものが形作られ、基本的に最終4角まではそれぞれラインとしての動きをするようになった。

 7車立てでも、5車立てでも基本は変わらない。だが、このレースは5番手まで回るというもの。レースになるのか…。

5番手の選手はさすがに「5番手から」と何かあれば動くことを示唆したが、現実的には起こり得ない。

5人のラインができた要因は

ファンは何を思う

 過去にもずら〜っと長いラインを形成することはあった。一つになりそうなら、『これじゃレースにならん』と誰かが「前々」などとレースを乱す感じだった。生まれた要因は車立ての少なさと、ミッドナイトに適用されている車番順の有利不利、コロナ禍における地区斡旋があると思う。

 5番車の選手からすれば、初手の位置もない。1番車ラインが前受けしたとして、外から追い上げても突っ張られて不利。何とか前を取ったとしても泳がされて一気に行かれる。しかも地区の近い選手たちばかり、普段は並ぶわけだ。

 非常にイレギュラーなケースで、コロナ禍でなければ他地区の選手をまじえて、一つのラインにはならなかっただろう。結果的に4角までレースは動かず、直線で少し順位が入れ替わった。

 最終日の2Rも6人が並ぶライン一つのレースだったが、「4番手から」という選手が動きを見せたため、実質2分戦のレースとなった。…が、読みづらいものだし、ファンは何じゃろうと思ったはず。

危惧するマインドの低下

常に考えている山口幸二さん

 そもそも、ラインが一つのレースはあり得ないと思う。ファンの心理を損なうようなレースははっきりいってマズい。が、選手をそこまでの心境に追い込んだ外因もとらえられるべき。一つ、現在はPCR検査の陰性証明が必要なのは参加8日前。これを短くして、車立てが減ることを防ぐ。

 コロナ禍で補充も入れないルールになっているが、期間短縮で補充待機の選手も確保し、入れてもいい時期に来ている。

 分かりやすい、当たりやすいを目的としたミッドナイトの点数上位者から1番車〜7番車というのもどうか…。地区斡旋はコロナの収まりを待つしかない。

 ファンがなんじゃこりゃと思うのと同時に、選手たちが「これじゃ走れん、戦えん」、「現実問題、何にもできない」というマインドになるのも危険だと思う。山口幸二さんがルール面についての提言を先日されていたが、いろんなことを見直していいだろう。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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