2021/08/01 (日) 18:01 3
高校の自転車ロード競技を描き、シリーズ累計発行部数が2500万部を超える大ヒット漫画『弱虫ペダル』。作者で自らも自転車レースを楽しまれている渡辺航先生にオンライン取材。インタビュー後編では東京五輪と『弱虫ペダル』キャラクターとの“夢のコラボレーション”を語ります。(取材・構成=netkeirin編集部)
ーー『弱虫ペダル』に登場させてみたい選手いらっしゃいますか?
文化系出身の脇本選手はハマりそうでワクワクします(笑)。他には橋本選手。『弱虫ペダル』では昨年までマウンテンバイク編を書いていまして、異種競技に触れるというのは刺激的だし、いろんな学びがあると思っています。橋本選手はトラックを走りながらロードも走るので、新しい世界との懸け橋的なポジションで登場すると面白いのではないでしょうか。
ーー 少しマニアックな質問になりますが、『弱虫ペダル』のキャラクターで五輪の自転車トラック競技に出場するなら誰にしますか。
そうですね。マディソンでは鳴子章吉と田所迅のペア。お互い「俺の方が強い」と張り合っていますけど、タスキを渡すときはしっかり手を握り、背中を押すというか。そんな瞬間が見たいな、描きたいなと思います。
スプリントはミスターストイックの泉田塔一郎。彼は自分を追い込むのが好きで、自分の身体の中にたくさんの筋肉を持っています。スプリントは個人戦ですが、1人で戦っていながら複数で戦っているみたいな(笑)。ケイリンは7人入り乱れた展開になりそうですので、そんな中をバキュンポーズで新開隼人が先着すると気持ち良いなと。ーーありがとうございます。想像すると楽しくなりました(笑)。 メダルが期待されているトラック競技ですが、メダル獲得シーンを漫画で表現するとしたらどんなカットと台詞にしますか?
まあまあ難しいですね(笑)。他者に対して退かせるというよりも、自分の中の鍛えて積み上げてきた5年間を全部出し切ることが選手たちの目標ではないかと思います。結果として勝てたら嬉しい、そんなメンタリティではないかと想像しています。なので、フィニッシュラインでハンドルをパーッと投げて出し切った!という笑顔と汗と…そんなカットが浮かびますね。
ーー五輪をきっかけに自転車へ興味を持つ方もいらっしゃると思います。先生が考える自転車の魅力と『弱虫ペダル』を通して伝えたいことを教えていただけますか?
僕はロードレースに参加することありますが、最初ロードバイクを見た時、「こんな細くて頼りない乗り物には乗りたくない」って思ったんです(笑)。知り合いの勧めで乗ってみたところ、(前傾姿勢で)首は痛いし、安全確認もしにくい。でも1週間ぐらい乗ってみると、面白かったんですよね。距離10km程度が限界だろうと思っていたところ、100-150km走れて「これは凄いな!」と。達成感はもちろんですが、先入観を良い感じに崩してくれる道具だと思います。そうした自分の体験や感動は作品に中に反映しています。
漫画を通して言いたいことは人間が持つ可能性です。それぞれいろんな良い部分や才能が眠っていて、他人とのつながりによって見つかったり、引き出されたりする。
そしてそれを自分で認識し、開花させるためには、全力でチャレンジすることが大切だと思うんです。仮に目標達成ができなかったとしても、全力を出すことで次の目標は必ず生まれてもう1歩進んでみようとする。その積み重ねが道すじとなっていくのではないかと。多少格好悪くなってもいいから全力でチャレンジすることは大切なことだと伝えたいですね。
ーー最後に選手へ応援メッセージをお願いします
今まで積み上げてきたものを全部出し切ったレースを見せてください。あわよくばメダルを見たい…そんな感じです。
netkeirin取材スタッフ
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