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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

近畿の“マーク屋”の序列について

2021/06/06 (日) 14:00 30

 今回は近畿のマーカーの序列を考えてみたい。

殿上人・村上義弘

村上義弘は揺るぎなく近畿の神様的存在だ(撮影:島尻譲)

 はじめに村上義弘は殿上人(てんじょうびと)なので、序列云々の話をするだけで失礼にあたる。今の村上は一歩引いた立場で近畿全体の事を考えているので、自らの主張は一切しないスタンスだ。それが昨年の福井記念の決勝に如実に表れた。脇本雄太(以下ワッキー)の番手を巡り、一時間以上の話し合いが持たれたが、その経緯は、あまりにも有名だしここで詳細を説明するまでもない。どうあれ偉大過ぎるし、神様以上の存在だと思っている。

脇本雄太の番手を回る時とそうでない時は違う

「脇本雄太の番手」は通常の番手と意味が違う(撮影:島尻譲)

 まず、ここで問題になるのが、ワッキーの番手を回る権利とそうでない時では違う事だ。昨年に比べて、そもそもワッキーが走っていないので、この近畿のマーク屋の序列が見えにくくなっている。

 ワッキーの番手を回るのは千切れない脚があることが前提で、仕事云々はその次の問題になる。通常のケースは前を残し、後ろのコースも作り、捲りも全部止める。ワッキーの番手を回る権利と、マーク屋の仕事の部分は違うが、総合的に判断してみた。

近畿のマーカーのトップは村上博幸か

マーカーの序列を考えるとき、トップ評価を得るのは村上博幸か(撮影:島尻譲)

 意見は分かれるところだが、近畿のマーカーのトップは村上博幸(以下村上弟)だと思っている。「いや、稲川翔(以下イナショー)だろう」と言う意見も当然あるだろう。記者でアンケートを取っても答えが分かれるはずだ。

 事実イナショーの方が自己主張が強いので、昨年のワッキーの番手を巡る争いでは、番手をほぼ独占してきた。それで結果もしっかりと残している。村上弟がイナショーの後ろを回り脇本-稲川-村上弟の並びがあったが、“序列"と“格"は違う。

2020年は脇本雄太の後ろで的確に仕事もこなした、自己主張もしっかりとする稲川翔(撮影:島尻譲)

 これは他地区の大物マーカーに質問してみたところ“村上博幸"と言う意見が多かった。村上弟は自分の地位を守るため、無理にでもジカで競りに行く。今の近畿の競輪を自ら築いてきた自負もあるだろう。“ライン"に対するこだわり、考えに深みがある村上弟を僕は高く評価している。

 ワッキーの番手を考えた時、イナショーも古性優作だけには番手を譲るし、今はスランプ状態ではあるものの、三谷竜生が脇本の番手を主張したら、それは間違いなく回れると思っている。近畿のラインの貢献者であるし、時代を作った男だからだ。

マーカーとしての評価を上げているのが東口善朋

2020年の親王牌から意識の変化が見られる東口善朋(撮影:島尻譲)

 マーカーの序列は村上博幸、稲川翔、南修二の順番で考えたい。問題は東口善朋の扱いだ。昨年の親王牌でキッチリ脇本に続いて、本人も雰囲気や自覚が変わった気がする。それまでは、点数を持っていても、ヨコが甘かったり、抜くのが早いから、あまり評価はされていなかった。それが、ダービー準決で野口裕史を勝負どころで強引に持って行ったり、マーカーとして評価されるようになってきた。その分、タテ脚を温存できず、車券的には魅力を欠く事になったが…。

古き良きを残す存在、三谷将太

三谷将太を素通りして並びが決まることはない(撮影:島尻譲)

 良い意味でのうるさ型の代表例が三谷将太だ。古き良き昭和のマーカーの匂いを残す。三谷将太より点数を持っている年上のマーカーや同級生も『並びを決める時』には必ず三谷にはお伺いを立てている。時として儀式的な意味合いもあるが、これは本気なので、他地区のケースとは異なる。

タイトルホルダーでも簡単に番手を回れないのが近畿

タイトルホルダー稲垣裕之でも簡単に番手回りと行かないところが近畿という地区だ

 近畿の凄いところは、GI覇者でラインに貢献してきた稲垣裕之でさえ簡単には番手を回れないという部分。これが北日本の山崎芳仁とは違うところだ。ただ、自力選手であるから、普段のレースで稲垣や松岡健介は大きな意見を言える気がする。椎木尾拓哉も、小兵ながら良い仕事をやるのでマーカーとしては上位の評価だ。鷲田佳史が、いわき平記念でGIIIを優勝したが、それはそれ、これはこれなのだ。

 今はS級中堅のマーカーだが渡辺十夢も昔はジカで競っていた。落車して包帯ぐるぐる巻きで、足を引きずっていても、次の日も番手で勝負していたレースが記憶に残る。お笑いマーク屋部門のトップは世界のワシコー(鷲田幸司)だし、これは誰もが認めるところだろう。あくまでも“毒断”と偏見なので、参考程度までに。

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毒熱!闘う競輪記者マッチーが行く!

町田洋一

Machida Yoichi

基本は闘うフリーの記者。イー新聞総合プロデューサー、アオケイ・企画開発パブリストの肩書きも持つ。自称グルメでお酒をこよなく愛す。毒のある呟きをモットーにして、深夜の戯言も好評を得ている。50代独身で80代の母親と二人暮らし。実態はギャンブルにやられ、心がすさみ、やさぐれている哀しき中年男である。

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